市民のみなさまへ

公益社団法人日本リハビリテーション医学会理事長
京都府立医科大学大学院リハビリテーション医学教授(副学長)
久保 俊一

公益社団法人日本リハビリテーション医学会理事長:久保 俊一

平成28年6月をもちまして公益社団法人日本リハビリテーション医学会の理事長を仰せつかりましたのでご挨拶を申し上げます。本医学会は昭和38年(1963年)に任意団体として発足し、平成元年(1989年)に社団法人となり、平成24年4月1日より公益社団法人として認可され、現在の会員数は10,000名を超えて、専門医数も2,100名に達しております。

本医学会は公益社団法人移行にあわせ「リハビリテーションに関する医学の発展と知識の普及、学術文化の向上に関する事業を行い、もって医療及び社会福祉の充実に寄与することを目的とする。」という目的を新たに掲げました。私たちにはリハビリテーション医学の専門家集団として、リハビリテーション医療・医学に関わる多方面からの様々な要請に応えるべく社会に対して最新情報の発信、最良医療の提供をする使命があると考えております。また、そのような活動を通してリハビリテーション医療・医学とその役割をより多くの方々に理解していただければと考えております。そのために、社会に開かれた学会を目指して会員とともに活動し、より良いリハビリテーション医療・医学の発展に貢献したいと考えております。

リハビリテーション医学は様々な病気や外傷の後に生じた運動や認知機能の障害について診断を行い、運動療法、物理療法、装具療法などの手段を用いて治療を行います。そして、単に身体面の回復ばかりでなく、生活活動、社会参加、職業復帰さらには心理面までをできる限り最大レベルまで高めて行くようにすることが大きな役割です。たとえ身体機能の回復が十分に得られなくとも、残された機能を最大限に活用したり、装具などを用いたり、環境の整備を行うことでも生活上の不自由さを軽減し社会参加を可能にすることもできるのです。

リハビリテーション科医による診療領域は、脳卒中、脳の外傷や腫瘍、脊椎や脊髄の疾患や外傷、関節リウマチなどの関節疾患、骨・関節の外傷後、切断、脳性麻痺などの小児疾患、神経および筋疾患、心疾患、呼吸器疾患、がんなど様々な疾患や障害を対象としています。障害は機能の障害、生活活動の制限、社会参加の制約と多岐にわたるため多くの場合は関連する多職種によるチームで対応することになります。また、リハビリテーション科医は患者さんの全身管理、新たな疾患や障害発症の予防なども行いながらチームのまとめ役を担っています。さらに、最近ではリハビリテーション科医による新しい治療手技や、ロボット技術の応用などの先端科学技術の導入といった新たな治療にも期待がもたれています。

リハビリテーション医療は急性期、回復期、生活期(維持期)に分けて考えられています。急性期の病院では病気や外傷後のできるだけ早い時期からリハビリテーションを開始することでより良い結果が得られるといわれています。リハビリテーション科医は各科医師からの依頼により速やかにリハビリテーションアプローチを開始します。急性期病院の入院期間は短いため、さらなるリハビリテーション医療を必要とする患者さんには医療連携のもと回復期リハビリテーション病棟にて継続することが可能となってきています。その後に在宅生活を過ごされる場合には、生活期のリハビリテーションが行われます。障害を持ちながら自立した生活を維持していく方々の生活を支援するのもリハビリテーション科医の得意としているところです。

この他にも、小児領域や内科疾患なども含めてさまざまな場面においてリハビリテーション科医が関わることが求められていますが、その中心となる専門医の数はまだまだ不足しています。私たちは社会のニーズに応えるためにも多くのリハビリテーション科専門医を育成することを大きな使命として取り組んでまいります。

公益社団法人日本リハビリテーション医学会は、これからも市民の皆様の声に耳を傾けつつリハビリテーション医療・医学の発展に寄与し、質の高い専門医の育成を行うことにより国民の皆様ご期待に応えてまいりたいと思っております。

どうぞよろしくお願い申し上げます。

2016年6月