<医局だより>
東京大学医学部リハビリテーション部

東大リハ部は1963年にリハ医学の展開を目指すため,整形外科の理学療法室や内科の物理療法室とは独立して,院内措置として運動療法室を中央診療部に開設されたことに始まる.1969年から公式に理学療法部となり,1984年には専任部長(教授)が設置された.そして,2001年になってリハ医学分野(旧医学部講座に該当)の設置が文部科学省により認められ,前世紀から持ち越されてきたリハ科がようやく開かれ,昨年2人大学院生が誕生した.今年も2名が入学予定である.このリハ科の設置と同時にリハ部における関連する医療職の統合整備も行われた.分院を含む組織統合により,PT 14名(リハ部7名,内1名は非常勤職員,本院整形外科5名,分院整形外科2名),鍼灸マッサージ師5名(アレルギーリウマチ内科),OT 5名となった.しかし,統合後のリハ診療形態は当面従来通りとし,整形外科医師による処方・指示→整形外科PTによる評価・治療,精神神経科医師による指示→OTによる評価・治療,アレルギー内科医師による処方・指示→鍼灸マッサージ師による治療が各部所で行われている.
専用病棟を保有していないことから,院内各科の入院患者を主な対象としている.対象患者は,整形外科を除き,本院にあるほとんどすべての診療科より依頼を受けている.ただし,整形外科や精神神経科の患者でも障害によってはリハ医師の診察によりリハ治療を開始することもある.最近の診療件数を見ると,入院患者の症例数は平成10年度から漸増し,約2倍に増加している.中央診療部としての年間治療件数は理学療法で約16,000件,整形外科理学療法で約7,000件,身体障害作業療法(中央診療部)で約3,300件,精神科作業療法で約6,000件となっている.
医師診療は,1名の講師を中心に1名の助手と3名の医員(他:研修医1名は院内内科ローテーション)がリハ部主治医として対処している.水曜午前中に1週間の新入院患者の部長回診を実施し,問題症例についての検討会も行っている.補装具,義肢,特殊杖および車椅子等の処方と適合判定は,木曜午後1時から装具診(特殊外来)で実施し,午後3時から現在診療中の患者についての評価会議を医師およびセラピスト全員で行っている.その他,呼吸教室を老年科呼吸器担当医師とPT等により週1回半日外来患者に実施.新たに昨年9月の新病棟開設時に循環器内科病棟の一部に心臓リハの施設認定を受け,始動し始めたところである.
新病棟と中央診療棟が遠くなったことで少々問題が生じてきた.当部では急性期よりリハを開始することが多く,病棟(bed side)での理学・作業療法が施行される比率が高い.さらに,中央診療部で治療を施行する際にも患者の送迎を必要とすることが多い.検査や他科受診等では病棟で送迎を担当するが,リハに関しては送迎をPTやOTが行っているため,タイムロスが生じている.
以上のように一昨年来,新たな設置・統合および新病棟開設が行われ目まぐるしく変化し,それによる問題も生じてきているが,スタッフ一同一丸となって忙しいながらも楽しく働いている.今後は早急に設備,研究施設(今まで存在しない)を整えて,臨床・研究・教育の最先端の発信基地として活動できるよう準備中である.(広瀬 健)
東京大学医学部附属病院リハビリテーション科/〒113-8655 東京都文京区本郷7-3-1/Tel03-5800-8680,Fax03-5684-2094
(リハニュース12号:2002年1月15日)