理事長挨拶
リハビリテーション医学・医療のさらなる発展に向けて
社団法人 日本リハビリテーション医学会 理事長:里宇 明元

2008年6月の役員改選により、理事長職を仰せつかることになりました。身に余る光栄と感謝申し上げますとともに、1963年に創設以来、45年間の歴史をもち、9,800余名の会員を擁する学会の舵を取るという重責に身の引き締まる思いです。津山直一先生、米本恭三先生、千野直一先生、江藤文夫先生という歴代の錚々たる理事長が築いて来られたかけがえのない財産を引き継ぐにはあまりに非力ですが全力で務めますので、ご指導、ご支援をお願い申し上げます。
21世紀に入り、少子高齢化の進行、経済情勢の悪化、地球規模での環境や生存への脅威の拡大など、人類は従来の価値観では対応しきれない未曾有の難題に直面しています。医学・医療の世界においても、疾病構造の変化、医療技術の革新、社会からの医療に対する要求水準の高まり、医師教育システムの変革、社会保障財源の抑制などが進み、リハビリテーション医学・医療を取り巻く環境は厳しさを増しています。このような中で、私は以下の7つのアクションプランに取り組みたいと考えております。
1.役員会の改革と委員会活動の強化
迅速かつ的確な意思決定と行動を可能にするために、役員会の改革を行います。具体的には、重要課題について十分な審議を尽くすために、役員会前に密な情報提供と論点の明確化を行い、また、メール等を活用した予備審議を行います。さらに、2カ月に1回の役員会だけでは諸課題への機敏な対応が困難なことは明白であり、支援ツールとしてのネットワーク会議システム導入の検討を含め、機動性のある執行体制を目指します。
学会活動の要である各種委員会は、委員長、委員各位の献身的な努力により活発な活動が展開されていますが、学会のさらなる発展のためには、委員会活動の一層の充実・強化が不可欠です。そのためにどのような支援体制を整備すべきか、各委員会の現状、問題点、課題を把握・整理しながら検討してまいります。
2.公益法人制度改革への対応
2006年成立の公益法人制度改革3法が2008年12月に完全施行されます。詳細はまだ不明ですが、学会組織の大幅な見直しが求められることは必至です。特に、理事会と評議員会の機能と権限の見直しは重要な課題であり、現行のダブルチェクシステムから、新法では理事会を業務執行機能、評議員会をチェック・監督機能として評議員会の権限が強化されることになります。一方、従来から評議員、理事の選出プロセスの透明性の確保および地域格差の解消を求める声は強く、地方会機能の強化と併せ、対応が求められています。このような背景から2006年11月に「評議員選挙制度の導入および理事選挙のありかたに関する検討委員会」が立ち上がり、そこでの検討および評議員に対するアンケート結果を踏まえ、2007年6月の評議員会、総会において、評議員選挙に関する規則および内規の案が示されました。今後、会員からのフィードバックを得ながら、定款および規則・内規を見直し、2010年の評議員選挙実施に向けて準備するとともに、この機会に将来を見据えた学会組織のありかたを検討していきたいと考えています。
3.専門医育成アクションプランの策定
専門医会の「リハ科専門医需給に関するワーキンググループ(WG)」は、将来の専門医必要数を3,078~4,095人と推計し、推計当時の数(1,384名)から不足を1,694~2,711人と算定しています。毎年30~50人ずつ増加していますが、今のペースでは3,000人への到達が2047年、4,000人への到達が2069年と予測され、ニーズを満たせないことは明らかです。社会に対する責任を果たすためにも、速やかに現行の育成制度の問題点を洗い出し、質を担保しながら専門医数を大幅に増やす対策を講じることが急務です。そこで、専門医会、教育、認定、試験問題、広報などの関連委員会を横断的に繋ぐ「専門医育成アクションプラン策定WG」を立ち上げ、実効性のあるプランを策定・実行してまいります。
4.研究活動の活性化
学術団体としての重要な使命は、リハビリテーション医学・医療に関わるサイエンスの推進にあります。そのためには、良質なデータの蓄積を可能にするデータマネジメントシステムの確立とエビデンス発信体制の整備が不可欠です。それに向け、データマネジメントWGを設置し、具体的検討を開始するとともに、研究資金の確保を含めた基盤整備に努めてまいります。
5.社会保障制度改革への対応
2009年の介護報酬改定、2010年の診療報酬改定、自立支援法等に対する短期的、現実的な対応を的確に行うことに加え、「障害を総合的にとらえてアプローチする」リハビリテーション医療に相応しい制度体系について、中・長期的展望に立った提言を行っていきたいと考えております。
6.国際化の推進
国際委員会担当理事を複数体制として国際活動を強化し、本医学会の国際的プレゼンスを高めてまいります。さらに、今回の四川大地震のような大災害時に、学会に蓄積されたノウハウを活かした支援が提供できるような国際貢献のための体制を検討してまいります。
7.関係団体との連携強化
すでに軌道に乗っているリハビリテーション関連5団体、内科系学会保険連合、外科系学会保険連合を通しての連携に加え、本医学会と関係の深い学協会との連携を深めてまいります。その中で、診療報酬改定等における連携だけでなく、共同での研修事業の実施やガイドラインの策定、研究の推進なども検討してまいります。
以上、7つのアクションプランを掲げましたが、限られた時間と資源の中でどのように優先順位をつけて進めていくべきか、会員の皆様のご意見を伺いながら熟考し、一歩でも前進するように努力いたしますので、重ねてご支援、ご協力をお願い申し上げます。