平成28年10月29日~30日 石川県金沢市で行われた第11回日本リハビリテーション医学会専門医会学術集会において、RJN委員会は10月30日午前9時より、シンポジウム5「障害者支援ブラッシュアップ講座 ~現場からのアドバイス~」を企画・開催しました。

日常診療で患者さんに接する際に浮かんでくる様々な疑問、教科書で勉強はするけれどどうしても答え切れない部分がある、それを現場で活躍する講師の先生方にぶつけよう!という目論見の企画でした。シンポジストは「小児療育」「就労支援」「障がい者スポーツ」の専門家にお願いしました。

開始にあたっては、座長もお願いした東北大学 出江紳一先生から緒言としてICFコアセットに関する概説をお話しいただきました。症例を取り上げてICFコアセットの選択例が示され、ICFを用いた臨床研究も紹介されました。

シンポジウム第1題はNPO法人きっずリハビリテーションサポート代表 作業療法士の梨木勲先生から「放課後等デイサービスの現状」と題してお話がありました。児童デイサービスの概要・現状に関するご説明に続き、症例の提示がありました。障害を有する児が学校行事でスキー学習に参加するにあたり「やるからには少しでも上手になりたい」という本人の思いを支えるために、スキー場の下見、更衣等の練習、学校・スキースクールとの情報共有の大切さをお話いただきました。

第2題は金沢市社会福祉協議会就業支援担当の松本千春先生と、金沢大学総務部ジョブコーチの橋元朋代先生から「障がいのある人の地域生活及び就労支援の推進について」と題してお話をいただきました。松本先生は就労を支援する側、橋元先生は事業者として雇用する側からのお話でした。就労・定着・生活支援のために、個々の障害特性を理解したサポート方法、それを事業所と共有する重要性などが示されました。就労した後も生活リズム、清潔、金銭管理、人間関係など作業内容以外の生活習慣が乱れやすくなる、ということも現場ならではのご指摘でした。「できる部分に注目」し「必要な支援」を行うこと、具体的には視覚支援を用いたり、作業内容をスモールステップに分けたり療育・特別支援教育でも多く用いられる方法が実用されているというのが印象的でした。働き始めて初めて、幼少時にはわからなかった高次脳機能障害などが明らかになる場合がある、というのも大切なご指摘でした。

第3題は国立障害者リハビリテーションセンター 上出杏里先生から「障がい者・児スポーツ支援の実際」と題して、パラリンピック、アジア大会などの帯同経験も踏まえたお話をいただきました。若年者がスポーツと出会う際に、無関心・情報の乏しさが障壁となっているため、医療者・療育機関が「必ず障がい者スポーツを紹介し、現場を把握する」、「安全対策をとる」、「学校やスポーツ現場と情報共有する」ことが重要であるとのことです。代表症例として、普通小学校へ通い、運動への意欲は高くても参加の機会がなかった児に車椅子スポーツを紹介したアスリート成功事例や、高校卒業後に運動量低下から肥満に陥った症例に日常レベルの運動を指導した市民スポーツレベルの事例が紹介され、また内部障害・高次脳機能障害で陥りやすい低活動と体力低下の悪循環についても紹介されました。

質疑応答では、病院とデイサービスでの作業療法の整合性・学校との連携について、肢体不自由者の雇用やトラブルシューティングについて、障がい者スポーツの実際についてなど、マイクの後ろに列ができるほどのディスカッションとなりました。シンポジストの先生方の、ひとつひとつの症例に粘り強くきめ細かく向き合い、支援を「あとひと押し」進める姿勢に多くを学ぶ機会となりました。

RJN企画 プロフェッショナル紹介セミナー 写真

担当世話人 山口朋子・中波暁・三苫純子