<研修印象記>
<国際委員会>
平成12年度海外研修助成◎研修印象記
菅 俊 光 (関西医科大学 総合リハビリテーションセンター)

日本リハビリテーション医学会Travelling Fellowとして10月9日から約3週間の日程でMilwaukee(Wisconsin),Buffalo(New York),Hilton Head Island(South Carolina)の3カ所を訪問させて頂きました.
第一の訪問地はMichigan湖の畔にあるMilwaukeeで,昨年のリハ学会でシンポジストとして講演されたMedical College of Wisconsin(MCW)のMichael K. Yoshida先生を訪ねました.
初日は吉田先生が勤務されているVeterans Administration(VA)を見学しましたが,病室での患者1人あたりの空間は日本とは比べものにならないほど広く,リハ施設に関しては入院用と通院用に別々に訓練室が設けられていました.吉田先生の外来も見学させて頂きましたが,30分に1人の割合の予約となっていて一人ひとりの患者さんとゆっくり話をされていました.
翌日はMCWの本部があるFroedtert Memorial Luthern Hospital(FH)を見学しましたが,私立ということもあり非常にきれいな病院でした.アメリカでは私立病院は約20年で建て替えになるらしく,吉田先生はこのことが医療費にも跳ね返っていると嘆いておられました.また,1998年10月からリハ科がDRG/PPS(Diagnosis Related Group Prospective Payment System)に含まれるようになってからリハ科の収入が減り困っているとも言っていました.FHでは,私が以前に行っていた制御関節付き長下肢装具についてのプレゼンテーションを行う機会がありました.VA病院で予演会,吉田先生の奥様の発音指導の甲斐あって,WMC Physical Medicine and Rehabilitation ChairmanのMerritt先生,吉田先生,義肢装具士,エンジニアを交えてのプレゼンテーションでは活発な意見交換ができました.
次にNiagara瀑布にほど近いBuffaloへ行き,Millard Fillmore Hospital(MFH)とErie County Medical Center(ECMC)を見学しました.MFHでは外来部門を,ECMCでは入院部門を見学しましたが,ECMCでは午前7時からの回診,カンファレンスにも参加させて頂きました.
最後に,ACRM Annual Meetingの開催地であるHilton Head Islandを訪れました.小さな学会でしたが,リハ医,看護婦,理学療法士,作業療法士等の多くの職種の方が参加していました.私はポスターでの発表で,ポスター演題40題中の約半数にはプレゼンテーションが課せられていました.残念ながら私のポスターにはプレゼンテーションはなく,Travelling Fellowとして少々肩身の狭い思いをしていましたが,最後にポスター賞を受賞することができてほっとしました(写真).
今回最も印象に残ったことは,施設等の環境は日本とは比べものにならないほどの差はありますが,行っているリハの内容に関しては日本とほとんど変わりがないということです.そして,自分がこれからリハ医として働いていく道筋が見えたような気がしました.今後は,これらの経験を生かしてさらに自分自身を磨くとともに,後輩達の指導にあたりたいと思います.
最後に,私をTravelling Fellowとして快く受け入れて下さったMCWの吉田先生,MFHのPeimer先生,Travelling Fellowに選んで下さった日本リハ医学会の先生方に心からお礼を申し上げます.
(研修報告はリハ医学38巻1号6頁に掲載しています).