日本リハビリテーション医学会

内部障害のリハビリテーション

内部障害のリハビリテーション:イラスト内部障害とは
 
内部障害とは世界保健機関(WHO)により提唱された国際障害分類試案の機能障害の一つに属し、心臓、呼吸、腎尿路、消化など内部機能障害の総称と定義されています。一方わが国の身体障害者福祉法では現在のところ、心臓機能障害、腎臓機能障害、呼吸機能障害、膀胱・直腸機能障害、小腸機能障害、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害の6つを内部障害(内部機能障害)と規定しています。

内部障害の内訳
  2001年の内部障害患者数は84.9万人で、その内訳は心臓機能障害46.3万人、腎臓機能障害20.2万人、呼吸機能障害8.9万人、膀胱直腸機能障害9.1万人、小腸機能障害0.3万人、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害0.2万人です。

リハビリテーションの意味
  内部障害者は長期の安静・臥床などにより身体・精神活動の抑制を強いられることが多く、その非活動性は能力低下をもたらし(廃用症候群)、内部障害や運動機能障害がさらに悪化するという悪循環に陥りやすいので、その悪循環を断ち切るために積極的に運動を行い、フィットネスを維持向上させる必要があります。

リハビリテーションの有効性
  心疾患、呼吸器疾患に対するリハビリテーションはすでに歴史がありその有効性も明らかになっています。最近では腎臓機能障害に対しても運動療法が有効であるとする報告が出されています。また、生活習慣病である高血圧、糖尿病、高脂血症に対しても運動療法の有効性が示されており、高血圧に対しては十分な運動療法の施行により収縮期血圧で10〜20mmHg、拡張期血圧で5〜10mmHg程度の降圧が得られ、比較的軽い強度の運動が効果的とされています。これらの知見から、高血圧に対しては1996年に、糖尿病や高脂血症に対しては2000年に運動療法が正式な保険診療報酬となりました。現在では、これらの疾患は生活習慣病として、運動を含めて総合的に治療するようになっています。今後も、内部障害のリハビリテーションの重要性はますます高まると思われます。

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