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リハビリテーション科女性医師ネットワーク(RJN)

第1回「この先生に聞きたい!」女性リハ専門医キャリアパス

ゲスト 才藤栄一先生
藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学 I 講座・教授
インタビュアー 小金丸聡子先生
兵庫医科大学医学研究科高次神経制御系リハビリテーション科学
京都大学高次脳機能総合研究センター
蜂須賀明子先生
産業医科大学リハビリテーション医学講座
司会 小口和代
刈谷豊田総合病院リハビリテーション科(RJN委員)
オブザーバー 菊池尚久先生
横浜市立大学(専門医会幹事長)
浅見豊子先生
佐賀大学(RJN担当幹事)
日時 平成21年12月4日 15時30分~17時30分
場所 愛知県豊明市・藤田保健衛生大学

Welcome to RJN!
リハはユニークで普遍的な医学
基礎をリハ臨床に応用するには
仕事はオンザジョブ・トレーニングで身につける
いろいろなモデルがあっていい
ライフステージ上の問題は、多様性が許容されれば解決できる
ユニークさを生かして仕事しよう
対談を終えて


Welcome to RJN!

小口:初めてのRJNインタビューにようこそ。まず最初に参加者の皆さんに、今回のインタビューに懸ける思いを語っていただきましょう。

才藤:第1回の対象者になったことを非常に光栄に思っております。リハビリテーション医学会ができて四十数年経ってもいまだに「新しい」と言われています。で、中身はというと逆に高齢化が進んでいます。専門医の高齢化も明らかです。新しくて年寄り、というのは不都合です。昔をそのまま引きずっていてはいけない。

どこから変わっていくかというと、いろいろな変わり方があると思いますが、ジェンダーの問題はとても大切です。統計を見ても分かるように、若い医師の中で女性の比率は全体に上がってきて、リハ医学会でも上がってきています。特に専門医の数でいうと、女性の比率が平均よりも高い。いろいろな科の中でも「リハ科は女性に親和性が高い」ということが薄々、気づかれてきているのだと思います。

何でもそうですけれど、良いものが残るとは限らない。少な過ぎると滅びるのですね。少ない集団が行っている医療は滅びるのです。それが良いか悪いかとは別問題です。私たちリハ医がきちっと増え、リハの科学を確立しない限り、近い将来なくなると思っています。

今はもう最後のチャンスともいうべき時期なので、リハ医学会でも、新しい人たちがどんどんとんでもないことを言って、打って出てくれるようなシステムができるといいと心から思っています。その中で、女性医師が大きな役割を果たしてくれて、その展開がビビッドに広がっていくと嬉しいですね。

今年秋の専門医会では、女性が集まって盛り上がったみたいですけれども、あらゆる機会を利用して、孤立している人たちが仲間として繋がっていってくれることを望んでいます。

小金丸:私は今、臨床もやってはいるんですけれども、外来という形で、どちらかというと研究をメインにしております。

私はリハビリ科に入りまして、特に男女の区別みたいなことを経験したことはないんですけれども、やっぱりそれはリハビリ科の中に、女性医師が普通に入っているという雰囲気があらかじめできていたからかなという気はします。

ただ、妊娠とか出産、育児で、キャリアを離れるというのが、私の周りの女性医師にもありましたし、それから復帰する先生と復帰されない先生というのがどうしてもおられて。復帰するための環境はもう少し、改善する余地があるのかなと感じます。

蜂須賀:私は初期研修を出身大学とは別の民間病院で2年間行って、その時に、多くの科があっていろいろと惹かれはしました。が、結局進路を決める時、やっぱり自分は患者さんにすごく密着した「治療はしたけど、その後家に帰ってどうなるんだろう。」というようなことに、とても興味があるということが分かりまして、研修を終えるときにはリハビリ科への入局を決めて、産業医科大学に入りました。

現在は、リハビリに関連する科の基礎を少し勉強したいと思って、1年間、神経内科で研修中です。私はまだリハビリの現場にほとんど直接は触れていないんですけれど、進路を決めるときに、とても迷って。リハビリ科というのは、まだ多くの方には十分理解されていない部分があると思います。今回のインタビューが、これから進路を決める女性の手助けになればと希望しています。

小口:ありがとうございました。実は、事前にインタビュアーの先生方から、才藤教授にこの機に是非聞いてみたい、という質問事項をメールで送っていただきました。まとめると、大きくは二つ、一つ目はリハ医の仕事について、臨床・研究両面からお話を聞きたいと。二つ目として、キャリアアップ上での疑問です。これから進路選択する医学生、あるいは初期研修医の方々向けに語っていただきたいと思っているんですが、リハ医を目指す研修についての話題です。さらに女性特有のイベントということで、産休・育休等々の疑問について話していただければと思います。


リハはユニークで普遍的な医学

小金丸:リハ医療の現場の中で、リハ医不在の現場は数多くあります。リハ医の関わるリハと、療法士だけのリハとの違いは何でしょうか。

才藤:リハ医のいないリハ医療はないです、間違いなく。というのは、リハ患者さんの疾患の診断・治療には医学が必要だからです。孤立した療法士が隔離された場所で医療を提供できるほど、今の医療はのんびりしていません。だからこそ「チーム医療」という言葉が本当の意味で現実になってきました。

だから、他科とも平気でチームを組む必要があります、もしかしたら、整形外科の先生がリハ担当で、その人とチームを組むかもしれません。そういう意味では、リハ医が何者かというのはまた後でお話をしますが、いずれにしろ、もう医師と療法士が組んでいない医療形態はないのです。それは、看護師と医師のくっつく距離とはちょっと違うかも知れません。でも、療法士だけで孤立して別の科ということはあり得ません。

ある患者さんのニードには、全部まとめて対応し、その上で説明できないといけません。それで、初めて患者さんは納得します。こういうのをストーリーテリングといいます。この役割をPTはできない。OTもできない。STも。カンファレンスをやっても駄目。誰が偉いという話ではありません。

患者さんに説明する時に、医学的問題から説き起こしながら、リハビリで何をやっているかを全体を見通して説明しなくてはいけません。家を建てる例を考えてみましょう。例えば、大工さんがいて、設計家がいて、外構屋さんがいて、それを全部まとめた上で、家の販売店の人が「才藤先生、ここはあと幾らかかるので、それだけやると駐車場の分が足りませんよ」と言うと、「仕方ない。こっち削るか」と言う話になります。そういう役割が、リハ医にあります。これがストーリーテラーです。

もちろんこれは「口がうまければよい」という喩えではなく、医学が分かっていて、リハの本質も分かっているという医師が必要、という話です。他科の先生は、リハの本質が分からないから療法士のしていることがブラックボックスになってしまうのです。

蜂須賀:でも、実際には、リハ医とかリハ医学のことをしっかり理解した医師がいない現場っていうのも多いと思うんです。そういうところで勉強してる研修医の先生とか、例えばリハビリ医学の講座がないような大学の学生さんが、リハに興味を持った時に、どういうアプローチをすればよいのでしょうか。

才藤:ここは難しいところです。リハは一言でいうと、「ユニークで普遍」です。僕らの前の世代の人たちの多くは、「ユニークで特殊」と思ってた。だから、少し暗い片隅にいていいと。だけど、今はそうじゃない。「ユニークで普遍」。

小金丸:具体的に、どんな点がユニークなのでしょう?

才藤:リハ医学のフォーカスが行動あるいは活動にあるという点です。病理じゃない。だけどもちろん病理を持っている人間に対応するわけです。

「障害の階層」は知っていますよね。Pathology(病理)、Impairment(機能障害)があって、Disability(能力低下)がある。Handicap(社会的不利)もある。Handicap側に寄れば寄るほど社会的、Pathology側に寄れば寄るほど生物学的、あるいは物理学的になる。そして、それぞれの「階層」にとって両隣はとても重要ですが、1個離れるとあまり関係がなくなってくる。これはシステム論が教えてくれます。機能と活動はくっついている。活動と社会はくっついている。それで、どこに私たちの中心があるかと言うと?

小金丸:活動ですね。

才藤:そう。でも、医学の本質はPathology。これは間違いありません。けれども、病理ばかりやってきたら救えなかった。あるいは、生かしたけれどうまく生きられなかった。だからリハが生まれた。そうやって考えていくと、私たちは医学でありながら、ずっと社会的な方角に立っているのです。こういう視点は普通の医師から見ると常に「異質」です。

生かした患者がよりよく生きるために、医療として「生き方」を提供しなければならない。それがリハ医療です。そうやって考えていくと、ものすごくユニークだけど、ものすごく普遍的です。いつも縦糸、横糸という喩えを使うのですが、臓器別が横糸であれば、リハはこうやって入ってくる縦糸になる。だからこそ面白い。もっと突き詰めると、まだまだ分からないことだらけ。とても面白い。ユニークだから新しい仕事の宝庫です。

女性もユニークな存在です、今まで男社会だったから。ということは、女性の視点で仕事をする人は少なかったということです。そうすると、女性であるというだけで新しい道を創れます。そして、その視点をうまく使えば、新しい価値が生まれるわけです。


基礎をリハ臨床に応用するには

小金丸:脳科学を喩えにして話しますが、脳科学でいろんな基礎的成果が出ています。それを臨床に応用していく流れが、リハは結構まだ分断されていると感じています。

才藤:どうしたらよいでしょう?

小金丸:私が考えるんですか?

才藤:僕がすぐ答えたら、つまらないですよね。

小金丸:私としては、療法士の教育もそうだと思いますが、臨床に入ってからも、情報を提供していく環境と、みんなで一緒に勉強して、臨床現場で実際にやってみて、手応えを自分でつかむということがあればいいと思うんです。

できれば、本当に、脳科学だけじゃなくて、いろんな科学的、動物実験で得られたデータとかそういうのが、いっぱい出ているのが臨床に応用されるためにも、やはり基礎の人たちと臨床が同じ場でそれぞれ交流するとか、発表しあって、問題を話し合うとか。そういうのがあると、私はよいと思っています。

才藤:それは実に重要です。そして、それは君が作ればいいのです。基礎の知識と臨床の知識にギャップがあるのは、常。リハだけじゃない、あらゆるところにあって、そこをうまく乗り切ると、新しい道がすっとできるのです。

もちろん基礎科学は重要です。だけど、僕らの側にフォーカスして考えると、行動をきちっと測るような臨床的方法が出てくると、リハだけでなく行動に関わる医学がガラッと変わると思います。

運動は重力の中で遂行される。重力のなかで動いてるものをきちっと測って、例えば、薬が効いて手がスムーズになったら、その度合いをきちっとした単位で表して、この薬が効いたとか、この治療法が効いたとか、示せばよいのです。「視診」だけの世界に未来はありません。

小金丸:今までなかったのですよね。ラットの行動評価すら。

才藤:行動をきちんと定量的かつ客観的に見るようなカラクリが医学全般に乏しかったのです。だから、基礎科学と一緒にやるべきことは、そこからトランスレートして発生した知識を利用しながら、彼らがやっていることを臨床で使える「はっきりした言葉」にするために、こちら側の足場を作ることです。

小金丸:そうですね。そういう概念というのが、基礎にも臨床のほうにもなかった気がします。本当にないです。

蜂須賀:今のお話を伺っていて、定量化できれば、リハ医が何をしているかというのも、他科の先生にもしっかり認めてもらえる。そういう印象がしました。

才藤:その通りです。行動を測る方法を精緻化しないと。

付け加えると、リハというのは基本的にニードから生まれたのです。さっき言ったように、僕らはADLを中心とした活動の領域に関わっているわけです。深く深く入っていくと病理まで行くっていう考え方とは、ちょっとスタンスが違うと思っています。


仕事はオンザジョブ・トレーニングで身につける

小口:では、次の話題に移りたいと思います。リハ医を目指す研修方法についてです。初期研修後にストレートか、それとも、関連各科である程度研修した後がよいのかという質問です。

才藤:もし、リハをやりたいなら早くからを薦めます。それは何故かというと、専門性とは何かということに繋がります。専門性というのは約5万の概念からできています。これは計算した人がたくさんいて、かなり勤勉でも合格レベルになるのに約10年あるいは1万時間かかる量です。

ある専門性が発達し概念が増えると何が起こるかというと、ヒトがそれを極められなくなるので、分裂します。例えば、外科から脳外科が分かれたり、整形外科が分かれたり。つまり、ヒトの限界量課題、そこそこの人間が一生かかってやっと達成できる量の課題が専門性です。

ということは、時間が最も足りないアイテムになります。もちろん人生でも基本的に時間が最も足りない訳ですが。だから、スタートは早ければ早いほうが絶対に有利ですね。

人生の選択で大切なのは「捨てること」です。得ることじゃなくて捨てること。何を捨てれば一番いいか。そういう意味では、リハをやりたいならダイレクトに入れというのが、僕のお薦めです。

だけれど、ここで話をひと捻りしておきます。多様なあり方です。皆、それぞれいろいろな人生を送って、別にナンバー1になるのが重要だと思っていない人もたくさんいます。それでよいのです。また、いろいろ考えた上でリハに来たというのも十分納得できます。多様でよいのです。いずれにせよ重要なことは、自分がやる仕事を真剣に考えることでしょう。何科に行っても。

どの時期に入ってもいいけれど、合理的に考えたら、時間がないのだから早く入った方が得です。ちゃんと捨てた人が人生を楽しめるという話です。

オンザジョブ・トレーニングという概念は知っていますか?

小金丸・蜂須賀:(うなずく)

才藤:要するに、仕事しながらトレーニングする。効率のよい方法です。どうしてもある分野がよく分からなかったら、例えば週に1日、その科の外来を見学したいと言えばいい。簡単です。そうやって、目の前で起きていることに触発されながら勉強していく。だから、最初から入れというのが、僕のお薦めなのです。なかなかそうじゃない人がたくさんいるけど。皆迷うのですね。寄り道だと思うのですが。

蜂須賀:私はリハビリに入る方針を決めて、神経内科を勉強しているのですが。

才藤:よいです。ただし「少年老い易く学成り難し」ということは忘れないで下さい。

蜂須賀:進路を決める2年目の研修の時に、いろいろな先生に相談したのですが、最初からリハビリに行くのは、「医者の生命を自分で断つ気か」と言われるようなこともあって・・・

才藤:面白いですね、それは。リハビリが何かを知らないのと同じ意味ですね。

蜂須賀:はい。周りの理解もまだ十分でない面があるので、これから決める人に何か応援のメッセージをいただければ。

才藤:それはね、自分を信じることです。そして、人がやっていないことをやるのが成功の近道ということを知るべきです。

とにかく、いい仕事には、それなりのちゃんとした社会の評価があって、自分もまたそれに返すという行き来があります。リハ医のいる現場では、そのような価値の往来が確実に存在しています。このような風景を一目見れば、決断がつくでしょうね。そして、ポイントはそれが日本中普遍的な光景ではないという点です。大きなばらつきがあります。でもだから、お買い得なのですよ。


いろいろなモデルがあっていい

小口:次に、女性特有のイベントとキャリアについて話題を進めましょう。女性のライフステージで経験する、産休・育休など、キャリアが中断するとスキルが落ちるのではという不安もあるようですが。

才藤:僕のお薦めは、子ども産むなら、学生時代に産むか、卒業して5年目ぐらいに産むことです。女性に対してこれ以外の注意点はありません。

まず、医者になった瞬間に大きく変わるのです。それまでは消費者で、それがあっという間に生産者(行為者 doer)になって。それもものすごい責任を担って、人の命を預かって。最初の2年ぐらいはそういう戸惑いの中、ものすごく複雑な課題を切羽詰まってやっている時期です。

二つの意味があります。一つはまだ自分が何者か全然分からないこと。もう一つ、周りがその時期にしか教えてくれないことがたくさんあるということ。研修医の2年というのは、本当にその時期しか習えない、そしてその時期にしか変身できないクリティカルピリオドです。すごくしごかれるけど。その洗礼を受けないで医者になったら、よほどの人しか成功しないでしょう。

それ以外は、いろんなモデルがあってよいと思います。本質だけ押さえてあれば。患者を治す、それからその科学をする。そこだけが本質で、その実行はどんなスタイルであってもいい。ずっと独身でがむしゃらにやってもいいし、子育てしながらある時間だけやってもいいし。その人が存在した時と、存在しなかった時の差し引きで、存在した方が社会がよくなればよい。こういう考え方ができるのは、活動を理解しているリハ専門医だからかもしれませんが。

蜂須賀:産休育休で途中休むことでスキルが落ちることは考えられますか。

才藤:スキルは落ちません。最初の1、2年目で休むと、スキルが落ちるんじゃなくて、スキルを得るチャンスを失うので問題なのです。1回学習したものは覚えています。保持されますから、心配はありません。


ライフステージ上の問題は、多様性が許容されれば解決できる

蜂須賀:女性がリハ科を専門にすることのメリットって、あるんでしょうか。

才藤:医師という専門性について考えた場合、生物学的な男女差はほとんどありません。個人的な優秀さの違いのほうがずっと大きいものです。これは間違いありません。少なくともリハ医に関しては。

では差は何かというと、一つは先に説明したようにライフステージで生じる問題をどう乗り切るかという点ですね。その際、リハはかなり有利です。それは、多様な仕事の形態がありえるからです。リハ医の仕事の形態については、ざっと考えても5通りほどあります。回復期リハでの主治医としてのリハ医、急性期リハでの中央診療科のリハ医、大学兼務のリハ医、開業したリハ医、そして、医局を運営する教授としてのリハ医です。余談ですが、最後のは「奇形的モデル」でほとんどリファレンスになりません。

各形態とも独特の学ぶべき特徴があること、各形態によって仕事のスタイルに幅があること、そして、どの形態でもリハ医は引く手数多であることから、ライフステージを十分に考慮しながら専門性を追求できます。これはリハ医としての大きなメリットでしょう。多様な形態が許されているのは、社会がそれを必要とし、その恩恵を受けているからです。

時に、医師のあるべき姿を単純化し、多様な仕事のあり方を非難する人がいます。けれどもそれは愚かだと思います。とやかく言うのは、その人の描く役割モデルが幼稚だからです。「役割」というのは結構受動的なものです。小さい頃から、教師はこうあるべきだ、医者はこうあるべきだという情報に触れていて、気付かないうちにそれが刷り込まれている。だから、例えば、子どもがいるから5時に帰りたいと言うと、とんでもない、ということになる。けれども、とんでもないと言う人の思考がとんでもない。頭の中で、役割がすごくナイーブなまま整備されずにあって、その本質が何かを感じられないのです。それに対し、本質さえ押さえていれば多様がよい、というのが賢い考え方です。

役割の本質さえ押さえておけば、女性がリハ医を専門にすることを社会が受け入れ、いろいろな形態が取り得るという事実は、ものすごいメリットです。

その他の点としては、僕の医局のほとんどの女性医師はチームワークがとてもうまい。特にリハの場合、リーダーは協調型、誘導型です。この点は、例えば外科チームで外科医がスーパースターといったものとは異なるかもしれません。生活にくっついてるという点も女性に有利かもしれません。ただ個人的には、あまりこの点を強調したくないなと思います。それは、生活感は皆それぞれ違って結構偏りがあるので。

いずれにしろ、男女で生物学的な差はありません。そして社会的には、今、女性にとってリハ科は他の科よりかなり有利でしょう。

システムは、常に昔のものを引きずっています。例えば、医者が男ばかりだった時代にできた科学は、その「男」を引きずっているのです。でも、不幸にしてリハは未だ不完全なので、案外、よいかもしれませんね。

小金丸:これからが本番ということですね。


ユニークさを生かして仕事しよう

小口:では、最後にまとめとして、これから専門を決める女子学生、女性医師に、教授からメッセージをお願いします。

才藤:マイノリティーは、マイノリティーのメリットを活用すべきです。女性はマイノリティーです、今のところ。これは日本の話ですが。

この現象そのものは社会的なものですから、ゆっくりとしか変わらないでしょう。僕らが自分たちの仕事など何かの有り様を考えるときには、常に眼前に、引きずってきた雰囲気や歴史が漂っています。そこから逃れるのはなかなか大変です。そういう意味で、男が作ってきた社会や医学というのはずっと存在していて、常にその慣性を引きずっているわけです。それが、いろいろな役割の話にも繋がっています。

これを乗り切るだけの大胆さというか、頭の切り替えができるようになってくると、皆さんもっと幸せになれるでしょう。要は、ユニークなほうが面白くなるよと伝えたいのです。女性は今のところ、医者社会ではまだユニークな存在ですので、それを生かしたらどうでしょう。皆さんの幸せにつながるのではないかと思いますし、それを認める人たちとチームを組んだらとても楽しいでしょう。女性医師の活躍をとても期待しています。


対談を終えて

対談当日はオブザーバーとして、専門医会幹事長菊池尚久先生とRJN担当幹事浅見豊子先生をお招きし、さらに藤田の女性医局員3名も飛び入り参加して、にぎやかに行われました。才藤教授の「仕事への構え」と「女性医師への期待」についてたっぷり聞けた、あっという間の2時間でした。お二人のインタビュアーの問いかけに、私も進路について考えた頃のことを思い出しました。臨床では、患者さんのニーズに応えるスタンスで学べば、全く問題なし。進路に迷える皆さんには、男女問わず、とにかく幅広く、奥の深いリハの世界に飛び込んで欲しいです。(小口)