本医学会から厚生労働省に申請しておりました、表記、広告できる「リハビリテーション科」専門医がようやく2004(平成16)年3月1日をもって受理されました。会員の先生方と共にお慶び申し上げたいと存じます。また、本件に関して種々ご尽力いただいた関連委員会委員、担当役員、また、事務局の皆様に感謝申し上げます。
顧みますと、2003(平成15)年12月16日に、小生、伊藤利之常任理事ならびに鈴木事務局長とで厚生労働省の石黒担当技官に専門医認定に関する申請書類を持参しましたところ、日本専門医認定制機構の中で基本的領域診療科になっている日本リハビリテーション医学会からの申請が少し出遅れましたね、と、少々皮肉めいた冗談で対応してくださいました。というのも、厚生労働省の、いわゆる「広告できる専門医」として、日本専門医認定制機構に加盟していない学会から申請された専門医も認可されていたからです。
そこで、本稿では、日本リハビリテーション医学会として、今まで専門医制度に取り組んできた歴史的背景を振り返ってみることにします。
ご承知のように、国民に向けての専門医制度の確立は本学会の長年にわたる懸案事項でした。一方では、1981(昭和56)年11月に「学会認定医制協議会(現・日本専門医認定制機構)」が発足し、長期間にわたり我が国での「専門医制度」のあり方が検討されてきました。しかしながら、日本独自の慣習とか、関連機関の思惑などが原因して、米国での専門医制度のようなスッキリした制度確立には至りませんでした。
しかしながら、医学・医療の進歩と国民への情報開示などの後押しがあり、1994(平成6)年4月にようやく内科、外科、小児科、整形外科など14の基本的領域診療科のうち13学会認定医に対して、日本医師会、日本医学会、学会認定医制協議会の三者が追認するかたちで、認定業務が開始されました。しかし、日本リハビリテーション医学会は「その他の領域」という範疇に分類されていたために、三者承認の枠外におかれておりました。1996(平成8)年9月に、「リハビリテーション科」が新たに「標榜診療科」として承認されたことを機会に、学会認定医制協議会においても「基本領域」への加入を要請し、2001(平成13)年7月に三者懇の同意をいただきました。
一方、2002(平成14)年4月に厚生労働省から唐突といってよいぐらいに「広告できる専門医制度」が発足したわけです。
日本リハビリテーション医学会としまして、従来の学会認定医制協議会
(現・日本専門医認定制機構)に準じて専門医制度を構築してきた関係で、厚生労働省の専門医制度への申請には幾らかの修正が必要となり、2003(平成15)年6月に開催された評議員会ならびに総会での承認を得なければなりませんでした。具体的には、従来の認定臨床医から専門医への移行処置など、新たな内規など多くの作業を関係委員会を中心に作っていただいたわけです。そのために、厚生労働省への申請が少々遅れたことは否めません。
これからは、専門医の生涯教育のみならず、リハビリテーション医学の卒前、卒後教育制度の充実など多くのテーマが残っています。
この機会に、会員の先生方の更なるご研鑽とご支援とあわせて、リハビリテーション科専門医への希望者がさらに増加することを期待したいと思います。
(リハニュース21号:2004年4月15日)