[リハ医学 第 40巻第8号, pp. 537-545 (2003); 原 著]


阻血による片側下肢の神経遮断が立位姿勢制御に与える影響

佐 古 めぐみ

慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室

(受付: 2003年1月6日; 受理: 2003年7月3日)

要 旨: 片側下肢の神経遮断が立位制御に及ぼす影響について,健常成人男性19名を対象に運動学的検討を加えた.右大腿部末梢の阻血による神経遮断後の立位は,右下肢荷重量の減少,右側の股関節と膝関節の屈曲,右足底圧の動揺中心の後退により構築された.その際,右腓腹筋の筋活動が減少し,左下肢筋群と右大腿および体幹筋群の筋活動が増加した.片側下肢の感覚神経遮断は,‘ankle strategy'に基づいた姿勢制御を困難にし,神経遮断された下肢に荷重するためには,両下肢・体幹筋の代償がさらに必要となることが確認された.

キーワード: 姿勢制御(postural control),足関節制御(ankle strategy),足圧中心(center of pressure),神経遮断(nerve block),阻血(ischemia)


[English abstract]