個人情報保護法


 4月より個人情報保護法が実施されました。日本リハ医学会関係では一部の先進的な病院を除いては昨年 12 月に厚生労働省より「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱のためのガイドライン」が出されてようやく対応を始め、どうしようかといっている内に施行されてしまったという状況ではないでしょうか。

 もっとも医療関係では医療従事者の職業倫理として守秘義務は大切なものと認識され、それなりの対応がなされておりましたので、早急に何かをしなければいけないという状況はそれほど無いはずです。それでも、何かしなければという気持ちにつけ込んだ、鍵付きの「個人情報保護法対応診療録保管庫」等の便乗商法まがいの話も入ってきますので、現場でどうして良いか対応に困っているのも事実であるようです。

 紙面が限られますので、項目の羅列になってしまう個人情報保護法の解説は行いませんが、基本的な考え方は 1980 年に OECD のプライバシーガイドラインで示された内容です。その 8 原則を日本の状況に合わせて具体化したものです。医療に限らず全ての分野での個人情報保護法ですが、医療分野は金融・信用や情報通信の分野と共に特に適正な取扱いの厳格な実施を確保する必要がある分野とされてガイドラインが示されました。

 医療分野では保険請求事務、患者さんの紹介、処方の際の疑義紹介といった業務上必須で患者さんからも了解されていると考えられる個人情報のやりとりがあり、それらに関してまで個人情報保護法が定める取扱いをすると極めて大変なことになります。そのため、医療分野ではこれまでに定められていた守秘義務規定等を前提に、十分な院内掲示のみで拒否が無い限り同意が得られたこととしての対応が可能になるなど、他分野にはない手厚い例外処置が講じられました。適切な表示程度で診療業務そのものには大きな変更なく対応可能になっています。

 もちろん、基本的な個人情報保護、プライバシーに関する配慮は当然求められていますので、診療以外の研究業務や病院職員の個人情報についても、この機会に見直す必要はあると思われます。また、他分野にない例外処置であるからこそ、より厳格な対応が望まれ、不適切な対応が目立つ場合にはさらなる制限が待っていることは容易に予想されます。医療関係者は個人情報保護法の趣旨を理解し日常診療に当たることが求められていますので、ガイドラインを熟読することをお勧めします。

参考ホームページ
1)個人情報の保護(内閣府国民生活政策
HP)http://www5.cao.go.jp/seikatsu/kojin/index.html
2)「医療・介護関係事業者における個人
情報の適切な取扱いのためのガイドライン」(厚生労働省HP)http://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/12/dl/h1227-6a.pdf
(広報委員会 根本明宜)
(リハニュース25号:2005年4月15日)