Report | 第48回日本神経学会 |
第48回日本神経学会
甲南女子大学看護リハビリテーション学部 阿部和夫
第48回日本神経学会総会は、三重大学神経内科葛原教授が会長で、2007年5月16日〜18日に名古屋で行われた。テーマは、「再び臨床神経学の原点へ」であり、神戸で開かれた第44回日本リハ医学会学術集会のテーマ、「実学としてのリハビリテーションの継承と発展」と相通じるものがあり、医科学と臨床医学との整合性および他学会との差別化に苦慮していることを感じさせた。
リハに関する演題はそれほど多くはなかったが、リハ医学会、神経治療学会、脳卒中学会など、神経内科と関連の深い学会が多いため、発表が分散されてしまったためであろう。神経疾患に対する緩和療法、認知症に対するリハ、脳卒中のリハなどを神経内科医の立場から捉えた発表があり、神経内科医としてのリハへのかかわり方、あるいはリハ医の神経内科へのかかわり方などを考える上での参考になった。また、神経所見の取り方、補助診断法などに関する教育講演、ハンドオンセミナーも多く、会員医師の教育に果たす学会の役割を考えるための参考になった。リハ医学会も多くの教育関連のセミナーを行ってきたが、さらに充実させる必要がある。スポンサーが付いたセミナーも多くあり学会運営の大変さを感じさせたが、神経疾患の緩和医療に関するDr. Maddockの講演は、難しい問題について分かりやすく解説しており傾聴に値した。緩和医療の重要性が増しているが、正面から取り上げた演題・講演が少なく、リハ医学会でも今後の課題である。
リハ医学会と神経学会は、関連分野の大規模な学会であるが、交流があまりなされておらず、学会印象記の掲載も今回が初めてである。両学会の間でシンポジウムや教育講演などへの互いの専門医の招聘を行うなど、もっと緊密な関係を築くべきである。