<医局だより>

和歌山県立医科大学リハビリテーション科


1999年5月,和歌山県立医科大学附属病院が和歌山市の南端にある紀三井寺(西国33カ所第2番札所の地)に移転した.地上13階,地下1階の和歌山では数少ない超高層ビル(?)である.病床数800床,外来受診件数は1日約1,500名,大学病院とは言いながらも地域の基幹病院としての役割も果たす.新築を機にリハ科が開設され,上好昭孝が初代教授に就任した.公立医科大学最初のリハ科教授である.

リハ科は新病院の1階にあり,診察室,言語療法室,作業療法室,理学療法室,水治療室,義肢装具室,カンファランスルームなど総面積は800m2以上.リハ医は現在3名(上好・前島・松本),理学療法士5名,作業療法士1名,言語聴覚士は非常勤である.外来診療は2診制で毎日行っている.診療が開始されて半年が経過したが,開設当初はリハに対する認識が低く,廃用症候群が多かった.紹介を待っていてはリハ開始が遅れ,患者の能力を十分に生かせない.そこでリハ医が救急・集中治療部に頻繁に(土・日も祝日も)出入りし,リハの必要な患者をピックアップして紹介を受けるようにした.救急・集中治療部は研修医にとっては必須科であるため,リハ医にとっては急性期リハの重要性を啓蒙できる.最近では患者が入ると救急・集中治療部の研修医よりリハ科紹介の電話が鳴ることも増えた.現在,外来患者は1日50〜70名で,病棟からの新患紹介に加え,筋電図や高次脳機能検査の依頼があり,超多忙な毎日である.毎週金曜日は上好教授の装具診(Brace clinic)があり,外来・入院患者に対して,種々の新しい装具を考案・開発している.また毎週水曜日にはリウマチ患者を対象に水治療を行っている(要予約).言語療法の需要も高く,リハ科のみならず脳神経外科,神経内科より脳卒中による失語症や構音障害を,歯科・口腔外科から口蓋裂術後を,耳鼻咽喉科から人工内耳術後などの紹介がある.リハ科の入院ベッドは5床しかないが,他科ベッドを借りて入院患者を確保し,関節リウマチ,脳卒中,脊髄損傷などの主治医となってもいる.

また,医学部の系統・臨床講議や臨床実習(ポリクリ)もある.3名のスタッフではあまりにも重荷であるが,リハの教育を受けた医師を少しでも増やして,県下のリハ医療の質的向上を図れるように卒前・卒後教育にも情熱を傾けている.なお当科では入局者・研修医などを内外より随時受け付けているため,興味をもたれた方は自薦・他薦を問わず連絡をいただきたい.(前島伸一郎)


和歌山県立医科大学リハビリテーション科
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