第1回日韓合同カンファレンス報告
特別委員長 上好 昭孝(和歌山県立医科大学リハビリテーション科)
日本リハビリテーション医学会の米本恭三前理事長,千野直一理事長,石神重信理事らの尽力により,本年から2年おきに日韓で交互に合同カンファレンスが開催されることになりました.目的は,両国の意見交換の場と若い医師の研修の場となり,明日のリハ医学の発展の場とすることであります.
記念すべき第1回合同カンファレンスは韓国の京都として知られている慶州のHotel
Hyundai Gyeongiuで,4月19(金)〜20日(土)にわたりPresident Prof. JH Moon,
Vice President Prof. C Parkおよび平澤泰介教授のもと開催されました.
本会のメインテーマは「21世紀のリハビリテーションの役割」でありました.学会前日19日の夕方7時から,Welcome ReceptionがPresident Prof. MoonとVice President Prof. Parkのもとに開催され,Moon会長から歓迎の挨拶があり(写真上),続いて韓国のHonorary President Prof. JS Shinなど組織委員から歓迎の意が述べられました.謝辞をかね日本からは米本前理事長,千野理事長,組織委員がお礼とこの会への期待を順次述べられました.その後立食式の懇親会では風土食豊かな,きめ細やかな料理がだされ和気藹々と歓談の場がもたれました.
また,Moon会長が日本からの積極的な演題応募や参加について感謝の意を述べられ,今後も続けていけるよう期待しているとの挨拶がありました.次回は2004年平澤教授のもと京都で夏頃行われることが決定しました.その後両国役員の懇談会がもたれ,日韓の親善に大いに役立ったと思います.
翌日(20日)は午前9時からオープニングセレモニーがあり,慶州市長の歓迎の挨拶のあと,日本からは米本前理事長,韓国からはMoon会長が,日韓合同カンファレンスの将来について両国のリハ医学の発展のため開催していくことの意義についてそれぞれ挨拶されました.
Plenary Sessionでは,Moon会長が“Past, Present and Future of Rehabilitation
Medicine in Korea”と題して,韓国のリハ医学の歴史や教育システム,病院,教育機関である大学についての実態を報告されました.1958年にYonsei
University College of Medicineでリハ医学の講義が始まり,1972年に韓国リハ医学会が創設されたことなどが報告されました.現在41医科大学のうち34大学でリハ科が既に独立していることなどを知ることができました.また日本を代表して千野理事長が“Past,
Present and Future of Rehabilitation Medicine in Japan”と題して,本邦では1920年にcrippled
childrenに高木教授が医学分野にリハ概念を初めてとりいれられたことや,1963年に日本リハ医学会が創設されたことが報告されました.そのほか専門医制度や教育,将来について紹介されました.
11時からのシンポジウム“Stroke Rehabilitation”では,正門由久氏が“Current
status of stroke rehabilitation in Japan”,Han氏が“Dysphagia management
of stroke”,石神氏が“Orthotic treatment in acute stroke rehabilitation”,Kim氏が“Reorganization
of motor and language network in stroke patients”と題して発表されました.
ランチョンセミナーでは,Seoul大学のHan氏が“Medical management in osteoporosis
treatment”と題して骨粗鬆症治療の重要性は骨折発生率やQOLの改善に重要なことが報告されました.午後は下の表に示すようにパネルとして3部門同時並行で行われ,4〜6時は5会場に分かれ一般演題発表が行われました.
今回の参加者は526名(日本141名)で同伴者が41名であり,一般演題が60題(日本30題),ポスターが139題(日本63題)あり,1日では消化しきれない,内容のあるものでありました.
夜7時から民族ダンスなども盛り込まれた閉会式が開催され,参加者全員が郷土の踊りに堪能されたと思っております.
最後に,昨年9月急遽日韓合同カンファレンス特別委員会ができ,委員の先生方には何かとご努力いただき,また各方面へ演題応募ならびに参加をお願いしたところ,多数の先生方にご協力いただき感謝申し上げます.2年後の日本開催のときにも,会員諸氏には今回以上のご協力をお願い申し上げます.
(リハニュース14号:2002年7月15日)