外傷性脳損傷(かいしょうせいのうそんしょう)のリハビリテーション:イラスト1外傷性脳損傷とは

交通事故や転落などで頭に強い衝撃が加わると、脳が傷ついたり、出血したりします。これを外傷性脳損傷(または脳外傷、頭部外傷)といいます。脳の損傷によって、脳の働きが障害され、脳卒中と同様に半身の麻痺や感覚障害、失語症、半側空間無視などの症状が起こります。そのほか、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などのいわゆる「高次脳機能障害」がよくみられます。

障害の特徴

以上の症状は脳卒中でも同じように起こりますが、外傷性脳損傷では脳卒中の場合とは異なる特徴があります。外傷性脳損傷の方が、

  1. 改善傾向が長く続く(1年以上)
  2. 運動面の障害より高次脳機能障害の方が問題として残りやすい
  3. 復職や復学など社会的な面でも対策が必要になる

ことなどです。

外傷性脳損傷(がいしょうせいのうそんしょう)のリハビリテーション:その2リハビリテーションの流れ

外傷性脳損傷のリハビリテーションのおおまかな流れは、急性期と回復期以降に分かれます。急性期では、まず基本的な日常生活動作が自立できるようにして、安全に歩けるように運動面中心のリハビリテーションを行います。意識障害や合併症などが長引いている場合には、なかなかリハビリテーションが進まないこともありますが、長期間にわたって改善するのが特徴ですので辛抱が必要です。ある程度身の回りの動作が自立できても、高次脳機能障害のために自立できない状況が続く場合があります。したがって、回復期以降は入院と外来の両方で、高次脳機能障害のリハビリテーションを中心に実施します。

高次脳機能障害

高次脳機能障害のうち失語症は、言葉が話せない、理解できないなどの言語の障害です。半側空間無視は、通常は左側の空間に注意が向かないために、左側にぶつかる、左側の物を見落としてしまうという障害です。記憶障害は、新しいことを覚えられない、以前のことを思い出せないなどの症状です。注意障害では、落ち着きがない、注意を分配できないなどの症状が特徴です。計画的に行動を行うことができなくなる遂行機能障害もあります。約束を守れないなど社会的行動障害も高次脳機能障害の一つです。若い方が多い疾患ですので、高次脳機能障害がある場合には、復学や復職の検討を含めて総合的な視点での治療が必要になります。リハ科医、言語聴覚士、作業療法士、臨床心理士、ソーシャルワーカーなど多くのスタッフが関わります。社会復帰には、周囲の人達の理解も求められます。

回復の見通し

最終的にどの程度まで回復するかは、脳損傷の程度、年齢、意識障害の長さ、記憶障害の長さなどによって変わります。職場復帰できるまで回復する場合もありますが、残念ながら重い後遺症が残る場合もあります。いずれにしても、長期的な見通しをつけることは容易ではありませんので、専門医の判断を仰ぐことが大切です。

2014年4月改訂