<新理事会発足>

理事長 挨拶

日本リハビリテーション医学会理事長 千野 直一


平成12年度の役員改選により,私が再度理事長職を仰せつかることになりました.これからの2年間の学会運営に関しまして,皆様のご指導,ご協力を賜わりますよう宜しくお願い申し上げます.
 21世紀へ向けて,過去2年間,病床群分類,診療報酬点数改正,ドクターフィーの導入,介護保険制度実施などに関しての要望を厚生省,日本医師会へ,また,国公立大学医学部・医科大学附属病院に「リハビリテーション科」標榜科の設置とリハ医学教育充実の要望を文部省に行ってきました.しかしながら,医療法改正の多くが2年後の平成14年度へと先送りとなり,ここ数年は先の見えない不透明な時代を乗り切らなくてはなりません.今は「リハビリテーション科学」が文部省科研費の新規細目として採択されることを祈るばかりです.今年度は3年時限の「リハビリテーション科学」の項目がなくなっていますが,11月に予定されている科研費の応募には,皆様の多くの申請をお願いいたします.

 さて,現在,本医学会が対処しなければならない課題として以下のものがあります.
 第1は,学際的なデータを構築し,介護保険制度のよりよい運用に寄与することです.リハ医学の基本的研究課題である,運動・認知機能の客観的評価法が,介護保険制度の施行に必要な要介護認定や介護実践の効果判定に応用されなければなりません.
 第2として,患者に優しい医療が求められていることです.そのためには今までより以上に,科学的根拠に基づいたリハ医学・医療,すなわち学会としてEBRM(evidence-based rehabilitation medicine)を発信する責任があります.
 第3は,国際化にむけての体制づくりです.新たな国際リハ医学会ISPRM(Int Soc Phys Rehabil Med)の第1回学術集会が2001年7月にオランダで開催されます.日本リハ医学会はアジア太平洋諸国をまとめる要と期待されており,本年度中にアジア諸国を中心とした国際シンポジウムを開催する予定です.一方,ようやく本医学会でも外国人会員の推薦,海外学術交流派遣への奨励金,学術研究助成基金設立など,国際化とあわせて研究面での充実を図れる体制が整いつつあります.
 第4として,多様な情報を広く,迅速に提供する方策です.本医学会は昨年4月より「リハニュース」を刊行し,また,本年1月よりホームページを開設し,会員の方々へ最新の情報を発信する方策を構築してきました.これからは,さらにその内容のレベルアップを図る必要があります.
 第5は,本医学会運営の検討です.将来の代議員制度導入や地方会の在り方を検討したり,また,諸医学会の在り方を参考にしながら本医学会の運営方針を見直す時期に来ていると考えております.


 このように,懸案事項は山積しておりますが,本医学会のさらなる発展のために微力ながら全力投球する覚悟でおります.会員の皆様のご協力を重ねてお願い申し上げます.