<障害者自立支援法>

障害者自立支援法 4月1日からスタート


半世紀に及ぶ日本の障害福祉制度の大改革が始まろうとしています。本法における福祉サービスは表に示したように体系化され、所得に着目した応益負担が4 月1 日より開始されます(補装具については10 月開始)。今回は、「介護給付」と「訓練等給付」について支給決定がなされるまでのプロセス(図)を解説します。

表 障害者自立支援法における福祉サービス体系(厚生労働省資料から抜粋)

 サービス利用申請の窓口は従来通り市町村です。新障害程度区分(区分1 〜 6)を決定するために106 項目の認定調査(コンピューターによる1 次判定)が行われます。

 ホームヘルプサービス、ショートステイ、入所施設での生活介護(旧法身体障害者療護施設入所者等が該当)などの「介護給付」を希望する場合は、医師意見書、特記事項などに基づいた2 次判定(審査会)を経て支給決定されます。

 一方、施設での機能訓練、生活訓練のみを行う場合( 旧法身体障害者更生施設通所者等が該当) は「訓練等給付」を受けることになりますので医師の意見書は不要です。暫定支給決定が行われ、個別支援計画、訓練効果などをみて審査会の意見を聞きながら本支給決定がなされます。なお、入所して( 旧法身体障害者更生施設入所者等が該当) 訓練を行う場合でADL の支援が必要な方は合わせて「介護給付」(障害者支援施設での夜間ケア等)を受けることになります。

 これまでに支援費制度で福祉サービスを受けている方で4 月以降(旧法支援費制度対象障害者施設利用者は10 月以降)も継続が必要な方は、残りの有効期間が「みなし支給決定」として扱われます。それ以降あるいはこれから新しく福祉サービスを利用しようとする場合は、「新障害程度区分」の決定を受けることが必要となります。

図 支給決定までの流れ(厚生労働省資料から抜粋)

 したがって、2 次判定で重要な位置を占める医師意見書の作成を求められた場合、リハ医としてどのような点に注意して書かなければならないかを知っておくことが重要です。障害像を的確に表現し、1 次判定では反映されなかった支援の必要性を専門医師として意見書に盛り込むことが大切です。特に高次脳機能障害や行動障害などの観点が重要と考えられます。各地域において医師意見書作成の研修会が企画される予定ですので参加をおすすめします。

(障害保健福祉委員会 樫本 修)


(リハニュース29号:2006年4月15日)