<報告・印象記>

医学生GW・夏期リハビリテーションセミナーに参加して


北海道大学

●名古屋市立大学3年 藤原由有希
 「疾患や怪我が治る」ということと、「疾患や怪我の前の状態に戻る」ということの間を埋める医療に携わりたいと考えていましたが、リハというとOT(作業療法士)やPT(理学療法士)が行うものというイメージが強く、リハ医の役割とは何かを知りたくて北海道大学のセミナーに申し込みました。参加者が3年生だけだったためか、5、6年生で行われる病院実習とは違い講義と実習を組み合わせた形式で、内容もリハ医とは何か、といった概念的なことを教えていただいたり、経頭蓋磁気刺激法やボツリヌス毒素を用いているところを実際に見せていただいたりしたほか、OTやPTの先生にもスプリント作成やROM訓練などの実習でお世話になり、リハというものに広く触れさせていただきました。臨床の講義を全く受けていない状態で参加することに不安があったのですが、非常にわかりやすくて興味が沸くものばかりでした。参加者のレベルを考えた内容を考えてくださっていると感じました。臨床を学んでからだとさらに得られるものがあると感じたので、また勉強してから参加してみたいと思っています。医療現場も体験できて今後の学生生活に対するモチベーションも上がったので非常に有意義でした。

●山形大学医学科3年 猪飼紗恵子
 この夏、北大病院のリハ科の研修を受ける機会に恵まれました。リハというとPTやOTの担当する仕事としてのイメージが強く、医師としてどのように関わるのかについては漠然としていました。実際にリハ科が網羅している分野は脳神経外科をはじめ多岐にわたり、驚きと今後のニーズの高さを感じました。3日間は神経生理学をはじめとした講義また実際の検査の様子、診療、回診など多くのことを研修しました。特に私が感動したのはリハ科にいらっしゃる先生がたお一人お一人が、リハに対する明確な認識を持っておられることでした。それはどの先生方も、リハとは、病気それ自体の疾患を治すことから、その障害に対しての生活能力を高めるための治療を行うという高い認識でした。リハ科の先生方は疾患の治療終了後またその退院後のことも見据えた上で、より健康的な生活を患者さんに戻そうと日々努力されていました。WHOが定めている健康についての基準がありますが、やはり生活していく上でおいしいものが自分で食べられる、好きな所に自分の足で行けるなど、より快適に過ごすことがとても大切であると思いました。さらにリハ科ほどPT、OTとの密接な連絡をとってチーム医療を行っていく科はなく、そのうえで患者さんお一人お一人にあった治療の方向性を決めていく医師の責務もとても大きく、やりがいのある仕事と率直に感じました。今回学んだことをこれからの勉学に活かして参りたいと思います。

金沢大学

●金沢大学医学科6年 越村英世
私は8月18日〜20日の3日間、金沢大学でのリハセミナーに参加しました。私が当初描いていたリハは、足を骨折した人が松葉杖をついて歩く練習をするようなイメージでありましたが、少なくとも金沢大学のリハはこのようなイメージと大きく違っていました。
 胸部や腹部外科手術の術前や術後の患者さんが多く、回診では主に去痰や呼吸法についての指導がなされていました。このように術前後の患者にリハが介入するようになったのは最近のことらしく、患者の在院日数が短縮されたということでありました。そのようなリハは全く想像していなかったので、その守備範囲の広さに驚きました。 もちろん、脳血管障害の患者さんも多く、廃用性萎縮や肺炎など、麻痺をもつ患者に多い合併症の防止について指導がなされていました。ほかにも、整形、内科など扱う患者さんの疾患の種類は多く、また患者さんの数の多さにも驚きました。
 しかしながら、金沢大学のリハ部はいまのところ独立した科ではなく、病院の地下のあまり目立たないところにあり、大学のカリキュラムにもほとんど取り入れられていないので、学生の多くが自分と同様にリハに対する理解が少ないと思います。自分にとって新しいリハに出会えることができて、とても有意義な3日間でした。

昭和大学

●秋田大学医学部5年 竹内香織
 今回、昭和大学病院リハ科で2日間にわたりリハセミナーに参加し、リハの現場やリハ医の役目、医療現場でのリハという概念の大切さなどを学ぶことができました。私がリハに興味を持ったのは、ボランティアを通して施設や在宅で障害を持ちながら暮らす子供たちと関わり、その子達の生活を見ていたからです。生活という視点に立って医療を行うことはできないかと考えていたときに、リハ科に進んだ先輩から話を聞き、実際のリハ医の仕事を見てみたいと思いました。カンファレンスでは、医師、看護師、PT、OT、ST(言語聴覚士)、SW(ソーシャルワーカー)それぞれから患者さん一人ひとりの現状や問題点、性格にいたるまでの意見が交わされ、話を聞いているだけでもその患者さんの人間像が浮かんでくるようでした。回診では、患者さんが実際に困っていることを聞き、ベッドの状態にまで目を向けているのが印象的でした。今回のセミナーを通して、リハ科の範囲の広さを感じました。また治療+α の視点で患者さんの現状を捉え、よりよい方向へと向かっていけるという部分に大きな可能性を感じました。

慶應義塾大学

●北里大学医学部5年 正岡亜希子
 リハ科と言いますと、整形外科と神経内科を足して2で割ったようなものだと思っていたのですが、実際見学してみると予想していた以上に守備範囲の広い科だと感じました。膀胱内圧の検査は泌尿器科のようで、嚥下造影は耳鼻咽喉科みたい、血圧の管理は循環器内科で、おまけにメンタル面でもサポートしなくてはならないようで、このような「いろんなことができる」という点は無限の可能性が感じられて大変興味深くて、またいささかホームドクターというものと近いものがあると思いました。科学が好きで医学を選んだ私ですが、ポリクリをやっていて時々その科学的なところに嫌気が差してしまうことがあるのですが、その点リハは科学でありながら人間らしさ、人間臭さの感じられる分野だと思いました。しかしながら守備範囲が広いだけあってその分たくさん勉強しなければならないという現実も痛感しました。
 今回、医学生である自分はとても恵まれていると実感したのですが、それは職人や芸人が自分の親方や師匠に知恵や技術を教わるのと同じように先生方が無償で熱心に私に指導してくださったことです。それは心からリハを必要だと考え、また患者さんを大切に思うからこそできることではないのでしょうか。大変感謝しております。蒔いた種が芽を出しやがて花を咲かせるように、先生方に指導していただいた私たち学生が皆いずれリハ科を選びリハ医として働くことになればよいと思います。未来のことはわかりませんが今日現在、リハにしようと思っております。
リハの好きなところは、脳梗塞なら壊死してしまった組織はもう元には戻らないけれどその時点で残っている能力や機能を最大限に使ってそれ以上悪化させないで維持を保ちつつ更なる機能の向上を目指すというポジティブ思考なところです。

東京慈恵会医科大学

●東海大学医学部4年 東海林明里
 このたび、東京慈恵会医科大学第三病院リハ科夏期セミナーに参加しました。4年生ではほとんどの病院は実習の受け入れ対象外になっており、そのような中、大学の掲示で日本リハ医学会のセミナーのことを知り、出身地でもある東京都狛江市の東京慈恵会医科大学第三病院に実習を申し込みました。もともとボランティアでリハ関連の病院にも行ったことはあり興味もあったのですが、実習としてリハ科の中を見るというのは初めてのことでした。当初リハに何の知識もない私は、リハというのは整形外科の延長と考えていたのですが、患者さんの8割は脳卒中の回復期にある方だという事実に驚かされました。他にも入院患者さんの多くは、神経内科の分野の疾患ということには目からうろこでした。実習ではOT室PT室で実際のリハの様子や、外来、他科からの依頼患者さんの診察、筋電図検査等を見学しました。リハ科でのチーム医療の重要性というものを強く感じました。その他、カンファレンスや医局での勉強会、本院で行われた慈恵会医科大学リハ科全体の勉強会へも参加させていただきました。さらに、最終日の2日間は本院にてbrain cuttingをさせていただく機会があり、大変勉強になりました。短い期間でしたが、多くのことを学ぶことができ充実した5日間でした。またその間だけでも患者さんの回復を眼で見ることができ、リハ科は医者の喜びを感じることができる科だと思いました。とてもよい体験をさせていただき、将来への視野が広がりました。

●東京女子医科大学5年 西川愛子
 この夏、慈恵医大のリハ科で実習をさせていただくことになりました。私の大学では、独立した病棟や外来をもっていないため、医療スタッフと患者さんとの関わり方、治療計画の立て方などについて具体的な実感が持てずにいました。しかし、この実習を通して、患者さんの到達目標へ向け、医師が積極的にリーダーシップをとることの大切さを学びました。病棟では、患者さんが自主的にトレーニングできる環境があり、活発に行動していたことが印象的です。これまでの私の病棟実習では見慣れない光景で、新しい発見ばかりでした。実習の合間には、先生方がリハ科医師の役割、今後の展望などたくさんの話をしてくださいました。また、brain cuttingでは解剖学的知識の確認だけでなく、画像所見と臨床症状を突き合わせた深い考え方ができるようになりました。普段では、あまり時間が割けず、貴重な内容でした。
 実習期間中は、他大学の学生や患者さんとふれあう機会も数多くあり、刺激を受け合う楽しい毎日でした。また、様々な職域の方との交流ができ、患者さんを全身的に捉える姿勢を学ぶきっかけとなりました。充実した実習ができ、先生方には感謝の気持ちで一杯です。そして、素晴らしい医師のモデル像を見つけられたことをとても嬉しく思っています。

横浜市立大学

●横浜市立大学医学部5年 澤崎 翔
 私が今回リハ科のセミナーを希望した理由としてスポーツのリハに興味があったことと、また先生が授業中におっしゃった「治療するだけが医療ではなく、治療のあとに後遺症などが残ってしまった人がどのようなリハを受けて生活されているかを考えることも大事である」ということを自分の目で実際に見てみることであった。4日間の実習で学んだこと、感じたことを以下に述べていきたいと思う。
 初日と2日目の午前中は大学病院において病棟回診、カンファレンス、外来・リハ室見学をさせていただいた。カンファレンスでは一人ひとりの患者さんに対して医師、PT、OTなどそれぞれの立場から見た意見が寄せられ、相談し今後の治療方針を決定していくなど、チーム医療がどのように機能しているかを学ぶことができた。
 2日目の午後はこども医療センターにおいてリハ室と車椅子の創作を見学させていただいた。こどものリハと聞いて最初はあまりピンとこなかったが脳性麻痺や人工呼吸器をつけた子など様々であった。こどもということでリハは親同伴のもとで行い、レクリエーション的なものを混ぜてこどもが飽きないように工夫されていた。また車椅子は多種多様であり、姿勢に応じて設計が異なり、また人工呼吸器を載せられるようにしたり、母親の荷物を載せられるようになど個別のニーズに応じて作られているのが印象的であった。
 3日目は横浜市立脳血管センターにおいてリハ室と病棟を見学させていただいた。新設ということで綺麗なこともあったが、リハ室はかなり広く、医師、PT、OT、STの数も多く、リハが充実していると感じられた。また病棟でも廊下が広く作られていて、水道の下も車椅子の方がそのまま使用できるように空間があるなど車椅子の方が生活しやすいように配慮してあった。
 4日目は藤沢市民病院においてリハ室を見学させていただいた。市中病院ということもあり忙しく、患者さんに対して医師やPT、OTの数が足らないということを先生はおっしゃっていた。整形外科的な疾患が多く、患者さん自身でリハを行える方は指示に従って行っていた。私が今までに持っていたリハ室のイメージそのままという感じであった。
 今回の実習では残念ながらスポーツのリハは見学できなかったものの、結果として様々な病院において、こどもから老人といった幅広い年齢層のリハを見学することができた。また、先生と話す機会も多く、リハに対する理解が深まると同時に問題点を知ることができ、有意義な実習となった。最初にも述べたが、治療を受けた方がその後どのような生活を送るのかを考えつつ、今後の実習に活かしていきたいと思う。

●2004年8月23日から4日間、横浜市立大学リハ科で実習をしました。このリハセミナーに参加したのは、大学で理学療法を学ぶ妹からリハについて話を聞くうちに興味が湧いたためでした。以前から興味は漠然とあったものの、大学の講義では、リハについては整形外科の講義の中の1コマのみ、臨床実習も整形外科での実習中に少し触れた程度であったため、リハ医というものがどういった役割を果たしているかよくわからないまま実習が始まりました。
 実習の前半2日間は、大学病院内で朝の回診、外来診察、カンファレンスなどに参加しました。後半の2日間は、関連施設である横浜市南部地域療育センター、横浜市立脳血管医療センター、横浜リハセンターの見学をさせていただききました。
 この4日間の実習で印象深かったことをいくつか述べたいと思います。まず、特に実習で実感したのはリハ医が携わる対象患者と対象疾患の幅広さです。整形外科、神経内科、脳神経外科、小児科などの想像以上に多様な疾患をもつ小児から高齢者までの患者をみることは、今まであまりなかったことなので驚きを感じました。
 さらに、リハにとってはそうした患者の診断だけでなく生活背景、家族背景が大きな要素を占めており、そうしたことを踏まえて、リハを行いfollowしていく様子は、主に疾患を診る他の診療科との違いを感じ、新鮮でした。“life”という言葉は他の科では“生命”を意味するけれど、リハ科では“生活”を意味するという先生の言葉が非常に心に残りました。疾患を治療し、治ったら終わりではなく、そこからいかに患者のQOLを高めていくかが大切であるという視点は、これからの自分にとっても必要なものであり、常にそうした視点を持てる医者になれればと思いました。
 また、リハは他の診療科以上にチーム医療が大きな役割を果たしていることもこの実習で実感したことのひとつです。PT、OT、ST、臨床心理士、ケースワーカー、看護師、医者で大きなチームをつくって患者の治療を行っていく。これがうまく機能するためには、それぞれの職種の理解と尊重が必要であり、またコミュニケーション能力も必要とされることがわかりました。特に、リハを実際に行っていくのはPT、OT、STなどであり医者はそれをまとめていく立場であるということもカンファレンスなどを通じて実感しました。この実習に参加して、なんとなくではありますがリハ医について、またリハというものについて理解を深めることができたように思います。

聖隷三方原病院・国際医療センター

●滋賀医科大学6年生 佐藤 亮
 私は大学で学んだリハは整形外科で習ったぐらいで、大学のポリクリでは体験できませんでしたので、医師として働く前に是非どういうものか見てみようという気持ちで今回聖隷三方原病院(GW)、国際医療センター(夏期)においてリハセミナーに参加しました。2病院とも、いい意味で私のリハ医のイメージが裏切られ、本当に実際に見に行くことができて良かったと思います。私は、リハ医といえばPT室にいて機能回復訓練をしている専門家で・・・などと勝手に思っていたのですが、全く違っていました。まず、驚いたのは、PT、OT、ST、医師と様々な職種が混ざり合い、カンファレンスに参加しているということでした。リハの内容を考えれば当たり前のことなのかもしれませんが、カンファレンスといえば医師のみというのに慣れてしまっている一学生としては、とても新鮮でありました。次に、先生がパワフル、かつ 、とても行動的で病棟のあちこちを行脚し、積極的に各専門科のカンファレンスに参加し、リハ的な視点からアドバイスをしておられました。また嚥下カンファレンスも主催したり、看護師向けの講習会も開かれたり、積極的に行動するのがリハ医なのだと新たな視点を得ることができました。活動的なリハ医のいる病院は、その土壌があること自体で良い病院、研修病院だと思います。これからリハセミナーに参加される学生も徐々に増えてくると思いますが、リハの現場にいる先生方には、私が戴いたような熱気をどんどん伝えて欲しいと思います。

聖隷三方原病院

●今回GWセミナーに参加して得られた一番の宝物は、聖隷三方原病院のリハ医の熱さでした。飲み会の席で語られた先生方のリハに対する情熱を垣間見ることができただけでも、これから医療に携わる僕に対する大きなはなむけであったと思います。聖隷三方原病院のあとも病院見学に行く機会に恵まれましたが、リハは充実しているか?PT、OTの数はどうかなど自然に目がいくようになりました。そのような視点で見て改めて、聖隷三方原のチームは人材が豊富で恵まれているのだなと思いました。
 今回は聖隷の得意とする嚥下を見ることができませんでしたが、機会があればまたぜひ見せていただきたいと思います。

●実習内容は外来診療、ベッドサイドでの新患の診察、VF、ホームエバリュエーション、各カンファレンスなどリハ科の日常的な診療をそのままに見学・実習させていただきました。そのため、リハ科の診療がどのようなものであるか、その重要性、必要性がこれまでよりよく分かり、リハ科を志望する気持ちが強くなってきました。卒後、どのような施設で研修をするかは未定ですが(とても迷ってます)、この経験をもとによく考えてみます。

●2日間という短い期間では、なかなかリハのリの字も理解できたとはいえないと思いましたが、何かきっかけになるものもつかんだ気がします。帰りにKスプーンも買って帰りましたし。セミナーを通して感じたことを項目別にまとめて書いてみます。
マル1リハとイメージ:多くの学生がイメージしているのはリハはPT、OTの仕事だということ。つまり「医師がリハに関わる意義」がやはりつかみづらかったと思います。この分野で治療的な介入は先生方が説明されていたとおりそもそもあまりなく、「cureよりcare」という割と新しい考え方が根底の倫理観であると思われます。ではなぜ医師がやるのか? コストパフォーマンス的にも医師を1人作るより優秀なコメディカルを1人作った方がはるかに安いし効率がいいのでないかと思います。全人的に見ることのできるコメディカルを養成することで不足することがあるかという疑問がわいてきました。(最も聖隷のような嚥下障害を扱う場合、嚥下造影や、内視鏡などは免許の上で医者しか扱えないでしょうが。)
マル2リハと専門分野:今回のセミナーの目的とは反するのですが、個人的には全くリハ医学に対して無知であったので、この分野にどんな専門が存在するのかがちょっとした疑問でした(これは終わって皆で話していた中ででてきた疑問ですが)。つまり今回は先生の得意な嚥下障害のリハに対しては入り口だけは見えたのですが、他の分野、例えば整形外科的なアプローチなど他の専門分野が覗けなかったのが少し残念でした。
マル3まだまだこれから!というイメージでした。医学がこういう「慢性疾患のケア」に光を当てた歴史は浅いと思います。まだまだこれからが楽しみな分野です。私自身は割りと急性期の医療が好きなので専門とすることはないかもしれませんが、こういう医療の分野もすごく大切に考えたいと思っています。この初心を忘れないようにしたいと思っています。

●1日間だけでしたが、午前中はリハ科を中心に施設見学をさせていただき、聖隷三方原病院の医療・福祉が提携しあい、患者さんの自立援助をトータルに見ようという姿勢には深く共感を憶えました。
 私は大学で障害を持つ方々に関わるサークルやNPOに所属している関係で、個人的に、障害を持つ方と交流する(飲んだりしてるだけですが…)ことが多かったため、自立するということの重要性についてよく身にしみて感じます。「障害がある」というもっともらしい理由で人生の楽しみをあきらめている、または諦めさせられている人達に、希望を与えておられることには感銘を受けました。
 その分、1日目を見学できなかったのでその効果について、患者さんを通してみることができなかったのは本当に残念でした。夏休みにまた、見学をお願いしていますので機会がありましたらまた見せていただきたいです。
 午後はリハを中心に講義をしていただき、勉強になりました。すごくわかりやすく、使える知識を中心にまとめられていたと思います。全く飽きずに見ることができました。
 
●実習中は、外来見学から、病棟、ホームエバにいたるまで大学ではできない経験が多くあり、とても新鮮な気持ちで過ごすことができました。
 5年生での1年間のポリクリを終えて改めてリハの仕事を見てみると、とても重要な仕事をしていることが良く分かりました。
 5年生のポリクリの時に見学させていただいた嚥下造影では、その検査の重要性や意味が良く分からずに見ていたのですが、今回は多くの患者さんが経管栄養や胃瘻で入院生活を送っている様子を見た後でしたので、経口摂取に移行する難しさや必要性もある程度理解して、違う視点から実習に臨むことができました。
 また、大学では寝たきりにされている患者さんも、早い時期から生活復帰に向けて積極的なアプローチがされている点に驚かされ、病院によるリハの質の違いが患者さんのその後の生活に大きな差を与えているのを見て、質の高いリハの普及の必要性を強く感じました。
 リハで入院、通院している患者さん達を見ると、みな目的意識を持って生き生きしている姿が印象的でした。それは、患者さん達にとっては良く分からない病気が治るよりも、元の生活に如何にして復帰するかを目標としたリハは本当に必要なことなのだからだと思います。
 近年の医療技術の発展で、脳血管障害などの障害を残す疾患の救命率は向上しましたが、その先にある患者さんの生活復帰については考えられていない現状があることに今更ながら気付きました。そのサポートをするリハは今後ますます、需要が大きくなることと思います。その一端を担うリハ医の仕事にとても魅力を感じました。先生方の協力体制のすごさに驚かされました。

兵庫医科大学

●琉球大学医学部6年生 若井貴美子
 リハ医学には以前から興味を持っていたのですが、リハ医の役割があまり分からず、大学でリハ部を選択実習しました。その際、ますますリハに興味を持ち、今回はリハ医学の教室があるところで実習をさせていただきたいと思い、兵庫医科大学の夏期リハセミナーに申し込みました。2日間という短い期間でしたが、リハ概論をはじめ、外来やカンファレンス、嚥下造影検査の見学、リハロボットや物理療法、理学療法、高次脳機能検査、嚥下障害食などの実際の体験、一般のリハ病院での病棟実習など、盛り沢山の内容が含まれている実習でした。
 セミナーに参加し、大学病院にリハ医学教室が存在する意義は、医局員が多いことだと強く実感しました。先生方のバックグラウンドや経験年数が様々で視野を広められること、また個性的な人が多くとても楽しい雰囲気であること、しかし、それらの多種多様性の元には共通した熱いリハマインドがあるということ。今回のセミナーで多くのリハ医の先生方と話す機会を得、それぞれの先生の熱い想いを聞くことができたことが最も貴重な経験でした。
 リハ医療は、患者さんのQOLを重視すること、臓器を診るのではなく人として診ること、幅広い疾患を扱うこと、チームでアプローチするところなど、医療の重要なエッセンスがすべて含まれているように感じます。医療というと、治療の面に注目が当てられがちですが、障害の面を扱うことのできる医師の存在は重要であり、またチームアプローチをリードしていくリハ医の役割を充分に理解できたような気がします。
 今回、夏期セミナーに参加し、リハ医学への興味がますます膨らみました。将来、何科に進むかはまだ決めていませんが、たとえ他の科に進むとしてもリハ医学という分野、またその考え方を知ることができたことは大変有意義であったと思います。その点で、すべての医学生がリハ医学を学ぶことのできる体制が作られることを望みます。

高知大学

●高知大学医学科5年 永森 史篤
 この夏、私は高知大学医学部附属病院のリハ部を見学させていただきました。以前からリハには興味があり、ポリクリの際にはより積極的に実習に取り組もうと決めてはいました。しかしながら、私の実習班が整形外科・リハ部をまわるのが来年2月であったため、待ちきれなくなり参加をお願いしたのが実際のところです。
 今回のリハセミナーにおける一番の収穫は、自らの持つ医師としての将来像をより明確なものにできたことです。繰返しになりますが、私は以前からリハに興味がありました。というのも、現在のような高齢社会において「機能維持」「機能回復」の観点から高齢世代にアプローチすることが重要と考えたことが背景にあったからです。
 今回のセミナーでは、高知大学医学部リハ部の石田先生が自治体と協力して取り組んでいらっしゃる、地域リハやパワーリハについて、その最前線の現状と問題点、今後の展望についてお伺いすることができました。また、県の健康増進課の職員の方々との懇談にも立ち合わせていただき、具体的な内容を実感することができました。
 また、実際のリハ部の現場を見学させていただいて、PTの方々の専門知識が深いものであることを再認識しました。それはつまり、リハ実施においてコメディカルの人々の相互理解と協力が必要不可欠だということであり、それを肌で感じることができたのはよい経験となりました。
 回復期リハや包括的リハの概念が広まりつつある現在においても、問題点は少なくないと思います。根底にあるマンパワーの不足によって、通所リハの質の低下や訪問リハの停滞などが生じているため、さらに増加する高齢者人口に対して地域リハを徹底することが困難な状況は続くだろうと考えられます。今後は「福祉」、「介護」と「医療」を結合させていかねば、それらから漏れる高齢者を出してしまうことになります。その結合にはリハ、特に予防リハの導入が重要であり、それがひいては健康寿命を伸ばす鍵になるだろうと考えさせられました。
 今回のセミナーで得られたものを糧にし、より明確にできた自らの将来像を実現するべく、今後の実習、勉学に励みたいと思います。

●千葉大学医学科5年 濱野 剛
 高知の城下へ来てみいや、じんまもばんばもよう踊る、よう踊る〜♪。2003年と2004年の夏は非常に充実した夏だった。そう、単なるセミナーに終わらず、セミナーの内外がともに充実していた。高知のうまいもん、よさこい練、人の温かさ、リハ医の挑戦、PTさん・OTさんのリハ魂。すべてが新鮮で、刺激を大いに受けた2週間だった。(2003年は夏期セミナー5日間、2004年は夏期セミナー3日間+よさこい5日間)
 『何で高知に来たん?』高知に来て、会う人、会う人に聞かれる質問がこれだった。実は、高知には私なりの思い入れがあった。高校3年の夏、一念発起して回った四国遍路。結局、途中で頓挫して遍路を終えたが、その遍路を終えたのが、高知市を越えたところにある土佐市だった。5年後の大学院時代、香北町の高知工科大学で初めての学会発表をした。そうして、思い出の多い地である高知でのセミナーに参加したのである。(実は、高知医科大学が高知県南国市というトロピカルな名前の場所にあったことが一番の決定打だったのであるが、それはそれ。)
 そして、2003年の夏、高知に来てリハに対する考えは180°変わった。リハの考え方が科に関係なく必要であること、リハが整形外科だけでなく神経内科や呼吸器、新生児など多岐に渡っていること、コメディカルとの連携が非常に重要なこと、コメディカルのモティベーションが高くリハ魂に熱いこと、装具や補助具の開発が患者さんのQOL向上に密接に関連していること。どれもが、机上の医学を学んでいた4年生の私にとって新鮮で刺激的だった。
 また、患者さんへの医大生の接し方も千葉大生と異なるところがあり、学ぶべきところが多いと感じた。千葉大の中にいるだけでは、千葉大の良さも、他大の良さも知ることはできない。一度外に出て、世界を見渡そうとすることの必要性を知った。
 さらに、高知のよさこいとの出会いがあった。残念ながら、前夜祭のパレードだけを見て私は千葉に帰ったが、それだけでも十分に刺激的なものだった。躍動感とスピード、踊り子と観客との一体感。高知医科大学に来て感じていた高知の人の持つ力や温かさの原点を知った気がした。そして、住み学び働く環境の重要性を感じた。単に病院の中だけでなく、病院の外でも多くのことを学べる環境が高知には揃っているように思えた。
 2003年夏を総括すると、理想の医師像を模索し始めた夏だったといえると思う。医学を志すものには魂が必要であり、その魂は机上では学べないことを知った。世界を見渡すことの必要性と環境の重要性を考えさせられた。実に、リハセミナーの名だけでは想像できないものを私は得たのである。
 そして、2004年夏。合併後の高知大学医学部のリハセミナーに私は参加した。2003年に感じたことを再確認しつつ、千葉大でのポリクリで感じたことを踏まえて、理想の医師像の更なる模索を行おうと考えた。そして、また一歩、今年も前進したように思う。

(リハニュース23号:2004年10月15日)