<REPORT>2002年日本リハビリテーション医学会 |
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「市民公開講座」開催にあたって……担当理事 土肥 信之 このたび日本リハ医学会の事業として市民公開講座を開催いたしました.その背景として医療改革や介護保険の普及などによる医療福祉ネットワークが構築されつつありますが,健康増進や障害予防が地域を中心として意識の高まりを見せています.このような状況でリハビリテーションが医療と福祉の分野で重要な役割を果たすことは言うまでもありません.リハ科が正式診療科になり,「リハビリテーション」という言葉が市民権を得てきましたが,まだまだその正しい知識が市民の皆様方に浸透し役立っている状況とは言えません.地方会の活性化とともに市民講座による働きかけで,リハ医療の正しい普及を図ることを願っております.2001年度は関東で大規模講座1カ所,中四国で中規模講座4カ所を企画いたしました.開催ならびに後援していただきました会員の皆様に厚く御礼申し上げます. |
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【倉敷市】 「高齢社会を元気で暮らすために」をテーマに2月23日(土)13:00〜16:00,川崎医療福祉大学講義棟2601号室にて開催しました.ふれあいセンターや保健所でのパンフレット配布ならびに新聞広告によって,約200名が受講されました.大半が非医療関係の市民で,高齢社会に不安を抱いている方や,障害者を自宅で介護されている方,すでに障害者となられた方が熱心に聞き入っておられました.講演内容は「脳卒中の予防とリハ」(椿原彰夫)と「高齢者介護の具体的方法」(本山須賀子倉敷リハ病院副看護部長)で,特に本山先生には実技を含んだ実践的な内容をご指導いただき大変好評でした(写真).高齢社会に不安を抱いている方々が多く,寝たきりの予防や疾病に関する質疑応答が活発に繰り広げられました.(椿原彰夫/川崎医大) | ![]() |
【出雲市】 出雲市民会館では3月3日(日),長谷川幸子日本医大看護婦長の講演「リハ医の妻が脳卒中で倒れたとき−発病から看護婦への復職まで」に続き,「ここを充実,地域リハ」のテーマでの意見発表(利用者,職員双方から)が行われました.限られた期間での準備に加え,当日は大ホールが空いておらず,また特別な動員もかけなかったため,心配しておりましたが約350名の参加がありました.杖や車椅子での参加が約40名あり,県健康福祉部長の挨拶,県健康推進課長の座長・司会もいただき,講師・発表者から障害体験に基づく急性期リハ医療従事者の心がまえの指摘,患者・家族心理をふまえた地域への復帰プログラムへの紹介がありました.参加者の感想は大変好評でした.(木佐俊郎/島根県立中央病院) |
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【宇都宮市】 「サンキュー(3/9)リハビリテーション―きいて・みて・ふれる市民のつどい―」のテーマで市民公開講座を開催しました.文化会館では,石神理事が,高齢者の介護を実演を交えて講演され,拍手喝采を浴びられました.座談会では,宇都宮市長も参加し,街づくり,社会参加,地域リハシステムなどについて,活発な意見交換がなされました.体育館では,「介助犬の実演コーナー」「スポーツコーナー」「各種相談コーナー」「介護機器展示実演コーナー」「福祉機器展示実演コーナー」「住宅改造モデル展示コーナー」と盛り沢山で,ぽかぽか陽気の中,1,000名を超える方々が「きいて・みて・ふれる」リハを体験されました.(高柳慎八郎/とちぎリハセンター) |
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【松山市】 要介護状態の最大の原因となっている脳卒中にテーマを絞り,その予防と在宅ケアについて「脳卒中の予防とリハ」として3月9日(土),松山市総合コミュニティーセンターにて開催しました.愛媛大老年医学科の小原克彦先生に「高齢者の循環器疾患について,特に脳卒中の予防(再発を含めて)」と題して,生活習慣病と脳卒中の関係とその予防について高血圧・糖尿病・不整脈・高脂血症・肥満・喫煙などのリスクと健康管理を話していただきました.茨城県立医療大の大田仁史先生は「なるな寝たきり,つくるな寝たきり」で脳卒中の方の心理状態を説明し,孤独や閉じこもりからの脱却の重要性とご自身の母親の介護実例をお話しされ,大変感銘的でした.今回の開催にあたって,愛媛県をはじめ行政,医療,福祉など11機関の後援を得ました.松山市周辺を中心に新聞や医師会報や各機関の情報に折り込みを入れて約2カ月かけて参加を呼びかけ,312名の参加で会場は満席となりました.看護・介護・在宅ケア・福祉関係者200名,一般市民112名であり,ほぼ満足すべきリハ啓蒙活動ができたと思います.(首藤 貴/伊予病院) |
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【広島市】 「健やかに老いる」をテーマに3月10日(日),広島大学医学部同窓会館にて開催されました.まず土肥信之広島県立保健福祉大学学長(写真)から開催趣旨が開会挨拶として行われ,続いての講演「身体の自立と心の自立」では「やる気って何?」「心の動き」「身体と心」「自立って何?」「孤独とストレス」が興味深く印象的な内容で話されました.吉村理は「脳卒中にならない方法」と題して久山町研究を中心にわかりやすく話しました.介護とリハビリ研究所の岡部正道先生の講演は「家庭でできるリハ:生活リハ」と題して市民公開講座として,リハ専門職が聞いてもなるほどと思わせる内容でした.(吉村 理/広島大) |