算定日数制限を疾患別に一律に決めることの問題点

(1)必要な算定日数に関しては、疾患群ではなく個々の患者においてバリエーションが大きいので、算定日数制限の除外対象患者以外の患者においても、算定日数制限以上の日数が必要な場合にしばしば遭遇する。

(2)算定日数で収まらないことが予想される脊髄損傷などの疾患は、入院適応なしと判断してしまう場合がおこってしまう。

(3)介護保険対象でない年齢および疾患のために、どうしても医療保険で維持的なリハビリテーション治療を行わなければ廃用性の障害が出現する患者がいる。

(4)算定日数制限の除外対象患者になると、制度上は以前よりも診療報酬算定が行いやすくなり、不必要なリハビリテーション治療が場合によって行われてしまう可能性がある。

(5)開業している代替医療者に医師の同意書に基づく療養費を日数制限無く認めていることと整合性が取れないこと。

(6)十分に機能的なアウトカムが得られていない時点で、健康保険での診療の取り決めにおける算定日数制限の日となったことの理由で、治療を終了することを患者に説得することは難しい。

(7)維持期に利用することが前提となっている介護保険での通所リハビリテーションの個別患者における機能訓練の質が、現在の日本では必ずしも高くない。また、通所リハビリテーション自体の運用が個別の機能訓練を適切に行うことを目的としていない場合も多い。

(8)治療を継続することにより改善の得られる場合だけでなく、障害の状態の維持や進行の遅延が可能と医学的に判断される場合にもリハビリテーション医療の適応となると考えられる。