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リハビリテーション科女性医師ネットワーク(RJN)

「男女共同参画委員会・RJN企画 合同シンポジウム」開催報告

リハビリテーション医学・医療における男女共同参画の現在・過去・未来
~だれもが活躍できる社会を目指して~

日時 2022年6月23日(木)16:40~18:10
会場 第8会場(ノース4階 G401+G402)

さる6月23日、横浜で行われた第59回日本リハビリテーション医学会学術集会において、男女共同参画委員会・RJN合同企画シンポジウム「リハビリテーション医学・医療における男女共同参画の現在・過去・未来~だれもが活躍できる社会を目指して~」が開催されました。浅見豊子先生(日本リハビリテーション医学会男女共同参画委員会担当理事・委員長)と大串幹先生(同委員会アドバイザー)の司会進行のもと、リハビリテーション医学・医療の各分野で活躍する5名のシンポジストをお迎えし、各職域における男女共同参画への取り組みについて、これまでの歩みと現状、未来へ向けた課題を語り合う貴重な機会となりました。コロナ禍ではありましたが、31名の現地参加者と32名のオンデマンド視聴(8月8日現在)があり、男女共同参画社会の実現へ向けた関心の高まりが感じられました。

最初に、日本理学療法士協会の小川克巳先生より「ジェンダーギャップに関する意識調査から」と題し、2010年の女性理学療法士の会の立ち上げにはじまった同協会の取り組みと、同協会で実施された女性理学療法士の就労環境調査結果についてご報告がありました。女性比率が増えつつある一方、職場での役割における不平等や、妊娠期に直面する問題等があげられるとともに、ジェンダーギャップやアンコンシャスバイアスの存在に目を向けていくことの必要性が述べられました。他方、それらの取り組みがウィメンズヘルスなど学問分野の発展へとつながり、新しい展開がもたらされている状況も紹介されました。

日本作業療法士協会の宇田薫先生からは、「女性作業療法士の参画促進を理解・サポートすることで見えてきた男女共同参画」と題し、女性会員の多い同協会においても指導的立場につく女性はまだ少ないこと、そのような中で、タブーを作らず困っていることを表現していくことで問題として認識されるようになること、そのための場づくりとして、協会HPでの相談窓口開設やコラムの掲載等の活動に取り組んできた経緯が紹介されました。また、ご自身の職場では、育児・介護・健康上の問題など働くスタッフの事情はさまざまであるけれど、誰もが必要な時に休みをとれる体制づくりが働きやすさにつながるとともに、そのような仕組みが、提供するサービスの質の向上にもつながり、働きやすさと良質なサービスの提供が表裏一体のものであることも述べられました。

日本言語聴覚士協会の鈴木智子先生からは、「働きやすい環境を考える~育児・介護をしているスタッフ中心に~」と題し、言語聴覚士という職種の特性上、一般病院では少人数の配置となりやすく、困りごとを相談しづらい環境におかれやすい状況についてご報告がありました。そういったなか、専門職として育成されてきた人材が途中で退職することなく勤務を継続できるよう、業務量の調整や時短勤務制度の導入、定期的な面談の実施等、管理職として環境整備に努めてこられたこと、特に、相談できる機会・場所・人づくりが働きやすくやりがいのある職場をつくることにつながってきたとのご自身の経験が紹介されました。

日本義肢装具士協会の楡木祥子先生からは、「海外の義肢装具士から学んだ大切なこと」と題し、ご自身の海外での経験とともに、日本の女性義肢装具士が置かれている状況についてご報告がありました。専門教育の機会充実とともに女性の義肢装具士の割合は増加傾向ではあるが、数値としては14.7%とまだ少ない状況にあること、また、義肢装具士となった後の継続率が高くないという憂うべき状況があることにも触れられました。さらに、日本とアメリカ、イギリス、オーストラリアなど海外の状況との比較もふまえ、チームの多様性を保つことが包括的な問題解決をもたらし、ケアのレベルそのものにも影響を与えること、医療職がチームとして仕事をしていく上で多様性を保つことの重要性が述べられました。

日本リハビリテーション医学会の小口和代先生からは、「日本リハビリテーション医学会の男女共同参画白書2022」と題し、同学会では女性医師比率が年々増加傾向にあり、特に若い世代で専門医や指導医における女性比率が高くなってきている状況が報告されました。また、女性医師および若手医師支援のための学会の取り組みとして、2009年に発足したリハビリテーション科女性医師ネットワーク(RJN)の活動が発展し、2017年委員会への組織化、2020年男女共同参画委員会へと発展的に名称変更に至った経緯が紹介されました。同時に、引き続き同ネットワークが活動を継続し、幅広い視点で女性医師・若手医師のキャリア形成支援に取り組んでいる状況も報告されました。

講演後の総合討論では、職種による状況の違いはあるものの、女性の活躍のためにロールモデルを示していくことの重要性や、働きやすい職場を実現するためのマネジメントの重要性、よりよい医療の提供のためチームの多様性を保ちながら連携していくことの大切さが確認されました。また、その過程では、ジェンダーギャップのみならず、世代間のギャップを乗り越えていくことが必要との意見もでました。

今回、各分野で奮闘されてきたシンポジストの先生方のお話を伺い、これまで着実に築き上げてきたことが轍となり、次の新しい時代へつながっていくよう、次の時代はどんな社会であってほしいか、働く場所はどうあってほしいか、私たち自身がビジョンをもち、それを具体的な形に実現していくことが求められていると切実に感じました。

(男女共同参画委員会委員 浅野由美)


鈴木智子先生、宇田薫先生、小川克巳先生

 


小口和代先生、楡木祥子先生

 


会場風景

 


シンポジウム後の記念撮影