<特集◎診療ガイドラインの動向と課題>
安全管理・推進のためのガイドライン策定委員会
委員長
前田真治
近年、臨床におけるリスク管理への取り組みがなされてきており、その中でリハ部門においても、急性期患者の増加、多様な合併症を持つようなハイリスク患者が増え、医療事故の防止などリスク管理の徹底が叫ばれてきている。当策定委員会ではリハ医学会関連専門職委員会の協力を得、リハ医療が安全かつ効率的に行われるためのシステムをリハ・チームを構成する関連職種とともに構築することを目的にガイドラインの策定を進めてきているので、その活動内容を紹介する。
まず、2003年度には、リハ医学会研修認定施設(333施設)における施設全体およびリハ部門の安全管理体制、教育・研修体制、安全管理上の問題点などの実態調査を行った。また、リハ医療にかかわるリスク管理の関連文献を収集・整理した。(リハビリテーションにおけるリスクマネージメントの文献的考察.医療の質及び医療安全体制の確保に関する研究―医療事故を防止するための対策の効果的な実施および評価に関する研究―平成15年度総括研究報告書(主任研究者:千野直一)pp3-12、2004年4月)
2004年度にはリハ医療における安全管理マニュアルの作成に着手している。まず、全国のリハ施設から送付された安全管理マニュアルを分析し、医療事故の実態と対比させ、リハ部門の特殊性を踏まえたマニュアルを検討した。その上で、個々の患者で用いる
チェックシートの作成を行った。(リハビリテーション医療におけるリスクマネージメントの考え方と安全管理マニュアル作成に向けての提言.医療の質及び医療安全体制の確保に関する研究―医療事故を防止するための対策の効果的な実施および評価に関する研究―平成16年度総括研究報告書(主任研究者:千野直一)pp11-33、2005年4月)
さらに、リハ医療における安全管理をモニターするためにインシデント―アクシデント・データベースの作成を行っている。(インシデント―アクシデント・データベースの作成.同報告書pp34-36)
今後は、安全管理マニュアルを、リハ医学会をはじめとし、理学療法士協会、作業療法士協会、日本リハ看護学会、日本義肢装具学会などの代表者を通じホームページなどに公開し、会員の意見を得た後に、安全管理マニュアルを出版する予定である。
(リハニュース27号:2005年10月15日)