骨関節疾患のリハビリテーション:イラスト1対象疾患の現状

骨関節疾患とは、骨や関節などの運動器に病変を有する疾患です。人口の高齢化により骨関節疾患を発症する患者さんが増加してきています。厚生労働省の平成22年国民生活基礎調査では、実際に介護が必要になる原因の10.9%が関節疾患、10.2%が骨折・転倒によるものです。この2つを合わせると21.1%となり、約5人に1人が骨関節疾患によって自立度低下が起こっていることになります。これらの骨関節疾患の治療には薬物療法や手術療法などとあわせて、リハビリテーションが必要です。また、普段からの運動習慣はこれらの疾患の予防にもつながります。

診断からリハビリテーションへの流れ

ひとくちに骨関節疾患といってもさまざまな疾患があります。まず、適切な診断をもとに治療方針を決定していきます。リハビリテーションでは、理学療法・物理療法・装具療法・生活指導などを行い、あわせて介護保険制度の利用(家屋改修・ヘルパー利用)など、生活環境の改善をめざします。
今回は、リハビリテーション科で治療を受けることが多い疾患の中から、腰痛症、頸部痛、大腿骨近位部骨折、変形性関節症、骨粗鬆症について話を進めます。なお、関節リウマチについては、関節リウマチのリハビリテーションをご参照ください。

腰痛症

腰痛症のリハビリテーションは、腰痛体操・運動療法の指導や、物理療法(温熱・寒冷療法、牽引など)、装具療法としてのコルセット作製などがあります。腰痛へのアプローチで最も重要とされるのはその予防で、有効な予防法の研究が行われています。

骨関節疾患のリハビリテーション:イラスト2頸部痛

頸部痛は、首周りの痛みだけの場合と肩周囲の運動制限が伴うことがあります。リハビリテーションは、頸部周囲をリラックスさせたり、筋肉のマッサージ・ストレッチなどの理学療法を行います。あわせて物理療法(温熱・寒冷療法、牽引など)を行う場合もあります。前項の腰痛症にも当てはまりますが、生活指導を受けることが悪化・再発を防ぐことにもなります。

大腿骨近位部骨折

骨折を起こした際には、入院して手術が行われるのが一般的です。その後のリハビリテーションとして、筋力トレーニング、歩行訓練や起居動作訓練を行います。手術をしない場合も期間は異なりますが同様に行います。退院前には転倒予防などを意識した環境面の調整や、機能維持のためのホームプログラム指導などを行います。

変形性関節症

股関節や膝関節のなどの関節軟骨がすり減ることで発症し、関節の痛みと変形や腫れなどを伴う疾患です。リハビリテーションでは、関節に痛みを出さない状態での筋力強化訓練などの運動療法、鎮痛を目的とした温熱・寒冷療法などの物理療法、装具処方による関節保護を行います。慢性的な疾患ですので、関節症状を悪化させないための生活指導や自主トレーニング指導が必要となります。

骨粗鬆症

骨粗鬆症は骨をつくるカルシウムなどが減少して骨が脆くなる疾患です。その結果、わずかな力が加わっただけでも骨折が起こります。特に多いのは、大腿骨近位部骨折、橈骨遠位端骨折、脊椎圧迫骨折などです。骨粗鬆症の治療はこれらの骨折予防につながり、その治療には薬物療法とあわせてリハビリテーションが重要になります。リハビリテーションとしては、骨の強さと歩行能力などを維持・改善する目的で運動療法を行い、日常生活で続けられるような運動を指導します。

2014年4月改訂