日本リハビリテーション医学会

心(臓)疾患のリハビリテーション

心(臓)疾患のリハビリテーション:イラストその1心疾患の重要性
  心疾患は悪性新生物(がん)に次いで、わが国の死亡原因の第2位で、1年間に人口10万人あたり120人が心臓病で亡くなっています。心疾患のリハビリテーションは、心疾患のなかでも、心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患の患者さんを中心に発展してきました。虚血性心疾患の患者数自体は減少しているものの、なお国民の90万人近くが継続的な治療を必要としています。

心筋梗塞後のリハビリテーション
  以前は心筋梗塞になると、最低3週間以上の安静臥床が必要とされていましたが、その後の研究や医学の発展によりその安静期間は大きく短縮され、現在では合併症のない場合では、発症当日か、もしくは翌日から座ったり、自分で食事を取ったりするようになり、4〜5日で、病室内をゆっくりと歩くことを行うようになっています。入院期間も2〜3週間程度と短縮されています。また、退院後も、心臓の運動耐容能を検査しながら徐々に運動量を増やしていくことで、社会復帰や娯楽などの生活活動範囲を広めていくことが可能です。このような過程を安全かつ効率的に進めていくことが、心筋梗塞後のリハビリテーションと呼ばれているものです。

適応のひろがり
  心疾患のリハビリテーションの発展は心筋梗塞を中心に進んできましたが、その適応もひろがり、1995年にアメリカ心肺リハビリテーション協会が発表したガイドラインの中で、「心血管疾患患者が、一人ひとりの最も適した身体的、 精神的、社会的、職業的、情緒的状態に回復し、それを維持するための過程」と定義されました。現在では、他の心臓・血管の病気や、心臓の手術後などにも広く行われるようになっています。また、最近では、心疾患の発生の原因となる動脈硬化を予防し、心疾患の発生を防ぐことにも力が注がれており、運動療法のみならず、食事療法、心理カウンセリングなどを含めたリハビリテーションプログラムが研究されています。また、高齢者や障害者、さらにより重度の心疾患に対するリハビリテーションの研究も進められています。
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