<医局だより>

秋田県立リハビリテーション・精神医療センター


 当センターは,秋田県の中央,秋田杉の美林と雄物川に囲まれた田園地帯,仙北郡協和町に位置しています.秋田市内から高速秋田道で20分,また県の空の玄関,雄和町飛行場からも至近距離にあります.当センターは平成3年に発足した秋田県の「痴呆・ねたきり予防委員会」の提言をもとに具体化された県立医療機関で,リハ科と精神科を主体に,平成9年に開設されました.病棟は,身体障害リハ病床100(2病棟),精神科病床100(3病棟),および痴呆病床100(2病棟)の7病棟,総病床数300床で構成されています.リハ科スタッフは現在,千田富義センター長を含めて8名.出身大学と経歴は様々ですが,その特性とキャリアを生かした意気の合った医療チームを構成しています.疾患は,脳血管障害を主に,痴呆を含む神経変性疾患,頭部外傷,脊損,などを扱っています.診療圏は秋田中央から県南,一部県北に拡がり,全県の身体障害・精神障害に関わるセンターを目指しています.当科の特徴の第一点は,センターの特性を生かして,身体障害と痴呆性疾患の診断と機能評価・リハ的対応に力点を置いていることです.身体リハ外来では紹介患者の診断と機能評価のほか,退院患者のフォローアップを行い,特にその維持期の指導管理を行っています.運動不足による肥満や糖尿病の悪化など,肢体不自由者の障害悪化を防ぐために発見後早期の再入院リハを勧めています.また“もの忘れ外来”を担当して早期痴呆の発見と診断・治療・リハ的対応・生活指導に取り組んでいます.脳卒中リハに関しての特徴の一つは,“脳卒中機能評価(RES)システム”を開設当初から導入し,機能予後予測と評価に役立てていることです.既に現在まで多くの独自データの集積も進みました.また,開設時にVF検査用の透視椅子を創案・設置し,嚥下障害の診断と機能評価・治療にも力を入れています.高次機能障害に関連した各種の認知障害,記憶障害に関するスタッフの関心は当初より高く,SPECTなどの機能画像検査や各種の評価測定器具を揃えています.痴呆病棟の一つは現在リハ科が主体に運営して,これらのノウハウを痴呆の早診断に役立てています.本年春より身体リハ病棟の一つを回復期リハ病棟として運用を開始しました.兄弟センターである秋田脳研からの脳卒中亜急性期患者の紹介が多く,若手ドクターが他のコメディカルスタッフとともに頑張っています.近隣町村の高齢者や障害者を対象とした“リハ健診”,リハ職種や看護婦を含む介護職種を対象とした技術講習会なども企画し,少ないスタッフながら目一杯頑張っております.(佐山一郎)
(リハニュース11号:2001年10月15日)
秋田県立リハビリテーション・精神医療センターリハビリテーション科 〒019-2413 秋田県仙北郡協和町上淀川五百刈田352 Tel018-892-3751,Fax018-892-3779 HP: http://www.pref.akita.jp/rehacen/