[リハ医学 第
渡邉 修 安保雅博 菊池吉晃 妹尾淳史 来間弘展 宮野佐年 米本恭三
東京都立保健科学大学
(受付:
要 旨: 随意運動において,ペーシング音の前補足運動野(pre-SMA)および補足運動野(SMA proper)に対する影響を,機能的MRIを使用し,健常成人10人を対象に検討した.運動課題は母指の各指への順序だった対立運動で,自己ペースで行う場合と,メトロノームによる聴覚誘導で行う場合を比較した.大脳皮質の賦活は,それぞれの領域に10の関心領域をとり,MRI信号強度(t 値)として検出,分析した.右手では,自己ペース運動の場合,10例中6例で右のSMA properに,3例で左のSMA properに賦活が見られた.そして,ペーシング音により,各々,6例中5例,3例中2例で同領域の活動は消失もしくは減少した.一方,左手では,自己ペース運動の場合,10例中5例で右のSMA properに,1例で左のSMA properに賦活が見られた.そして,ペーシング音により,各々,5例中4例,1例中1例で同領域の活動は消失もしくは減少した.しかし右手,左手いずれも,pre-SMAの活動は1例のみにみられ,いずれもペーシング音で減少した.ペーシング音により,特にSMA properの活動が低下する傾向がみられ,こうした現象から,パーキンソン病に対し従来から行われる外的手がかりによる運動の改善には,補足運動野以外の賦活が関与していることが示唆された.
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