[リハ医学 第
豊田 章宏,島 健,平松和嗣久,辻上 周治,金沢 郁夫
中国労災病院リハビリテーションセンター
(受付:
要 旨: 半側空間無視(USN)の急性期の臨床経過を明らかにするために,急性期脳卒中症例128例を対象として,3種類の机上テスト(抹消試験,線分二等分試験,模写試験)と日常生活動作(ADL)からUSNの臨床経過を観察した.ADL上のUSNは個々の机上テストよりも3種類の合計点とより相関が高かった.発症初期にUSNは128例中34例(26.6%)に認められ,その34例中10例では平均3.4週(2〜5週)で消失または著明な軽減を認めたが,USNの消失は机上テストの方がADL上のUSNよりも早く消失した.USN消失群では完全自立が30%と多く,全介助は認めなかったのに対し,残存群では自立は8%と少なく,全介助が71%であった.また,USNの予後予測のために123I-IMP静注法SPECTによる脳血流評価を発症3週間以内に施行した.左麻痺22例について血流低下域の大きさと再分布の良否から検討したところ,再分布が良好な症例ではUSNは消失または軽症化し,病巣が大きく再分布不良な症例ではUSNが強く残存するという傾向が認められた.
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