[リハ医学 第 41巻第5号, pp. 296-301 (2004); 原 著]


書痙患者の書字評価―簡易な筆圧計による筆圧分析の有用性の検討―

新藤恵一郎  辻 哲 也  正門由久  長谷公隆  木村彰男  千野直一

慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室

(受付: 2003年11月13日; 受理: 2004年4月4日)

要 旨: 書痙患者の書字評価における,ペン型の簡易筆圧計の有用性を検討した.健常者10名を対象に筆圧計による書字評価を2回行い,筆圧評価の各指標(書字時間,最大筆圧,平均筆圧,変動値)を算出,再現性(同一被検者内信頼性)の検討を行ったところ,級内相関係数はいずれも0.7以上であった.次に,健常者10名と書痙患者10例における筆圧評価の各指標の比較を行ったところ,書痙患者群では,書字の粗雑さを表す指標(書字時間,変動値)が,健常者群より有意に大きかった.ペン型筆圧計は簡便かつ相応の信頼性があり,健常者と書痙患者の筆圧波形の特徴を数量的にうまくとらえることができ,書字評価法として有用であることが示唆された.

キーワード: 局所性ジストニア(focal dystonia),筆圧(writing pressure),拙劣さ(clumsiness)


[English abstract]