<報告・印象記>
2003年度県民公開講座 2004年3月14日、和歌山県民文化会館
「生き生き健康づくり―ご存じですか?リハビリテーション―」
河ア学園・河ア医療技術専門学校
上好 昭孝
和歌山県は人口40万弱の中核都市和歌山市を除いては梅、漆器など地場産業はあるものの、地理的にアクセス条件の悪い所が多い地域であります。
少子高齢化が進むなか、政府は平成12年度から医療経済をも配慮して急遽介護保険制度を導入し、地域での在宅医療を進めております。制度そのものは本来理想的な医療を目指したものであることに、異論がないところであります。
然るに現状をみれば地域の過疎化とともに核家族になり、若者が都会に働きに出てほとんど家族介護が期待できないのが現状ではないでしょうか。
在宅医療を少しでも効率よく可能にするには国の施策とともに地域住民・医療関係者の方がリハ医療について知ることが重要となってまいります。
幸い今回和歌山で日本リハ医学会主催地区事業としての県民公開講座を担当する機会があり感謝しております。 企画にあたり従来の医療関係者だけの一方的な講演会ではなく、県民参加型といたしました。タイトルは「生き生き健康づくり―ご存知ですか?リハビリテーション」としました。少しでも多くの方々にリハ医療とリハマインドについて理解してもらうことを意図しました。その内容については県民公開講座報告書に述べさせていただいております。小学生から老人までの幅広い年代層の方々に参加してもらえるよう、また興味をいだいてもらえるように体験コーナーを設けました。車椅子、手話、杖など自助具・装具、言語療法などのブースを設け、各専門家にも参加してもらいました。参加者には手にとり足をとり体験してもらいリハ医療の理解に役立ってもらったのではと自負しております。
独り言:在宅を目標とするには家族介護が得られることがキーワードになってまいります。そのためには現在のような核家族でなく従来の日本の生活様式でもあった大家族制度を今一度見直す必要があると思うのは私ひとりでしょうか。核家族を防ぐには根本的に国が政策とし税制の見直しが必要であります。
一つには相続税を撤廃し家族に還元し、可能なだけ家族に介護面の義務づけを行えばよいと思います。大家族の中でおじいさん、おばあさんと育った子供は痛みの分かる心豊かな成人になって、家族介護も得られやすくなることが大いに期待されます。
最後に本県民公開講座を催すにあたり、和歌山県立医科大学リハ科田島文博教授はじめコメディカルスタッフ、関係各位に多大のご支援をいただいたことを申し添えます。
(リハニュース23号:2004年10月15日)