<医局だより>

神奈川リハビリテーション病院


神奈川リハビリテーション病院は,厚木市郊外丹沢山麓の神奈川県総合リハビリテーションセンター(神奈川リハセンター)内にあり,病床数280床,常勤医師44名のリハ専門病院である.神奈川リハセンターは2病院,5福祉施設からなり,医療施設としては当院と七沢病院脳血管センター,福祉施設としては身体障害者更生施設,知的障害児(者)更生施設などが含まれている.このなかで神奈川リハ病院は,重度障害者の医学的リハと合併症の治療,施設部門の健康管理にあたっている.

病院では各科別の医局体制はとっておらず,病床も各科毎のベッド数は固定されず需要に応じて増減する.このような形は医局としてのまとまりを欠くおそれもあるが,特に重複障害を扱う場合には各科の専門的な意見を気軽に交換できる.リハ専門医・認定臨床医は各科に散在しているが,リハ科としての現員は5名で,うち専門医2名,大学からのローテーション3名である.

リハ部門は,リハ医からの処方を受けてリハ治療を行う形をとっている.PT,OT,STはもちろんであるが,臨床心理,体育,職能,リハ工学の各部門を持っていることが特色であり,他の施設では困難な幅広いニーズにも対応可能となっている.リハの対象者は,脳外傷,脊髄損傷を主として,骨関節疾患,四肢切断,重度重複障害など多岐にわたっている.脳外傷者に対しては,当センター利用者が中心となった当事者団体とも協力して長期的視野にたったチームアプローチを展開している.脊髄損傷者については,1998年に新設された脊髄損傷病棟の運営がようやく軌道のってきた.いずれも病棟などでのカンファランスを常時行って,充実した治療ができるよう努めている.またその成果をまとめて治療スタッフ全員で書いた「脳外傷マニュアル」「脊髄損傷マニュアル」の刊行,改訂を進めている.

しかし昨今は病院をとりまく情勢は厳しく,県財政の悪化を受けて経営改善が進められている.病院の建物は25年以上を経過して老朽化しており,改装中である.一方で対象患者の障害は重度になり,病棟での介助量は増えリハ治療は複雑になり,数少ないリハ医は病棟・外来・施設・地域と走り回ることが多い.治療の水準を維持・向上させつつ無駄を省いた適切なリハを行うことを模索する毎日である.(伊藤 良介)


神奈川リハビリテーション病院リハビリテーション医学科
〒243-0121 厚木市七沢516
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