[リハ医学 第 41巻第3号, pp. 168-175 (2004); 原 著]


脳外傷クリニカルパス―導入前後における効果判定―

橋本 圭司  大橋 正洋  森田 智之岡本 隆嗣  宮野 佐年

神奈川リハビリテーション病院リハビリテーション科

(受付: 2003年9月2日; 受理: 2004年2月13日)

要 旨: 当院では,2002年7月から脳損傷専門病棟において,脳外傷クリニカルパスを運用している.対象は2000年7月〜2003年6月の3年間に当院へ入院した脳損傷者325名(平均年齢40.6±16.4歳,男性267名,女性58名)である.発症から当院入院までの期間は平均424.2±955.1日であった.疾患の内訳は,脳外傷243名,脳血管障害37名,低酸素脳症12名,脳炎8名,てんかん脳部分切除術後4名,その他6名.それらについて,入退院時の日常生活自立度,入院期間,転帰を調査し,パス施行前の215名と施行後の110名について比較した.パス前後で,入院中に同様のFIMの改善を認めたが,入院期間は89.5±46.4日から76.1±46.0日と有意に短縮した.要因として,再評価入院群,転院群といった,もともと社会的要因が入院期間を遷延させていた症例群にパスを適用することによって,明確な治療指針を示すことができたことが考えられた.

キーワード: クリニカルパス(clinical pathway),脳外傷(traumatic brain injury),リハビリテーション(rehabilitation),認知障害(cognitive dysfunction)


[English abstract]