印象記第43回学術集会

第43回日本リハビリテーション医学会学術集会
◎ 印象記 ◎ 6.1-3 in 東京

金沢大学大学院医学系研究科リハビリテーション科学領域 染矢 富士子


第43回学術集会は東京プリンスホテルパークタワー地下2階のワンフロアーにて、宮野佐年会長(東京慈恵会医科大学リハ医学講座)の目指した「リハビリテーション医学の進歩と実践」をテーマに開催され、アクセスの良さもあり盛況であった。このような東京ならではの素晴らしい会場での学術集会は初めてであり、ワンフロアーの特徴として、会場間の移動の利便性と時間の節約、フロアーのコンパクトさから会いたい先生に容易に遭遇できる、どの会場にも人が入りやすい雰囲気があるなどが挙げられた。また、会場表示が液晶パネルでリアルタイムに変わるシステムについても初めての体験であった。

天候にも恵まれ、6月1日の初日の開会式から大勢の人が集まり、会長講演では、「温故知新」の副題のもと、運動療法の歴史的変遷の紹介、症例の成功例ばかりでなく失敗例の検証の重要性を強調され、最後に東京慈恵会医科大学リハ医学講座での数々の研究成果が紹介された。その内容として画像研究からコスト調査に至るまで、幅広い研究が行われていることを改めて知り、大学としての意気込みを感じることができた。

続いての日立製作所/科学技術振興機構の小泉英明先生による特別講演は、光トポグラフィーを機能評価に利用するに至った経緯とその応用についての興味深いお話であり、今後の発展が期待できるものであることを実感した。特に、乳幼児のワーキングメモリーの発達評価や障害を受けた後の第2臨界期への応用については早期リハを科学的に立証する立場から有用な知見であると確認できた。

シンポジウムなどの特別企画、ランチョンセミナーの数も多く、760題もの一般演題のセッションとどちらを聞きに行こうか迷うほどであった。一部には立ち見がでるほどの講演もあり、参加された先生方の熱気が伝わってきた。このような充実した企画、運営された先生方の努力に多々感じ入る点があった。東京での学術集会は隔年で開催されているため、その特徴や魅力を押し出すことは難しいと考えられる中、非常に印象に残る集会であったと思う。

学術的な快い刺激を十分に受けたあとで目に映る東京タワーは、ライトアップされるとその美しさが一段と増し、改めて今回の学術集会への感慨にふけることができた。