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専門医会委員会

「リハビリテーション科専門医需給」に関する報告

2017年5月18日

日本リハビリテーション医学会 リハビリテーション科専門医会
「リハ科専門医需給に関するワーキンググループ」 担当幹事 佐伯  覚
委員 菅原 英和,瀬田  拓,水野 勝広
吉田  輝,若林 秀隆

要旨

全文はこちらから

近年の医療環境の大きな変化や増大するリハビリテーション(以下,リハ)の社会的ニーズに対し,リハ科専門医数の不足あるいはリハ科専門医不在によるリハ医療の質の低下が指摘されている.実際に全国にどの程度のリハ科専門医が必要なのかについて,いまだ学会内部での正式な議論はなされていない.リハ科専門医会では専門医会独自の研究・調査活動の一つとして,同会内部に「リハ科専門医需給に関するワーキンググループ」を設置し,将来のリハ科専門医の必要数を検討した.

リハ科専門医がカバーする領域は保健・医療・福祉分野に至るまで幅広く,その専門性と役割は他科と比べてきわめて広いという特殊性がある.リハ科専門医必要数を算出するにあたって,リハ科専門医は疾患単位ではなく障害を中心に横断的な診療を実施すべきであり,さらにリハ医療の質向上のためには専門医の役割分担をもっと明確にすべきであるという観点から,専門医の役割を1)臨床急性期・一般病床,2)臨床回復期,3)臨床維持期・地域支援,4)教育・研究の4領域に分け,各分野における必要数を推計した.

各領域での調査検討結果をまとめると,2007年4月現在の専門医数1,384人に対し,必要数は合計で3,078~4,095人と推計され,不足数は1,694~2,711人と算定された(表).

リハ科専門医数は1980年から毎年30~50人の割合で増加傾向にあるが,専門医3,000人の到達が2047年,4,000人到達が2069年の見込みであり,そこからさらに資格喪失者や死亡者を差し引くと必要数を満たす可能性はない.現状のままでは,社会的ニーズに到底応えることはできず,リハ医療の質も担保することができない.専門医育成・増加に向けた抜本的な対策が必要である.

本報告は,その要旨であり,詳しくは第2回リハ科専門医会学術集会パネルディスカッション「リハ科専門医の需給を考える」(本誌45巻8号掲載予定)を参照されたい.

表 職域役割別のリハ科専門医現在数,必要数および不足数

専門医現在数 専門医必要数 専門医不足数
2) 臨床回復期 195 885~1,325 690~1,130
1) 臨床急性期・一般病床 1,068 1,529~2,038*
1,461~1,948**
821~1,398
3) 臨床維持期・地域支援 428
4) 教育・研究 121 304 183
合計 1,382 3,078~4,095 1,694~2,711

*神奈川モデルより推計,**厚生労働省全国医療施設調査より推計