臨床研究・調査のためのガイドライン策定委員長 園田 茂
担当理事 里宇明元

皆様が研究に用いた脳卒中リハに関するデータベースを有機的に結びつけるために、臨床研究・調査のためのガイドラインが策定されました。日本リハ医学会学術集会に発表する脳卒中研究を行う際には、可能な範囲でこのガイドラインを参考にして頂きたくお願い申し上げます。ガイドラインは左記よりご覧下さい。対応して頂いた場合、「リハ学会ガイドラインに準拠し」との語句を抄録に入れて頂けるとありがたく存じます。

脳卒中に関する臨床研究・調査のためのガイドライン (ver 1.1)

  1.  本ガイドラインの目的
  2.  個人情報保護
  3.  患者基本情報
  4.  リハ内容
  5.  リハ帰結

第1章 本ガイドラインの目的

21世紀のよりよいリハビリテーション(以下、リハ)医療を構築するためには、実際に行っている治療に関する臨床研究・調査を行いエビデンスを蓄積していくことが不可欠である。それに向けた第一歩としてこのガイドライン策定が発案された。

毎年の学術集会で発表される研究に用いられる多数のデータが、このガイドラインに沿っていれば、多施設の貴重な脳卒中患者データを継続的、かつ現実的に集積できる。それを結合できる条件を徐々に整備し、エビデンスを生み出すためのデータベース・システムを、数年かけて構築することをめざすものである。

ガイドライン策定はまた、診療報酬改定後の見直しに向けて随時行われる厚労省のヒアリング時に必要な、日本リハ医学会としてのエビデンス構築の鍵となるであろう。

上記の使命を果たすために、平成18年8月に第1回の臨床研究・調査のためのガイドライン策定委員会が開かれた。その後データ項目などの討議が重ねられ、まずは脳卒中に関する必要最小限のガイドラインを策定した。今後、皆様からの発展的ご意見を戴きながら、ガイドラインをより良いものとしていく予定である。

今後の日本リハ医学会学術集会における学会発表に用いるデータには、出来る限りこのガイドラインに準じた内容を含めることを推奨する。ただし抄録には推奨項目すべてを網羅する必要はない。あくまで推奨であるので、ガイドラインの要件を満たしていないデータに基づく研究でも演題登録出来ることも申し添える。

2006.10.16

第2章 患者個人情報保護

臨床研究を行うためには、個人情報の保護に配慮されていることが必須である。患者が入院した時点で病院は個人情報を得たことになる。病院としての取り扱い方法の明示(個人情報保護指針など)の中に「研究目的での使用」が謳ってあることが望ましい。

リハの臨床研究・調査データは可及的早期に匿名化された状態にしておくべきである。匿名化処理としては通常、連結可能匿名化が行われる。これは、連番などを付与することで、照合表と付き合わせれば患者情報にたどり着ける仕組みである。この場合、照合表の管理を厳重にして、研究データと同一場所に置かないようにする。研究が完全に終了し次第、照合表を消去して、連結不可能匿名化の状態にすべきである。

参考資料: 医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取り扱いのためのガイドライン(厚生労働省平成16年12月24日)- 以下のホームページからのリンクでPDF fileを入手可能。

厚生労働分野における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン等(別ウィンドウ)

2006.10.16

第3章 患者基本情報

各患者の基本情報として、最低限含まれるべき要素は以下の通りである。

  • 性別
  • 年齢
  • 発症前、ADLが自立していたか否か
  • 脳卒中の病型 (脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)
  • 脳卒中の病巣部位 (右 / 左)  (テント上 / 脳幹・小脳)
  • 発症後日数
  • 半側視空間無視の有無
  • 失語症の有無

付記: 詳細な記載を考え始めると際限がないが、他施設のデータと結合・比較をすることを前提にすれば、少なくとも上記程度は必要であろう。

2006.10.16

第4章 リハ内容

リハの研究であるので、リハの内容を規定する情報が必要である。最低限含まれるべき項目を以下に列挙する。

  • 訓練量: 週あたりのPT, OT, ST単位数または施行時間数。これは入院だけでなく、外来リハでもこの概念で記載可能。実際に行った量を記載する
  • 入院日数ないしは訓練期間
  • 包括的なリハプログラムか特異的なリハプロトコールか
  • 介入研究の際は、介入内容を備考に記載
  • リハを完了したのか、リハ途中での終了か

2006.10.16

第5章 リハ帰結

推奨評価項目: 入退院時のADL評価としてFIM (Functional Independence Measure)またはBarthel indexを評価する。可能であれば入退院時のブルンストロームステージなどの機能障害評価も行う。もう一つの指標として転帰先を記載することが望ましい。QOLの評価も重要であるが、統一指標として推奨しうる評価法を現時点で選択し得ないので、本ガイドラインには記載しない。

特異的な介入の場合、それに沿った評価も併用する。

2006.10.16