<REPORT>
第20回日本義肢装具学会学術大会
慶應義塾大学月が瀬リハビリテーションセンター
大田哲生

第20回日本義肢装具学会学術大会が高見健二大会長(労災リハビリテーション工学センター工学支援室室長)のもと、2004年11月20(土)・21(日)日、名古屋国際会議場で開催された。
20年前に日本義肢装具研究会から学会に移行してからの記念すべき第20回大会であった。本大会のメインテーマは「近未来の義肢装具」ということで、近い将来実現できそうな義肢や装具を念頭においたプログラムが組まれていた。20周年記念講演は世界的に有名なデザイナーかつ医学博士である川崎和男先生にご登壇いただき「QOLとユニバーサルデザイン」という題でご講演いただいた。ユニバーサルデザインという言葉を日本に持ちこんだ川崎先生ご自身が、ユニバーサルデザインの7原則は日本にはあてはまらず、Quality of experienceをめざしたインクルーシヴデザインというものを考えていく必要があることを強調されていた。義肢装具も新たな発展を目指し、デザインの観点からも検討することが重要と思われた。招待講演はスウェーデンからRickard Brnemark先生(写真右)をお招きしBone anchored amputation prosthesesの現状についてお話いただいた。近年の成功率は85%とのことであり、まさしく近未来の義肢であるとの印象を受けた。さらに教育講演3題、シンポジウム2題、一般演題101題、ポスター10題で構成されており、参加者は約1,500名と例年以上の人でにぎわった。今回の新たな試みとして、ランチョンセミナーが開催され、好評のうちに終了した。また、第1日目の夕刻には懇親会が商業展示場で催された。気軽に参加できる雰囲気であったため、例年以上に参加者の親睦を深めることができたと思われる。講演を聴くのに時間をとられ、日中はなかなか展示会場に足を運べなかったが、懇親会参加時に展示を見てまわることもでき、時間の有効活用にも一役買うと思われた。
シンポジウムで山海嘉之先生(筑波大学)が発表された、人間の意志に従って筋力をサポートするロボットスーツHAL(Hybrid Assistive Limb)は機能的電気刺激とともに、リハビリ医療に応用可能と思われ興味深かった。
義肢の部品は年々進歩しているようだが、装具の分野では画期的な進歩に乏しい印象を受ける。リハ医療・デザイン・ロボット工学などの観点から、今後新たなる展開が可能と思われる。 来年は2005年11月19(土)・20(日)日に静岡市のグランシップで第21回学術大会が開催される。最新技術を応用した、義肢装具の新たなる発展をめざして活発な討議が行われることが予想され、日本リハ医学会員の積極的な参加を期待したい。
(リハニュース24号:2005年1月15日)