北関東の太平洋に面した茨城県の霞ヶ浦の南に、県初のリハ専門病院として1996(平成8)年12月に当院は開院しました。遅れていた茨城県のリハ医療の整備と充実を主導し、また1995(平成7)年4月に開学した医療専門職(PT、OT、看護、放射線)を養成する4年制大学の、全国でも初の付属病院として、学生教育と研究を行う役割を担っています。
地下1階、地上3階の建物の中に、PT室801 m2、OT室570 m2の総合リハ施設と、言語(J)、臨床心理、相談部門をもち、病床は120床のうち、成人病棟の45床は2000(平成12)年10月から回復期リハ病棟、もう一つの成人病棟45床と小児病棟30床は障害者施設等入院基本料算定病棟として機能しています。
病院医師10名、大学との兼任医師7名のなか、リハ科専門医は院長を含めて4名で、日本リハ医学会の研修施設の認定も受けています。ほかに認定臨床医や専門医をめざす、初期研修を終えた医師を対象に最長3年間受け入れる制度もつくり、常時1〜2名の医師が研修しています。
常勤スタッフは、PT 10名、OT 9名、ST 3名、臨床心理1名、MSW 2名、看護2:1を満たす人員のほか、薬剤師3名、管理栄養士2名もチームに入って活躍しています。
新たな病院機能として、1998(平成10)年度から厚生労働省によって進められていた地域リハ支援体制の「茨城県地域リハ支援センター」に指定され、地域リハの中核としてもその責務を果たしています。また今年度から制度化した臨床研修制度においては、近隣2つの大学病院の協力病院として、リハ科研修を希望する研修医を受け入れることにしています。
診療科は対外的にはリハ科単科の標榜で、全医師が主治医として、リハ処方、計画書の説明をはじめチームリーダーとして動き、全入院患者に同じ体制のチームアプローチを行っていますが、院内標榜として内科、神経内科、整形外科、小児科等を掲げ、各々の専門領域に応じた疾患の診療も行っています。医師全体で診療部を組織し、「医局」に代わる集まりを形成し、協力して全体のリハ医療を推進しています。
最近の傾向としては、県内他病院のリハ医療提供能力が高まってきたためか、初期から回復期を経てさらに次の段階のリハを希望するケースや、回復期でも一般民間病院では対応しにくい重度障害のケースが多い印象があります。入退院は年間450人程度で、疾患は脳血管障害、骨関節疾患、神経筋疾患、脊髄損傷、小児疾患、頭部外傷等、平均入院日数は70日、退院先は、約85%が自宅、残りは転院、施設入所となっています。
リハ後進県であった茨城県をリハ先進県にと日々努力しています。
(伊佐地 隆)
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(リハニュース23号:2004年10月15日)