摂食・嚥下障害のリハビリテーション:イラスト1食べる機能が障害されることの意味

脳卒中や脳性麻痺、神経難病などの中枢神経系疾患、口腔、咽頭、喉頭の疾患などで、「食べる」機能、すなわち摂食・嚥下機能の障害が生じます。また、お年寄りが食事中によくむせることでもわかるように、単なる加齢によっても嚥下障害が見られますので、摂食嚥下障害は高齢化社会の重大な健康問題の一つになってきました。また、食べるということは人間の最も基本的な生命維持機能であるだけでなく、食文化としての楽しみの意味も大きいので、摂食嚥下障害はQOL(生活の質)に大きく関わっています。

歴史

摂食嚥下障害に対する包括的な医療が確立したのは1980年代以降であり、比較的新しい医療領域であるといえます。わが国では1980年代より耳鼻科領域で関心が高まり、リハビリテーション医学領域では1980年代半ばより臨床的検討が開始されました。1994年には医科と歯科の両者に摂食機能療法が診療報酬として認められ、1999年の言語聴覚士の国家資格化とあいまって、摂食嚥下障害の診療・研究が大きく発展しました。

関わる専門職

摂食嚥下障害のリハビリテーションに関わる専門職は言語聴覚士、歯科医師、看護師、医師、歯科衛生士、栄養士、作業療法士、理学療法士など多岐にわたっており、医師もまた、リハビリテーション科、耳鼻咽喉科、口腔外科、脳外科、小児科、神経内科など多くの科が関わっています。各科の対応はそれぞれの専門性により少しずつ異なりますが、リハビリテーション科では摂食嚥下障害を 「食べること全体の問題」と捉え、食事の仕方、食物の種類、補助的な栄養法、歯科的管理、などにも配慮し、生活の改善を図るという立場で、多くの専門職とのチーム医療を実践しています。

リハビリテーションの流れ

嚥下障害の評価は嚥下造影検査、ビデオ内視鏡検査、反復唾液嚥下テスト、水飲みテスト、フードテストなどがあります。このような検査結果を元に、重症度を判定し、機能帰結(治療効果)を大まかに予測し、治療環境を考慮に入れて、各種の対応をしながら、再評価を行う、という手順でリハビリテーション治療が進められます。「おいしく、安全に食べたい」という患者さんの強い願いを叶えるべく、精力的に診療、研究が続けられています。

2014年4月改訂