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リハビリテーション関連雑誌における評価法使用動向調査-3-

日本リハビリテーション医学会 評価・用語委員会

園田  茂,大橋 正洋,小林 一成,近藤 和泉,豊倉  穣 , 森本  茂,千田 富義,住田 幹男眞野 行生,蜂須賀研二

はじめに

日本リハビリテーション医学会評価・用語委員会の役割の1つとして,リハビリテーション(以下,リハ)分野で用いられている評価法の動向調査がある.1999年9月に公表したリハ関連雑誌における評価法使用動向調査1)では,1998年発行のリハ雑誌の原著論文でどのような評価法が使われているかを呈示し,さらに第2報2)では1999年に発行された雑誌の情報を加えて評価法の現状を追跡した.今回,2000年発行分のデータを合わせ,評価法の使われ方の変遷を検討したので報告する.

対象と方法

調査方法は第1報,第2報と同様である.リハの総合雑誌であるArch Phys Med Rehabil, Am J Phys Med Rehabil, Scand J Rehabil Med, Disabil Rehabil,リハ医学,総合リハ,臨床リハの1998年,1999年,2000年の記事のうち査読を受けた投稿論文を対象に評価法を抽出した.

評価法の定義は,何らかの規準に当てはめて判断する方法とし,血液検査など単に数値を測る「測定」は除外した.Visual analogue scaleなど,不特定な評価も除外した.ファイルメーカーPRO(ファイルメーカー社)でデータベースを作成し,委員が分担して入力した.1つの論文に複数の評価法が用いられている場合,複数のデータレコードとして扱った.各々のレコードにリハ学会の疾病分類と当委員会で作成したキーワードを付与した.

同じ評価表名の異なった表記を統一した後,3回以上使われた評価法を抽出した.使用頻度の高い評価法の出現数経時変化と,疾患・障害との関係を検討した.

結果

抽出された全評価法数は3年分で1,122レコードであった.3回以上論文に使われた評価法は76種であった(表1).このうち上位10種の3年間の推移を和洋別に図1に示す.リハ学会の疾患分類とキーワードのうち,30レコード以上集まった分類における出現数トップ3の評価法を表2に示す.

考察

3年間を合わせて多く用いられた評価表の上位はADL(FIM, Barthel index),機能障害(ASIA, Brunnstrom, Ashworth)が占めた.この両者を押さえておけば研究対象患者特性が明らかになりやすいということかもしれない.

経時変化では,FIM, Barthel, ASIAなどが変動したものの,一定の傾向は示さなかった.必ずしも使用評価表が定まっていくわけではなかった.

誌面上で公開できるのは,枚数の関係もあり,全体のランキング,出現頻度の高い評価表の分析に留まっている.今回作成したデータベースファイルを用いれば,知りたい評価表を使っている文献名・書誌情報を取り出すこともできるし,脊髄損傷かつQOLに関する評価法を検索するなど,より特定した検索も自分で可能である.前回の報告でも述べたように,この評価データベースがIndex medicusより優れている点は,評価表の名称を規格化してあるため漏れが少ないこと,題と抄録(この範囲がIndex medicusで検索される)に載っていない評価表も収録されていることなどである2).

入力されたデータベースファイルは学会員の共通財産である.今回のデータベースもhttp://member.nifty.ne.jp/reha/file/(現在は掲載されていません)よりダウンロードできるようにしてあるので,活用頂ければ幸いである.ただし容量が大きい(2MB以上)ため,遅い回線からのアクセスでは時間がかかると予想される.

文献

  1. 住田幹男, 園田 茂, 大橋正洋, 小林一成, 近藤和泉, 首藤 貴, 千田富義, 豊倉 穣, 正門由久, 大川弥生, 眞野行生: リハビリテーション関連雑誌における評価法使用動向調査. リハ医学1999; 36: 553-555

  2. 園田 茂, 住田幹男, 大橋正洋, 小林一成, 近藤和泉, 千田富義, 豊倉 穣, 眞野行生, 蜂須賀研二: リハビリテーション関連雑誌における評価法使用動向調査―2―. リハ医学2001; 38: 87-90

リハ医学2001;38(10):796-798掲載