2010年第3回RJN懇親会 in鹿児島
RJN委員会幹事:浅見豊子
今年最初のRJN懇親会が、第47回日本リハ医学会学術集会(2010年5/20~22、於:鹿児島大学 川平和美会長)の期間中である5月21日12時より開かれました。多くの方が、その直前に行われたパネルディスカッション「リハ科女性医師活躍の現状と課題」(南日本新聞社:第3会場)への参加に引き続き、会場となった『ふぁみり庵はいから亭 与次郎本店』に集まってくださいました。

1. スキルアップ、2. 育児・ワークバランス、3. 病院外連携の構築、4. 職場管理、5. 専門医会への要望、6. 診療報酬要望の6つのテーマによるワークショップ形式での昼食会となり、各テーブルとも和やかな中にも活気あふれるテーブルトークが繰り広げられていました。
最終的には総勢60名あまりの大懇親会となりましたが、各人有意義なひと時を過ごしていただけたのではないかと思っています。ご参加いただきました皆様、有難うございました。今度は秋の横浜でお目にかかりたいと思います。
1. スキルアップ
| 司会 | 中馬孝容(滋賀県立成人病センター) 長谷川千恵子(市立函館病院) |
|---|---|
| 参加者 | 浅野先生 (千葉大学) 和田先生(近森リハビリテーション病院) 高丸先生(大阪医科大学) 大国先生(東邦大学) 迫先生(柳川リハビリテーション病院) 本田先生(熊本大学) 古賀さん(熊本大学学生) 青野先生(大阪大学) 佐藤先生(徳島大学) |
1. 自己紹介を行いながら、それぞれのスキルアップについて課題を挙げた。
- 専門医、指導医としての立場から、後進指導、育成について。
- 自身の専門分野確立、技術向上について。
- 今後専門医を受験する立場から、偏りがちな分野の学びや、指導を受けるシステムについて。
- 学生の立場からどのような研修プログラムが望ましいか。
2. リハ科への直接入局と、整形外科等、他科の研修を受けてからリハへ進む場合のメリット、デメリットについて
- 直接リハ科へ進んだDr. および整形外科を経験したDr.両者ともに、最終的にリハ科へ進むのであれば、直接リハ科に入局し、そこから整形外科や神経内科の研修にでることによるメリットを挙げる意見が多かった。
- 他科入局後の転科は、サブスペシャリティを持つメリットと、自分の専門分野以外の診療を制限してしまう可能性というデメリットが挙げられた。
3. 専門医試験に関する研修の確保について
- 研修指定病院へ赴任することは一人職場、小人数の職場では困難という課題に対し、大学の研修登録医制度の活用が紹介された。
- 分野別のスキルアップについて、嚥下リハ、歩行分析の研修会を受講したDr.よりその有用性が紹介された。DVDによる研修の紹介もされていた。専門医試験の対策についても、経験者から筆記、口頭試問のアドバイスがされた。


(文責 中馬孝容・長谷川千恵子)
2. 育児・ワークバランス
| 司会 | 小口和代(刈谷豊田総合病院) 澤井里香子(関谷クリニック) |
|---|---|
| 参加者 | 森先生(藤田保健衛生大学) 佐藤先生(聖隷三方原病院) 森脇先生(関西リハ病院) 木口先生(長町病院) 湊先生(福島整肢療護園) 森田先生(岡山リハ病院) 大島先生(西東京警察病院) 秋山先生(佐賀大学) 児玉先生(佐賀大学) |
1. 結婚・出産・育児にまつわる経験談
- 社会制度が「働く女性」向き、「少数派」向けには構築されていない現状について、体験を交えて語った。変えていくにはもっと社会的アピールが必要。
2. キャリアアップと家庭生活の両立は難しい?
- 子供がいなくても臨床で働くのは大変なのに、この上育児なんてという不安。
- 働き方は常勤から非常勤まで多様で、リハ医は現場でまだまだ不足しているため、どんな働き方でも、必ず患者さんや同僚の役に立てる。
3. 家族の協力
- キーパーソンである夫をどうやって強力な協力者にするか。
- シンポジウムで小池純子先生の「育児はチームアプローチ」というフレーズが心に残った。
人生は一度きり、時間は誰にも一日24時間。今、何が大事なのか考えて、できることを順番にやりたいですね。RJNの活動が、女性医師の精神的なサポーターになれればよいなと思いました。
ツイッター風に当グループの会話を紹介します。
「子供が小さいと、夜の会には出られないから・・・」
「昼の会なら行けるよね。」
「こんな会、男性リハ医も参加したいかも?」


(文責 小口和代)
3. 病院外連携の構築
| 司会 | 豊岡志保(山形病院) 小西はるひ(国立精神神経センター) |
|---|---|
| 参加者 | 松本先生(和歌山労災病院) 宍戸先生(佐久総合病院) 高柳先生(横浜市立総合リハビリテーションセンター) 万歳先生(愛知医療学院) 根路銘先生(鹿児島大学) 柴山先生(鹿児島大学) 綾野さん(医歯薬出版) 森本さん(医歯薬出版) |
*二つのグループに分かれてディスカッションをすすめた。
1. パスの運営について
- 急性期病院の立場から 急性期のリハの仕事にリスク管理が大きい要素になってきた。会議ばかりが多くパスができあがらない。
- 回復期病院の立場から 高齢のリハ科でない医師が多い。専従より専任に かわり、以前よりリハ科医師が関われるようになったが、外来や手術できない制約はあり。
- 回復期から急性期病院への要望 急性期の医師にパスを書きっぱなしにしないで患者の回復の様子、急性期を退院後どのようになるのか興味もってほしいし、理解してほしい。そのためのツールになるのがパス。紙で形式をつくるものではない。紹介状だけでなく顔がみえるようにしていく。
2. 院内連携について
- 複数の疾患や合併症がある人は主治医が多く方針が異なることがありコーディネートがリハ医の重要な仕事になる。リハ医またはセラピストが他科の回診や画像カンファレンスに参加して教育する。多職種との関わりではPTOTの学生はリハ科専門医のいる病院に就職しないとカンファをする機会がとぼしいので多職種連携がわかりにくい。
3. 闘うリハビリテーション科医
- 高次脳機能障害など疾患ではなく障害を理解してもらえない時期があった。
- 現在他科の医師の理解は進んでいる部分もあるが、巻き込こんでいって、リハの役割必要性を知ってもらって、理解してもらう。
リハ黎明期の話から介助犬の話まで地域連携、多職種参加はいつでも、どの場でもリハ科医にとって、熱く語れる話題でした。


(文責 豊岡志保)
4. 職場管理
| 司会 | 大串幹(熊本大学) 田中智香(熊本リハビリテーション病院) |
|---|---|
| 参加者 | 小笠原先生(秋田大湯リハビリ温泉病院) 斉藤先生(熊本リハビリテーション病院) 松本先生(慶応大学) 綾田先生(大阪厚生年金病院) 黒川先生 (立川共済病院) 滝吉先生(鹿児島大学) 武田さん(高知大学6年生) |
1. スタッフの確保が難しい
(コメディカルには女性が多く、産休・育休の際の代替は非常勤になるためリクルートが難しい。施設基準が維持できない。)
- 勤務形態の多様化を図り、職場復帰を援助する。管理者に、施設基準に対し余裕のある人員確保を要請する。養成校の非常勤講師や実習施設になることで養成校卒業生のリクルートへつながって行くなどの意見が出た。
2. コメディカルのモチベーション・スキルアップ向上、指導者養成
- リーダー育成として、モチベーションの高いスタッフに対し、密度の濃い指導を行っている。人事交流と同時に他施設のリハの状況理解を図る目的で、急性期―回復期―維持期に渡ってコメディカルの交流会を開いている。キャリアに応じた目標設定、達成状況、今後の課題を明確にする人事考課により全体のレベル向上につながった。教育・研究・キャリア形成援助として、医師とコメディカル共同の勉強会開催や研修会への参加機会を増やしているなどの意見があった。
3. 業務管理・単位管理
- 業務命令(勤務規定)に、一日や週の単位数目標設定を加え、収入に対する業績も評価した。実績として週単位・月単位の患者数(件数)や総単位数をセラピストごとに部局内に掲示したところ有効であったという具体的対策が挙げられた。
終始和やかな雰囲気のなか、以上のような多彩なご意見、アイディアをいただきました。リハ医を目指す学生さんや、若い医師より、「今後の職場の管理や、スタッフマネージメントに役に立ちます。」また、「指導できるように自らのもっとスキルを上げたい」などの感想をいただき、直接現場に関わっておられる先生だけでなく、今からの先生にとっても、有意義なワークショップになったようです。


(文責 大串幹)
5. 専門医会への要望
| 司会 | 浅見豊子(佐賀大学) 緒方敦子(鹿児島大学) |
|---|---|
| 参加者 | 尾崎先生(藤田保健衛生大学) 相良先生(滋賀県立成人病センター) 田中先生(宮地病院) 栗林先生(横浜市立脳血管医療センター) 兼松先生(関西リハビリテーション病院) 福波先生、稲次先生(稲次整形外科病院) |
1. 専門医試験を受けるにあたって
- 専門医になる条件が厳しすぎる。
- 分野が広い。
- 整形外科や脳外科からリハ科へなる人が受けにくい。
- 症例が集めにくい。特に回復期では脳卒中と大腿骨頚部骨折がほとんどで、脊髄損傷はたまにいる程度。パーキンソン病、関節リウマチのリハに関与する機会が少なくなっている。小児の症例を集めるのもたいへん。
- 義肢装具の研修会はほとんどの人が利用している。
2. 専門医試験について
- どんなふうに勉強しているか?
- 口頭試問を先輩がレポートを見ながら模擬で行ってくれる。
- 過去問はクリニカルリハが有用。試験の傾向が変わって来ている。
3. 専門医をとってから
- 各人の不得意分野もあり、専門医会のセミナーは役に立つ。
- 小児の研修会ももっとあれば。
- リハ学会のホームページの会員専用掲示板にも情報が多いので、利用すると役に立つ。
浅見先生の家庭のお話など楽しいお話もあり、和やかな会でした。


(文責 緒方敦子)
6. 診療報酬要望
| 司会 | 藤谷順子(国立国際医療研究センター) 黒木洋美(麻生飯塚病院) |
|---|---|
| 参加者 | 石原先生(杉並リハ病院) 小池先生(横浜市総合リハセンター) 坂田先生(東北厚生年金病院) 橋本先生(聖隷三方原病院) 松原先生(寿生病院) 山内先生(大和市立病院リハ科) |
- 診療報酬制度変更のたびに頭を悩ませなければならない世代と、診療報酬について教わろうかな、という若手の混成グループとなり、勤務先での状況も異なる為、まずは情報交換、というスタートで、あちこち横道にそれながら愉しく時間いっぱい過ごしました。
- 診療報酬を考えながら診療しないといけない、診療報酬改訂による影響が地域も含めた自分たちの診療に降りかかる、という状況への不満は、責任者的立場の先生方には共通していました。しかし幸い、若い先生方はあまり診療報酬のことを考えずにのびのび診療できている様子も伺え、ほっとしました。
- 総合リハがなく、疾患別リハ・総合実施計画書が存在する状況でリハ医になり、それが普通と思ってこられた方がすでに一定数を占めている、という世代間の相違も明らかになりました。
- 実施計画書や廃用の書類については、形式的ではないか、という意見がありながらも、患者さんに渡すものである以上、真面目に書いておられる先生が多く、時間をとっている模様でした。
- また、地域により監査・査定の状況がかなり異なることなども披露されて驚きの声も上がっていました。
結論というようにまとめたものではありませんが、今後に生かしていきたい意見としては次のようなものが挙がりました。
- 単にリハビリの診療報酬、という点だけでなく、医療・介護にかかる費用全体について、病院→老人保健施設など、自己負担が上がる状況だと患者の移動が滞りがちとなるため、システムとして望ましい方向に誘導できるように費用を設定してほしい。
- 療法士が転院や退院に際し作成するレターには診療報酬が設定されていない。作成時間の必要なものでもあり、また連携・患者の益になることでもある。診療報酬の設定を要望しても良いのではないだろうか。


(文責 藤谷順子)
集合写真など

