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急性期のリハビリテーション医学・医療

急性期のリハビリテーション医学・医療

吉川 達也 先生
吉備高原医療リハビリテーションセンター 第三リハビリテーション科部長

【質問1】急性期のリハビリテーション医療に興味を持ったきっかけについて

元々脳神経外科医として急性期の現場で仕事をしていました。リハビリテーション医療のイメージとして、急性期の治療が終わってリハビリテーション病院に移ってから、本格的に始めるものだと思っていました。なので、病気を発症した直後や、状態が悪い時期から安全に離床させることができるのだろうかと興味を持っていました。

【質問2】 実際に急性期のリハビリテーション医療の現場に立った感想は?

リハビリテーション科医に転向してすぐの頃は、特に集中治療室にいる重症な患者さんを積極的に離床させるのは、リスクが高いと思っていました。しかしきちんと全身を診察して医学的に管理をしていると、思ったほどトラブルはなく、急性期でも積極的に運動させてもいいのだということがわかりました。今まで何の根拠もなく安静にさせていたかもしれず、考えを改めなければならないと思いました。

【質問3】急性期のリハビリテーション医療の魅力について

急性期でリスク管理するには、リハビリテーション科医だけでなく、主科の医師やナース、セラピストとチーム医療として取り組む必要があります。時に意見が衝突することもありますが、チームでうまくコミュニケーションを取りながら治療を行い、患者さんが歩くところまで回復されたときには、大きな達成感を得ることができます。

【質問4】患者さんやご家族などに言われて印象に残っていること

重症な頚髄損傷患者さんが、集中治療室で比較的早く抜管することができた症例です。横隔膜の動きが悪いので抜管は難しいのではないかと考えていましたが、積極的に運動療法を行って抜管に成功しました。入院してすぐにリハビリテーション治療を開始したのですが、その時に希望を見い出せたと言っていたことが、強く印象に残っています。

【質問5】今後の目標や夢について
現在は脊髄損傷のリハビリテーション専門病院で勤務しています。慢性期・維持期の患者さんを診ていますが、家庭復帰や職場復帰に数多く関わっています。今では患者さんの半年から1年後の姿を想像しながら、治療に関わることができるようになりました。その経験を生かして、またいつか急性期リハビリテーション医療ができたらいいなと思っています。それと外科医である特色を生かして、リハビリテーション分野の手術的治療にも取り組んでいきたいです。