<2007/May/16 updated>
医局だより島根大学リハビリテーション部

島根大学リハビリテーション部


島根大学医学部(旧島根医科大学)附属病院は1979年(昭和54年)に島根県東部の出雲市に開設されました。島根大学リハ部の歴史は、1980年(昭和55年)の理学療法部開設に始まり、2002年(平成14年)のリハ部への改組と共に、作業療法および言語聴覚療法が加わり、少しずつではありますが発展して参りました。現在のスタッフは、医師3名(助教授、助手、医員)、看護師1名、理学療法士(PT)4名、作業療法士(OT)3名、言語聴覚士(ST)1名であり、中央診療部門の一つとして外来診療を中心に活動しています。

現在積極的に取り組んでいる主なテーマは、摂食・嚥下障害の評価と治療、膝スポーツ外傷のリハ、および地域の病院間連携の確立であります。出雲市の人口は約15万人ですが、200床以上の急性期病院が3つあるのにもかかわらず、回復期病院はこれまで皆無に近い状況でした。保健所等と連携して、地域の回復期病院を目指す施設との協調を図っています。都会では簡単にできる連携も、地方では至難の業であることを痛感しております。コメディカルの卒前教育として、中国・四国地区の養成校から年間10名程度を受け入れていますが、実習生の中から本院に就職する方もいて、研修施設としての喜びを感じています。また、中国からの留学生も受け入れ、国際親善にも取り組んでいます。

欧米では医学のシンボルとして、蛇のからまったアスクレピオスの杖が用いられていますが、島根大学医学部のそれには兎と蒲の穂のデザインが使われています。これは出雲神話の中の「大国主命」「因幡の白兎」に題材をとったもので、新設医大として、地域の医療を創造し開拓していこうという自負から生まれたものと推察します。しかし、最新の島根県医療対策課の勤務医実態調査では医師不足が深刻で、その充足率は79.9%であり、診療科別の充足率では、皮膚科(50.0%)、眼科(57.8%)についでリハ科は低い方から3位(63.6%)となっています。この傾向は、県西部(石見地区)、隠岐地区で強く、地域格差解消のために努力していかなければなりません。島根は古い歴史と豊かな自然に恵まれ、人情味溢れる土地であります。地域医療に興味を持たれ、四季折々の自然、アウトドアにも関心のある方は是非お問い合わせください。

(馬庭壯吉)

島根大学リハビリテーション部
〒693-8501 島根県出雲市塩冶町89-1
Tel 0853-20-2242、Fax 0853-20-2236