[リハ医学 第 34巻第9号, pp. 598-604 (1997); 原 著]


片麻痺側下肢への分離促通的集中運動療法の下肢随意性と筋力への効果について

川平 和美  緒方 敦子  東郷 伸一弓場 裕之  白浜 幸高  田中 信行

鹿児島大学医学部附属病院霧島リハビリテーションセンター

(受付: 1996年10月21日; 受理: 1997年6月21日)

要 旨: 歩行不能の脳卒中片麻痺患者12名(53.6±10.4歳,発症後5.5±2.2週)に,健側強化や起居移動能力の訓練等の伝統的運動療法を入院時より継続して行い,これらに加えて,5種類の共同運動から分離した運動パターンを各々1日100回ずつ反復する麻痺側下肢への集中的運動療法を入院3,4週と入院7,8週に2週間ずつ併用し,麻痺側下肢機能の改善を比較した.2週間ずつの集中的運動療法の追加によって,麻痺側下肢のグレードは,初回,2回目とも有意に改善し,足タッピング,膝屈伸の等尺性筋力と最大運動速度も有意に改善した.一方,伝統的運動療法単独ではこれらの改善は少なく,麻痺下肢の随意性向上には,より徹底した共同運動分離の訓練が必要と思われた.

キーワード: 片麻痺(hemiplegia), 運動療法(exercise therapy), 機能回復(functional recovery), 促通手技(facilitaion technique), 可塑性(plasticity)


[English abstract]