切断のリハビリテーション:イラスト1切断の原因

切断の原因は大きくわけて外傷性と血行障害性とあり、その他腫瘍や先天性疾患などがあります。過去には労働事故や交通事故などに伴う外傷性の切断が多かったのですが、近年は糖尿病や動脈硬化といった疾患の増加により、特に下肢切断の場合は血行障害性の割合が大きくなっています。

手術

生命維持のために緊急で切断を要することもありますし、何とか切断せずに助けよう(救肢)としたが困難なため、計画的に切断をすることもあります。切断後に義肢装着を想定した場合には当然義肢を使いこなしやすい部位で切断しますが、生命維持のための緊急の切断の場合には、全身状態が落ち着いた後に再度必要な手術を追加する場合もあります。

義肢の作製までのリハビリテーション

切断した断端は最初むくんで柔らかい状態ですが、義肢装着のためにはその断端を絞り込んで細く硬くする(断端成熟)必要があります。また切断部位によっては残存した筋肉の力のバランスにより関節が固まりやすくなるため、義肢装着し使用する際に必要な関節可動域を維持するための訓練を積極的に行う必要があります。当然義肢使用に必要な筋力もつけなければなりません。概ね1~2ヶ月で断端を安定させ、必要に応じた義肢の作成に移ります。

様々な義肢

日進月歩の技術革新のため、近年の義肢をめぐる環境は大きく変化しています。下肢切断で使う義足には大きくわけて、膝より上で切断した際の大腿義足と膝より下で切断した際の下腿義足とあります。特に大腿義足の場合は膝機能をどのように代償するかで義足の性能も値段も大きく変わりますし、地面に接する足部も安定性を高めたものや走行しやすいものなど様々です。年齢や元々の生活スタイルによって様々な部品を組み合わせて選択することになります。上肢切断で使う義手の場合は、片手での生活に大きな不自由を感じないなど、そもそも見た目のみの運動機能を要さない装飾用義手を選択される場合も多いです。運動機能が必要ならば、現時点では反対側の肩の動きで動かす能動義手、筋肉の収縮を感知しモーターで動く筋電義手の2つがあります。一般的には能動義手の方が素早い動きができますが、筋電義手の性能も上がってきています。手先も、本当の指のようなものからフック状のもの、農作業など機能を特化したものなど様々あります。

切断のリハビリテーション:イラスト2義肢を使用するようになってから

製作した義肢を使いこなせるようになり自宅退院、社会復帰すれば治療は終了というわけではありません。食生活の変化や体格の変化などにより断端の形状は変化します。特に下肢義足は体重を支える部分であるため、少しの形状の変化が義足機能を大幅に低下させることもありますし、断端を傷つけてしまうことも珍しくありません。特に血行障害性の切断をした場合は新たな断端の傷から再切断に至ることもあり得るため、普段から断端の状態に注意し、問題があればすぐに義肢を調整する必要があります。通常は治療用の義肢を作成してから1年間は定期的なチェックを受ける場合が多いでしょう。治療用の義肢が充分に使いこなせていることを確認後、改めて身体障害者として生活用の義肢を作成する場合もあります。

今後の課題

近年はスポーツに用いられる場合の扱いを巡り議論されるくらいに義肢の性能は上がっています。万人にちょうどよい義肢などなく、生活スタイルなどにより様々な選択肢があるからこそ、新たな素材や画期的なシステム等の情報が患者に広く周知され、利用しやすい環境整備が重要です。

2014年4月改訂