<医局だより>

鹿児島大学医学部リハビリテーション科 


鹿児島大学医学部リハビリテーション科は昭和63年に国立大学では全国初のリハ医学講座,リハ科として発足した.昭和12年に設立の県立病院温泉治療研究所を前身とし,昭和33年からは鹿児島大学医学部霧島分院として運営されてきた.現在,リハ講座を鹿児島市内の医学部に,リハ科を霧島リハセンターに置くという形をとっている.
 霧島リハセンターは,自然豊かな緑と温泉の湯けむりに囲まれた中にある.病棟は50床(リハ科・内科)で,外来はリハ医療だけでなく,地域の病院として高血圧や糖尿病などの生活習慣病,風邪や腹痛,また内科的救急診療も行っている.平成10年度は入院患者334名(稼働率95.3%),外来患者延べ9,913人だった.入院は脳血管障害が全体の60%を占めるが,ここ2〜3年は本院からの脳外傷やHAM,脊髄損傷,慢性関節リウマチなどの紹介患者も増えてきた.PT3人,OT1人しかいないため,各主治医が運動訓練や言語,高次脳機能の評価,訓練にも取り組んでいる.また,3年前から月〜金曜の毎日,当科の医師2人が本院のリハ室で他科からの紹介患者のリハ評価,リハ指示,装具指示などを行っている.本院にリハ病床はないが,これにより他科から早期のリハ依頼が増えてきた.
 霧島リハセンターの週間スケジュールは月・木曜日に各2名の患者の集中的な機能診,火曜日は午前中教授回診,午後から看護部,リハ部も合同の評価会議,木曜日に装具診,そして土曜日は午前中に“遊びりてーしょん”を行っている.
 我々が特に力を入れていることとして,(1)リハ効果の発現機序,効果促進法の開発(遺伝子転写,脳可塑性,集中訓練,薬物等),(2)スーパーローテーション研修(全員2年間の研修医中に1.5年を3〜4科の他科研修),(3)社会的リハ啓蒙活動(公開講座年4回,実習・研修生年100余名),(4)患者アメニティの向上(食前酒,コーヒー,紅茶サービス,カラフルな衣服,化粧の推奨等)である.
 特に昨年3月,病床50床のままで810m2の増改築を行い,おそらく国立大学では初めて大部屋(4人室)にすべてトイレ,洗面所を設け,今年度の文部省文教施設部長賞(リニューアル部門)を受賞したことは最も明るい話題である.
医療,福祉のみでなく,教育(大学)にも厳しい抑止の波が押し寄せているが,教室員皆で力を合わせて進みたい.(緒方敦子・田中信行)

鹿児島大学医学部附属病院霧島リハビリテーションセンター
〒899-6603 鹿児島県姶良郡牧園町高千穂3930-7
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