<医局だより>

北里大学東病院リハビリテーション科


 1986年に地域に根ざす大学病院として,道路を隔てて従来からある北里大学病院の600メートル東に,北里大学東病院が設立されました.外観はピンク色(病院からは藤色というように言われていますが)の病院です.総合病院とは異なり,神経・運動器疾患センター,消化器疾患センター,精神神経疾患センターの主なる3センターからなっています.大学病院が急性期に特化するという現在の保険診療の流れと逆行するようですが,患者を中心に患者に向いた医療を展開するために設立されました.
 このようにある意味特殊な大学病院ではありますが,そのような環境のなか東病院のリハ科は,疾患発症早期から在宅生活に至るまで一貫したリハを提供するように行ってまいりました.チーム医療を展開する上でもリハ科医師,理学療法士,作業療法士,言語聴覚士,看護師が1つのスタッフルームに同居し,常にコミュニケーションを図れる状況にあります.また,臨床心理士,ソーシャルワーカー,保健師等も充実し心理的側面や社会的側面に対するアプローチも行っています.さらに,地域に根ざすということもあり,在宅支援センターも院内に設けられ,訪問医療専用の自動車もあり,リハ科医師を含めたリハスタッフも訪問を行い在宅医療にも力を入れています.それに,精神神経疾患センターに関連して,精神科作業療法も活発に行われています.大学病院としてはちょっと変わっているかもしれませんが,病院の中に体育館があり,そこではリハスタッフの一員としてスポーツ指導員という職種と一緒に作業療法士と臨床心理士などが一緒になって,精神神経疾患患者のデイケア・ナイトケアも行っています.また,慢性期の神経疾患患者を対象にレクリエーションも行っており,ユニークな医療を展開しています.
 このような環境の中でリハの目指すべき理想像を求めて,患者中心の医療を展開していますが,リハ医師としては,写真のような3人で診療している状況で,多忙な診療を行っています.週間スケジュールは,毎日の外来のほかに,義手義足外来1回,装具外来2回,車椅子外来1回,病棟回診1回がそれぞれ半日あります.また,医学部,看護学部,医療衛生学部(理学療法士,作業療法士,言語聴覚士,視能訓練士の専攻のあるリハ学科)などの学生もひっきりなしに出入りしており,それぞれの専門職の養成を担う活気のある大学病院のリハ部となっています.急激な変革により医療体制の荒波の中,常に患者の方を向いた医療を心がけて行っていきたいと思います.(前田真治)

北里大学東病院リハビリテーション科/〒228 -8520 神奈川県相模原市麻溝台2 -1 -1/Tel042 -748 -2708,Fax042 -748 -2078
リハ医師:左から頼住孝二医師,古橋紀久医師,筆者
(リハニュース17号:2003年4月15日)