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リハビリテーション科女性医師ネットワーク(RJN)

第10回日本リハビリテーション医学会専門医会学術集会 パネルディスカッション1「リハ医のものづくり」報告

~第10回日本リハビリテーション医学会専門医会学術集会~

専門医会学術集会では恒例となった専門医会・RJN共同企画、今回のテーマは時流に乗ったテーマで“医工連携”にかかわる「リハ医のものづくり」。第10回専門医学術集会2日目2015年11月29日(日)、御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンターsola city Hall 第1会場で開催されました。

座長は、医学工学の垣根を越えた大阪大学運動器バイオマテリアル学講座教授・菅本一臣先生とRJN代表世話人・国立国際医療研究センター病院リハ科・藤谷順子。パネルディスカッションでは、ものづくりの様々なプロセスにかかわる5人の演者が異なる切り口で話題を展開しました。

秋田大学教授島田洋一先生は、25年間にわたる理工学系職種への教育、機能的電気刺激(FES)、リハビリテーションロボット開発・研究、製品化までの粘り強いあゆみ、米国某社と共同で薬事承認を得た機器の臨床応用までの実直な経験を、機動戦士ガンダムのイメージを交えつつ、あふれんばかりの熱意をもって語られました。

島根県立中央病院・リハ科永田智子・RJN世話人は、小さなことから具体化しよう!と題し、市中病院の日常臨床での小さな気づき・問題に向き合い実現してきた電子カルテの機能改善・アプリケーション開発経験とチーム医療への効果、臨床現場のニーズを具現化した療養環境調整グッズ、嚥下枕・点滴スタンド安全装置の製品化について紹介しました。

早稲田大学人間科学学術院教授の村岡慶裕先生は、慶応大学理工学部大学院時代から20年にわたりリハ科医と共に臨床現場で研究・開発を続けられ、随意運動介助型電気刺激装置(IVES)をはじめ様々な機器開発をされた方です。リハ機器開発がご縁で、人生の伴侶もリハ科医であること、理工学者としても家庭人としても満足かつ幸せな人生であることにもふれられ、柔和で真摯、かつ秀逸な研究者としてのお人柄が漂いました。

一般社団法人日本医工ものづくりコモンズ理事・柏野聡彦氏からは、ものづくりのカギとなるマッチングについて、自治体や産業支援機関に所属するコーディネーターとのつながり方、公的資金獲得を含む開発支援と知的財産的保護にかかわる注意点・守秘義務にもふれられました。柏野氏が提唱されている、製販業者が事業化を推進する製販ドリブンモデルと医工マッチングの取り組みの実例も紹介され、アイディアを持つ医師にとって教示的な講演でした。

経済産業省関東経済産業局次世代産業課の門田靖氏からは、同局における医工連携推進事業の取り組みと医療機器市場の動向について講演がありました。成長率8%といわれる医療機器市場は海外依存型であり、世界から俯瞰した国内企業は国内外の市場拡大の余地があるものの我が国が誇るものづくり技術は十分生かされていないようです。医療現場のニーズを製品開発につなげる潜在ニーズを拾い出すためのマッチング事業の概要、経済産業省の補助金施策を活用した事業化支援の仕組みについても紹介されました。

医工連携で取り組むものづくりは長い過程を要し、作製側・理工系研究者と臨床医・提案者間での齟齬やすれ違いを避け、粘り強く取り組むことが重要です。総括では各パネラーの共通認識として、相互に真意を伝えるために真のコミュニケーションの重要性を挙げて締めくくられました。