Report | 第23回日本義肢装具学会 |
第23回日本義肢装具学会
浜松医科大学附属病院 リハビリテーション科 美津島 隆
今回、2007 年11 月17、18 日の両日、私は宍道湖畔にたたずむ風光明媚な城下町松江市で開かれた第23 回日本義肢装具学会に参加した。開催日が初冬でもあり、日本海側特有の変わりやすい天候で肌寒かったが、天候とは対照的に、各会場内の熱気は非常に 高かった。この学会は、医師、義肢装具士、理学療法士、作業療法士など多職種が集う学会でもあるためか、地方都市の開催ではありながら、参加者数も多く非常に盛況であった。
この都市で、全国規模の学会が開かれることはめったにないとのことであるが、会場のくにびきメッセは、全国学会を開催するのに十分な規模と設備をもっていた。機器展示を含め、4会場で行われたのだが、すべて一階で行われ、しかも各会場が隣接しており、会場内の移動は非常に便利で、興味ある演題を時間のロスなく視聴できた。
学会の特別講演、シンポジウム、口演も多岐にわたっており、今大会のテーマである「夢を創る」にふさわしい内容であった。特別講演では、武智秀夫先生が、島根県が生んだ偉人である森鴎外と彼が留学したドイツの医学史の特に義肢についての長年にわたる研究成果を「ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲンの義手と森鴎外」としてご講演されたのが印象的で、大都市での学会では聴けないような、いかにも地方の特色を生かした内容であった。またマレーシアのザリハ・オマール先生は、女性ならではの、豊かな感性を持って、今後の義肢装具の将来性についてご講演された。
中村俊郎大会長の講演も素晴らしく、義肢装具と文化との関連を語られたお話は、義足を通した世界との交流で義肢装具の重要さ、奥の深さを伝えていこうとする内容で、スケールが大きく、いかにも、一地方都市から世界レベルの技術を発信した企業のトップにふさわしいものであった。
最新の義肢装具の技術、知見を見聞したのちは、テレビでも放映され人気になった魚「のどぐろ」に舌鼓を打ちながら山陰の夜は更けていくのであった。