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東北地方太平洋沖地震で被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます-何をなすべきか、何ができるか

2011年3月25日

事務局

何をなすべきか、何ができるか

2011年3月25日
社団法人 日本リハビリテーション医学会理事長
里宇明元

2011年3月11日に発生した未曽有の大地震と津波により、尊い命を失われた方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、今なお、大きな不安を抱えながら、厳しく、不自由な生活を強いられている被災者の皆様に心よりお見舞い申し上げます。

被災地の苛酷な環境の中で、熱意を持って診療活動に励んでおられる会員の皆様、全国の会員が皆様を応援しております。くれぐれもお体にお気をつけてお過ごしください。また、計画停電、交通機関の乱れ等の影響により、日々、診療・教育・研究機能の維持に苦労しておられる会員の方々にも心よりお見舞い申し上げます。

今回の震災による甚大な被害を目の当りにして、言葉を失うような大きな衝撃を受けるとともに、多くの国民が、命の尊さ、家族・友人・地域の人々との絆の大切さ、普段は意識することがなかった見慣れた景色の愛おしさ、そして何よりも、普通に、安心して生活できることのかけがえのなさ、を実感したのではないかと思います。

祖国日本が直面するこのかつてない深刻な危機に際して、われわれはひとりの人間として、また、リハビリテーション医学を志す者として何をなすべきか、何ができるのか、問い続ける日々が続いています。

一日も早く、被災者の方々の生活が安心と安らぎに包まれたものとなりますように、被災地に希望と明るい笑顔が戻りますように、そして当たり前の日常を送れますように、心から願うとともに、今こそ、ひとりひとりが持てる力を出し合い、皆の力を結集して、前に進んでいく時だと思います。

リハビリテーション医療は、早期から障害を予防し、障害された機能を最大限に回復させ、また、障害された機能を的確に補うことによって、人々が活き活きとした生活を送れるように支援するために、必須の医療機能です。日本リハビリテーション医学会は、1963年に、「リハビリテーションに関する医学の進展と知識の普及を図り、学術文化の発展に寄与すること」を目的として設立され、これまでリハビリテーション医学・医療を日本の社会に根付かせ、その進歩を牽引するうえで重要な役割を果たしてまいりました。そして、本学会は、2013年には設立50周年の大きな節目を迎え、「歴史を振り返り、未来を拓く」を合い言葉に、50周年記念事業の実施が計画されています。

そのような学会としての節目を迎えようとしているまさにその時に、今回の大震災が起こりました。 「われわれは何をなすべきか」、「何ができるか」、その答えは常にひとりひとりが自問自答しながら、見つけていくものかもしれません。ただ少なくとも、「リハビリテーション医学・医療の専門家集団」として、多くの専門家集団と、また、国民と一致協力して、被災者・被災地の復興支援に最大限の力を注ぐことは、リハビリテーション医学会として果たすべき役割ではないかと考えます。今、目の前にある問題・課題に真剣に取り組むことなしに、リハビリテーション医学会の次の50年の展望や明るい未来は拓けません。今こそ、われわれの総力を結集し、人々のため、社会のために尽くす時だと思います。

かつて経験したことのない深刻かつ広範な被害をもたらしている今回の大震災に直面し、日本リハビリテーション医学会は、リハビリテーション医学・医療の専門家集団として、被災地域の学会員を支援しながら、関係団体、行政等との密な連携のもとに、被災者の支援、特に災害弱者である高齢者、障害児・者のリハビリテーション医療支援、生活支援、廃用症候群・二次障害の予防に向けて、精力的な取り組みを押し進めております。状況は時々刻々と変化しておりますが、会員の皆様にこれまでの経過の概要をご報告させていただきます(表をご参照ください)。

一方では、学会としての通常業務は待ったなしであり、業務を滞りなく進めていく必要があります。財務、公益法人化、専門医制度改革など、多くの重要業務を担当して来られた上月常任理事が被災地におられ、現地での対応に忙殺されていることから、過去2年間、常任理事として学会のために尽力された吉永理事に常任理事代行をお願いし、この難局を乗り切ることにいたしました。また、役員会も対面会議の実施が困難な中で、メール審議を活用して精力的に審議を行っております。今後、重要案件に関しては、テレビ会議なども活用し、学会としての業務が円滑に進むように配慮してまいります。

会員の皆様におかれましては、このような困難な時こそ、震災対応にご協力いただくとともに、高い志と熱意を持って、学会の重要な役割である質の高いリハビリテーション医療の提供、未来を創り出すための後進の育成、専門家としての質を担保するための生涯教育、そして科学を進め、新たな価値を生み出す挑戦的な研究に、今までにも増して邁進されますことをお願いいたします。

この国家的難局に際し、学会をあげて取り組んでいく決意ですので、会員の皆様におかれましては、引き続き、ご支援、ご協力のほどよろしくお願いたします。
表. 日本リハビリテーション医学会としての震災後の対応の経過(2011年4月20日現在)(PDF)