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リハニュース No.16

2003年1月15日

  1. 特集:卒前・卒後教育

    わが国の専門医制度の動向・・・日本リハビリテーション医学会 常任理事(教育委員会担当) 江藤 文夫

    医学部卒前教育改革について・・・慶應義塾大学月が瀬リハビリテーションセンター 木村 彰男

    日本リハ医学会と卒後教育プログラム・・・日本リハビリテーション医学会 教育委員会委員長 椿原 彰夫

  2. INFORMATION

    専門医広告と専門医認定制協議会の経緯について

    北陸地方会

    中国・四国地方会

    九州地方会

    編集委員会

    障害保健福祉委員会

  3. 第2回ISPRM開催―2003.5.18 -22

  4. 事務局からのお知らせ:認定臨床医資格更新について

  5. 近況報告:第40回日本リハビリテーション医学会学術集会

  6. 質問箱

    「総合リハビリテーション実施計画書」に使用されている用語について

    仙腸関節において…

  7. 医局だより

    富山県高志リハビリテーション病院

    防衛医科大学校病院リハビリテーション部

  8. 専門医コーナー:第14回リハ・カレントトピックス&レクチャー印象記

  9. REPORT

    第18回日本義肢装具学会

    海外リハ専門医:国内リハ研修施設訪問印象記

  10. 広報委員会より

  11. 事務局コーナー

特集:卒前・卒後教育

わが国の専門医制度の動向

日本リハビリテーション医学会 常任理事(教育委員会担当)  江藤 文夫

 医師国家試験とインターン制度はともに第二次大戦後に米国から強制された制度とされる.本来,専門家集団が,自らの職能に必要な知識と技術を定め,その水準を保証するために統一試験を実施し,資格を認定するはずのものであろう.しかし,歴史的背景もあって,制度は外国の模倣に依存してきた.現在我々が目を向けているのは米国の制度である.
 日本における診療科別専門医の認定制度は,昭和37年に発足した日本麻酔指導医制度が最初である.これは米国の様式に倣って生まれた.関連して医療法に基づく「麻酔科標榜医」が誕生したが,以後厚生省は同様の専門医資格を認可することはなかった.その後,放射線学会,皮膚科学会,脳神経外科学会が昭和41年,内科学会が昭和43年,神経学会が45年にそれぞれ独自に専門医(認定医)制度を立ち上げた.昭和50年代になり,こうした動きはさらに活発化した.昭和55年9月に,制度を検討中の学会も含めて20学会の認定制度関係者30名が集まり,情報交換会議が開催されたことを機に学会認定医制協議会が発足した.平成12年に名称を専門医認定制協議会(専認協)と改め今日に至るまでの活動と,平成14年度厚生労働省による「専門医の広告」を可能にする告示に関連した経緯についてはリハ医学誌39巻12号で紹介したとおりである.(本紙4頁に一部省略して掲載).

 現在専門医制度を有する学会は,専認協の協議に基づく指針を尊重する方向で整備を進めている.専門医が医療体制において位置づけされ機能を果たすためには,認定制度全体が一定の枠内で統一性を持ち,認定方式・認定基準などの基本的事項を明確にし,社会の人々が容認できるよう整備されるべきであるという立場が基本である.こうした全体的な調整・整備の目標として専認協での了承事項とされているのは,
1. 専門医の認定は試験による客観的評価をめざすこと
2. 受験資格は研修実績を重視して審査すること
3. 認定の更新制度を行い,生涯研修を行うこと
4. 認定された医師の呼称に関して,研修年数が5年未満の認定は認定医,5年以上を専門医とし,指導医は学会内の資格とし,社会への提示呼称としないこと.研修年数は卒後の臨床研修必須化の2年を含めた年数として提示すること
などである.また,学会の利益を優先した私的制度との批判への対応のひとつとして,受験資格の条件である「会員歴」についてはできるだけ条件としない方向で検討すべきとされている.しかし,各学会の事情から直ちに条件からの削除は困難であり,当面はある程度の年数はやむをえないとされている.内科学会や外科学会では会員年数を受験資格としないとする規定改正が既になされた.

 専認協では学会ごとの制度を調整・整備するために,3群に分けてそれぞれ関連学会群により調整を進めている.この協議群が,第Ⅰ群(基本的領域の学会で,三者承認対象の学会群),第Ⅱ群(subspecialtyの学会で,基盤とする領域の認定に上積み研修方式の学会群),第Ⅲ群(Ⅰ及びⅡ群以外で,これから位置づけが協議される学会群)である.この第Ⅲ群については区分検討委員会で審議され,専認協の総会で承認される.リハビリテーションに関しては,形成外科,救急医学と並んで基盤領域を特定できないことから,第Ⅰ群に相当することが了承された.
 これまでの基本領域の第Ⅰ群には15学会が含まれるが,精神神経学会では制度が実施されていない.内科学会では認定内科医と内科専門医の2段階で,「専門医は指導医になれる」としているが,臨床研修必須化に伴う指導医と誤解する事件も生じた.近年,医療研修推進財団が「臨床研修指導医養成講習会」を開催してきたが,指導医資格を制度化したものではない.
 いずれにしても専門医告示と平成16年に予定される臨床研修必須化を契機に専門医制度の基準化への動きは加速され,各学会の制度もその基準に対応して整備されることになろう.

医学部卒前教育改革について

慶應義塾大学月が瀬リハビリテーションセンター 木村 彰男

   医学部卒前教育の改革としては,モデル・コア・カリキュラムの制定,共用試験(CBT)の導入の大きく2つのことが挙げられる.これらは卒後教育におけるスーパーローテートと連係して位置付けられており,一連の医学教育の基礎をなす部分と言える.

1. モデル・コア・カリキュラム
 平成11年の「医学・医療の社会的ニーズの多様化に伴い,さまざまな人材の育成が必要となり,そのためには精選された基本的内容を重点的に履修させるコア・カリキュラムを確立させ,学生が主体的に選択履修できる科目を拡充・多様化することが必要である」という21世紀医学・医療懇談会第4次報告を受けて,モデル・コア・カリキュラム作成作業が開始された.その結果,平成13年3月に「医学・歯学教育の在り方に関する調査研究協力者会議」の報告書に,「医学教育モデル・コア・カリキュラム―教育内容ガイドライン―」が収録され,公表されるにいたった.当初の段階ではモデル・コア・カリキュラムにはリハ医学はほとんど含まれておらず,米本恭三前理事長のご尽力により,同カリキュラムにリハ医学が取り上げられることとなったことは特筆に値すると言えよう.
 このガイドラインでは,リハ医学は「診療の基本」のうちの「基本的診療知識」の一項目として,臨床検査,麻酔,介護と在宅医療,緩和医療などと同列に扱われている.その詳細は表1に示すとおりであるが,リハの基本を学ぶということを一般目標として,その到達目標としては具体的に7つの総論的な項目が挙げられている.リハ関連の各種疾患については,「人体各器官の正常構造と機能,病態,診断,治療」の中で,例えば表2に示すように脳血管障害におけるリハに対する理解の必要性が言及されている.同様に,頭部外傷,脳性麻痺,脊髄損傷,骨・関節疾患,慢性関節リウマチの各疾患においては,リハについて触れられているが,脊髄小脳変性症,末梢神経疾患を始め,リハの対象疾患の重要なものの幾つかが欠けていることは残念である.一方,リハ医学の性格上,関連する他の領域でリハの必修分野に関する項目を見い出すことができる.すなわち,ROMやMMT,四肢の解剖,筋電図,言語障害,チーム医療,問題志向型診療録(POMR)については,運動器系や神経系をはじめとするそれぞれの分野で取り上げられており,全体的にはかなりのリハ医学の領域がカバーされている.
 リハ医学に関するモデル・コア・カリキュラムで気掛かりな点は,具体的目標の多くが学部の早い時期ではなく卒業時までの到達目標として位置付けられている点である.確かにPT, OTなどは実際の臨床実習で学ぶほうが効果的であるが,障害の3相などの基本的事項も卒業時までの到達目標となっており,このような点に関しては将来的な検討が必要と思われる.

2. 共用試験(CBT)
 モデル・コア・カリキュラムの制定に伴い,これを基に平成16年度より学生が臨床実習を始める前に実施する共用試験の導入が図られ,既に昨年度よりトライアルが開始されている.実質的に国家試験を2回実施することになるなどの批判もあるが,その運用は現段階では各大学に任せられている.実際の試験は各受験者がコンピューターの端末により,プールされた問題より受ける形で実施される.したがって受験者により問題が異なり,より客観化した試験の実施が可能となるが,問題の難度の統一など解決すべき課題も残っている.
 現時点で考えられる共用試験のリハ医学からの問題点としては,出題範囲の問題がもっとも重要と思われる.すなわちモデル・コア・カリキュラムにおけるリハ医学の各到達目標の多くが既述のごとく,臨床実習の時期に位置付けられているために,果たして臨床実習開始前に予定されている共用試験の出題範囲として,どれだけの項目が馴染むかという問題である.実際の各大学におけるカリキュラムには差があり,国公立と私学におけるリハ医学教育の内容や時間数の差も,共用試験の実施にあたっては問題になると思われる.
 その他の共用試験については,客観的臨床能力試験(Objective Structured Clinical Examination: OSCE)の実施の問題なども挙げられるが,今回は省略する.
 以上,モデル・コア・カリキュラムと共用試験を中心に言及したが,日本リハ医学会としてもこれらの教育改革の流れにおけるリハ医学教育の問題点を把握し,各大学と連携を密にしての適切な対応が望まれる.

表1 モデル・コア・カリキュラムにおけるリハビリテーション
リハビリテーション
●一般目標:リハビリテーションの基本を学ぶ.
●到達目標:

1)  リハビリテーションの概念と適応を説明できる.
2)  リハビリテーションチームの構成を理解し,医師の役割を説明できる.
3)  福祉・介護との連携におけるリハビリテーションの役割を説明できる.
△ 4)  障害を機能障害,能力低下,社会的不利に分けて説明できる.
△ 5)  日常生活動作(ADL)の評価ができる.
△ 6)  理学療法,作業療法と言語療法を概説できる.
△ 7)  主な歩行補助具,車椅子,義肢と装具を概説できる.
△印のついたものは卒業時までの到達目標
表2 モデル・コア・カリキュラムにおける脳・脊髄血管障害
脳・脊髄血管障害
●到達目標:

1) 脳血管障害(脳梗塞,脳内出血,くも膜下出血)の病態,症候と診断を説明できる.
2)  一過性脳虚血発作の病態を概説できる.
△ 3) 脳血管障害の治療とリハビリテーションを概説できる.
△ 4)  脊髄血管障害を概説できる.
△印のついたものは卒業時までの到達目標
日本リハ医学会と卒後教育プログラム

日本リハビリテーション医学会 教育委員会委員長 椿原 彰夫

 わが国の医学教育制度は,この数年間に大きな変革を遂げようとしている.卒前教育においては,早期医学体験実習や自己学習型チュートリアル,系統的・疾患別授業,倫理教育,医師国家試験出題基準とモデル・コア・カリキュラムに加えて,共用試験や客観的臨床能力試験(OSCE),診療参加型実習(クリニカル・クラークシップ)が現実のものとなりつつある.卒後教育については,平成16年度から医師臨床研修必修化が決定されている.その具体的な内容については,最終的な決定段階に到達しているようである.日本リハ医学会からは「リハ科の研修を必修とすること」を要望したが,決して楽観視することはできない.

 リハ医学に関する卒後教育の内容には
 1) 医師臨床研修におけるリハ医学教育
 2) 日本リハ医学会認定臨床医育成のための教育
 3) 認定臨床医に対する生涯教育
 4) 日本リハ医学会専門医育成のための教育
 5) 専門医に対する生涯教育
の5つの課題が包含されている.また,それぞれの教育課題は,
 ① 教育の内容(医学的項目)
 ② 教育の手法(講義,実習,自習,経験,など)
の2つの側面に分けることができる.すでにガイドラインが作成されているものもあるが,今後,すべての課題についてプログラムを作成することが教育委員会の役割であると認識している.

 医師臨床研修必修化に関しては,リハ科を研修しないことが決定された場合,他の診療科を研修している間に,どのようにリハ医学について教育できるのかを検討することが急務である.リハ科以外の研修期間中にリハ医学の講義や実習を受けることは,実際的ではない.研修期間中に自己評価表が取り入れられるとすれば,その中にリハ医学に関連する項目を導入するよう要望することが唯一の方法であるかもしれない.
 認定臨床医ならびに専門医の育成に関しては,現在,教育委員会において「教育の内容についてのガイドライン」を改定中である.実際の教育手法については,受験資格としてすでに制定されている.しかし,さらに多くの教育の機会が提供されるべくガイドラインを修正し,現在,運用の検討段階にある.
 生涯教育に関しては,認定臨床医に対してはすでに実施されている.今後は専門医に対しても制度化し,教育の機会を増やす必要性がある.特に,認定臨床医は「専門医」に,専門医は「指導医」に名称変更されることが予定されており,専門医はますます多くの知識と優れた技能を身につけることが要求される.リハ医学専門医会とも協力体制を組み,具体的な運用について討議を重ねることが重要であると考えられる.
 今後に決定されるべき内容について私見を含めて,卒後教育プログラムを表3に記した.

表3 卒後教育プログラム
教育の内容(医学的項目)
教育の手法
医師臨床研修におけるリハ医学教育 疾患別に訓練見学(未定) 
リハ担当医との討議(未定) 
リハカンファレンス参加(未定) 
リハ総合計画書の記載法(未定)
自己評価表に記載(未定)
認定臨床医育成のための教育 卒後研修ガイドライン
(リハ医学30巻pp370 -373) 
現在,改定中
認定施設での研修(1年)
症例経験
論文執筆・学会発表
自己学習
認定臨床医に対する生涯教育 地方会による認定臨床医生涯教育研修会のガイドライン(案) 
全国研修会に関する申し合わせ(案)
認定臨床医生涯教育研修会に参加
他の講演を受講して単位取得
論文執筆・学会発表
専門医育成のための教育 卒後研修ガイドライン
(リハ医学30巻pp370 -373) 
現在,改定中
認定施設での研修(3年)
症例経験(8分野)
論文執筆・学会発表
自己学習
実習研修(実習講習会コース・見学実習コース:案)
専門医に対する生涯教育 リハ医学の進歩への対応(未定)
専門領域に関する発展(未定)
専門医会学術集会に参加(未定)
教育講演(未定) 指導業績(未定)
論文執筆・学会発表(未定)
公的研究費取得(未定)
受賞・表彰歴(未定)

INFORMATION

専門医広告と専門医認定制協議会の経緯について

専門医認定制協議会評議員 江藤 文夫

 平成14年4月から,厚生労働省は医療法で定める広告規制に関して,専門医告示をもって広告可能な専門医資格を認定する団体の基準を定め,これを満たす学術団体が認定する専門医の広告を条件付で可能にしました.なお,専門医の広告に関する外形基準となる9項目については,本学会誌の39巻8号434頁(認定医の資格更新に関する措置について)で紹介しています.
 専門医認定制協議会(以下,専認協)は,昭和55年以来活動してきた学会認定医制協議会を母体とし,平成12年4月から名称を改めて発足した組織です.日本リハ医学会は学会認定医制協議会の設立当初より会員として参加しており,専門医制度については専認協の方針を尊重する立場にあります.
 以下に,これまでの経緯と関連する事項を紹介します.

  1. 昭和55年9月,情報交換会議開催.翌年11月,加盟22学会による第1回学会認定医制協議会総会開催.

  2. 昭和60年8月,三者懇談会(日本医師会,日本医学会,学会認定医制協議会)の第1回会議開催.専門医(認定医)制度のあり方,社会から容認される制度の育成などが自由討議の形で論議され,以後今日まで定期的に開催.

  3. 昭和63年2月,診療科名等の表示に関する検討会報告書発表.各学会での認定医制度施行が急増.

  4. 平成6年4月,三者懇談会で基本的領域診療科14領域をあげ,13学会(その後15領域,14学会)の認定(専門)医を三者承認.同時に,医療法に基づく標榜診療科目と認定医表示とは切り離す,基本領域診療科の認定医を重複して表示することはできない,更新が認定されないものは表示を撤去する,診療報酬とは関連しないことを三者間で確認(平成14年4月で三者承認者数150,462名).

  5. 平成12年4月,学会認定医制協議会を専門医認定制協議会(専認協)と改称.専認協に事項別専門委員会を設置,その中に区分検討委員会があります.学会ごとの制度の調整・整備を協議するために,協議群として第Ⅰ群(基本的領域の学会で,三者承認対象の学会群),第Ⅱ群(subspecialtyの学会で,基盤とする領域の認定に上積み研修方式の学会群),第Ⅲ群(Ⅰ及びⅡ群以外で,これから位置づけが協議される学会群)に分けて,関連学会群による部会方式で調整が進められてきました.

 本学会は当初,第Ⅲ群に分類されていましたが,区分検討の協議が進むにつれ,形成外科,救急医学とともに基盤領域が特定できないことから,協議会として基本領域群への追加が了承されました(三者承認の枠外として,平成14年度総会決定).ちなみに,「本学会がどの群に属するのが適当か」という問題については本学会の役員会でも議論され,第Ⅰ群が適当という方向で意見が集約された経緯があります.
 なお,専門医告示の外形基準の第1項は「学術団体として法人格を有していること」ですが,本学会は既に社団法人各を有する団体として活動してきました.一方,専認協が専門医制度の認定に関わる第三者機関として機能するためには,それ自体が法人格を有する機構であることが条件とされ,平成14年度に有限責任中間法人日本専門医認定制機構が設立されました.そのため,専認協は現会員(50学会)がすべてこれに入社した時点で発展的に解消される方向にあり,本学会も同認定制機構の社員となる予定です.

北陸地方会

 地方会の会員の規定の変更に伴い,次回開催予定の第13回北陸地方会(3月15日)のご案内は,北陸地方に勤務する日本リハ医学会会員全員に発送することにしました.これまでは,地方会の所属に賛同された先生方だけに送付していましたので,地方会にあまり関心のなかった先生方にも地方会の存在がアピールされたかと思います.その反面,規定により年会費を徴収しないばかりか通信費がかさんでしまい,これまでの地方会の財源では苦しく,早急に学会補助金について解決を図っていただきたい状態での運営です.このような事情で,次回地方会は,会場費のかからない大学の講義室を使用しますが,少額の参加費を徴収する予定です.宜しくご理解の程お願いいたします.■さて,北陸ブロックは全国的にも小さい規模で,中部ブロックあるいは新潟県などとの統合も検討されることがあります.しかし,歴史的に北陸医学会の流れを汲み,福井・石川・富山の3県で学術集会を行うことが慣習化している状況で,他県での開催はかなり困難であり,学会で検討課題に挙がっても保留となっていました.今後これがどのようになるかは分かりませんが,北陸地方での地方会の内容充実が先決と思われます.これまで参加されることのなかった先生方からもこれを機会に,是非,活発な発表やご討議がなされることを期待したいと思います.

(染矢富士子/金沢大保健学科)

中国・四国地方会

 中国・四国地方会では,各地にて学術集会を開催することとなりました(年に2回).次回の第11回地方会は,5月18日(日)10~16時を予定しています.会場は愛媛看護協会の大研修室(松山市道後2丁目11 -14)で,大会長は伊予病院病院長の首藤貴先生です.特別講演(認定臨床医生涯教育研修会)は,岡山大学医学部神経病態内科学教授の阿部康二先生に「脳卒中病巣の病態・再生と組織機能の可塑性」を,愛媛大学医学部神経精神科教授の田邉敬貴先生に「高次脳機能障害の診方」をお話しいただくこととなっています(2単位).一般演題は,日本リハ医学会会員であれば,どなたでも発表可能です.抄録の提出締め切りは3月15日(土)です.伊予病院(〒799 -3101 愛媛県伊予市八倉906 -5 TEL: 089 -983 -2222)までハガキにてお申し込みください.第18回愛媛県リハビリテーション研究会との同時開催を予定しておりますので,コメディカルの皆様のご参加もお待ち申し上げています.

(椿原彰夫/川崎医大リハ医学教室)

九州地方会

 第12回九州地方会(2002年9月29日)の世話人会ならびに総会において,2002年の日本リハ医学会総会で承認された「地方会システムの変更方針(日本リハ医学会会員は自動的に各勤務地の地方会に所属する,会員からは今後地方会年会費を徴収しない,日本リハ医学会より地方会運営の補助金を支出する)」に従い,今後1年を目途に九州地方会の制度・システムを変更してゆくとの方針が決定されました:①運用面では,九州地方会会則の改正が必要となり,改正案が地方会事務局より提出されましたが,日本リハ医学会地方会組織規則がまだ決定されていないため,今後の継続審議となっています.②2002年度以降の地方会年会費を既に納めた会員に対しては,次回の地方会より本人に返還すること,また,本人の意志により地方会へ寄付できることになりました.③地方会と同日日に開催していた認定臨床医生涯教育研修会は,本来地方会とは独立したたものでしたが,この研修会も今後地方会の中に含めて開催することとなりました.■地方会事務局では,スムーズに地方会や研修会が開催できるよう,主催される会長へ「地方会開催マニュアル」や「認定臨床医生涯教育研修会開催運営マニュアル」をお渡ししています.生涯教育研修会の事務運営も今後,地方会が行わなければならないので,制度や実状にあわせたこれらマニュアルの改訂作業を現在行っています.

(佐伯 覚/産業医大リハ医学講座)

編集委員会

 1) 委員交代:昨年10月に委員の交代があり,水間正澄委員の後任として生駒一憲委員が新たに就任されました.退任者のこれまでの編集委員会に対するご貢献に感謝するとともに,新委員のご活躍を期待いたします.
 2) 投稿論文の査読の上で懸案となっていた,統計処理に関する専門家への依頼,および英文抄録のチェックのためnative speakerに委託する件が予算処置を伴って正式決定されました.
 3) 和文・英文抄録の分量,図表の数,目的・方法・結果などを項目立てで記載する抄録形式,いわゆる“structured abstract”への対応などを含め,新年度に向けて投稿規程の一部見直しを図って参ります.
 4) MEDLINEに代表される情報のIT化,データベース化の動きに遅れることなく,「リハ医学」からの発信を世界に広げるために,外国のリハ医学雑誌との提携の可能性を探っています.
 5) 次年度の活動計画:投稿の呼びかけの拡大,査読過程の迅速化を中心に,掲載論文のさらなる充実を目標として次年度の活動計画を提出いたしました.

(委員長 赤居正美)

障害保健福祉委員会

支援費制度について  

 今年4月1日から障害者福祉サービス提供の仕組みが変わり,支援費制度がスタートします.以下に,この制度のアウトラインを述べます.

 1. 支援費制度が目指すもの
 全く新しい制度ができるのではなく,行政がサービスの受け手を特定し,サービスの内容を決定するという措置制度から支援費制度に移行いたします.支援費制度とは障害者の自己決定および利用者本位のサービス提供を尊重する制度です.障害者自ら事業者・施設との対等な立場で,サービスを選択し,契約する仕組みになります.
 利用者は事業者・施設からサービスの提供を受けたときに,その経費を事業者・施設に支払いますが,支払う経費に対し市町村が支援費を支給することになります.サービス提供を希望する者は市町村に申請し,市町村が支給を行うことが適切と認めるときに支給の決定をします.決定後に指定業者・施設と契約し,サービスを利用することができます.指定業者・施設は市町村に支援費を請求して代理受領することになります.
 支援費制度において対象となるサービスは,身体および知的障害者の施設訓練等支援または居宅生活支援,障害児の居宅生活支援です.

 2. 支給決定について
 支給にあたっては,市町村は障害の種類・程度・その他の心身の状況,介護を行う者の状況など8項目の内容を勘案して,その要否を決定します.さらに,施設訓練等支援費であれば障害程度区分と支給期間を,居宅生活支援費であれば支給量と支給期間を定めることになります.

 3. 障害程度区分について
 身体および知的障害者施設の入所者は,それぞれの障害程度によってA,B,Cに3区分されます.区分は施設種別毎に設定されているチェック項目について,市町村が聞き取りを行って決めます.各施設におけるチェック項目は,支援の態様や必要とする頻度等により選択肢が3つずつ設定されています.選択肢に支援の必要性の大きい順に2点,1点,0点を与え合計点数を出し,その合計点によって対応する区分が決まります.例えば,身体障害者更生施設入所を希望する者が20点であれば,区分Bになります(区分は25点以上がA,24点以下11点以上がB,10点以下がCです).
 市町村レベルで障害程度区分ができない場合には更生相談所の専門的判定を求めることができます.

 4. 支援費の基準
 支援費は,厚生労働大臣が定めた基準を下回らない範囲内で市町村長が定めることになります.国の基本的な考えとしては,①障害程度区分及び施設規模に応じて単価に格差をつける,②加算措置はできるだけ包括化して,施設等の自主的な経営努力を促す,③障害者の地域生活の推進を評価する,④サービスに要する費用として新たに減価消却費を見込む等を挙げています.2002年9月に支援費の基準額の案が出されました.身体障害者療護施設の支援費単価を例にとると,標準規模(41~90人)では区分Aが393,200円,区分Bが373,500円,区分Cが353,800円となりますが,小規模施設では高くなり,大規模施設では低くなります.これに地域生活移行努力を評価する入院および退院特別加算費,ALS等の障害特性を配慮した加算費が加わります.
 一方,居宅生活支援としてのデイサービス事業およびショートステイ事業においても,必要とする支援の程度によって3区分の単価が設定されています.

 5. 支援費制度における医師の役割
 (1) 主治医として,福祉制度利用に関する情報提供:障害者の福祉制度は一般臨床の延長上にあります.主治医は患者・障害者に対して支援費制度の情報を提供し,それを利用できるように助言・援助することにより,患者さんの社会への再定住に役立てることができます.
 (2) 市町村からの問合せに対する意見書,診断書の作成:市町村が支援費給付を決定する際,「その他の心身の状況」を勘案することになりますが,その際,主治医に問合せをするほか,健康診断書を求めることがあります.更生相談所の医師の判定を経ないで入所(支援費給付)の適否が決まるので,主治医の意見や診断書の重みが増すことになります.
 (3) サービス提供指定事業者・施設の運営:身体障害者更生援護施設の設置・運営基準によると,入所者の健康管理や療養上の指導を行うために医師を配置する規定があります.特別の障害特性を有する者への対応として,身体障害者更生施設,身体障害者療護施設に常勤の医師を配置した場合に加算されます.さらに,身体障害者療護施設にALS等の障害者が入所している場合,神経内科医を配置すれば加算されます.施設が障害者に選ばれる時代になろうとしています.施設の評価は医師の存在の有無によっても大きく影響されるので,事業者は常勤医の配置を考え,障害者に質の高いサービスを提供するものと思います.これまで以上に障害者にかかわる医師が必要になるでしょう.

(佐々木鐵人,委員長 山口 明)

第2回ISPRM開催―2003.5.18 -22  Message from Prof. Ring

Professor Haim Ring MD, MSc PM&R
  President, ISPRM, Chairperson, 2nd World ISPRM Congress, JARM Corresponding Member

 As President of the International Society of Physical and Rehabilitation Medicine (ISPRM), but most importantly, as Corresponding Member of the distinguished Japanese Association of Rehabilitation Medicine (JARM), I have the pleasure of addressing my colleagues of the JARM on the subject of the 2nd World Congress of the ISPRM.
  As you may know, the 2nd World Congress of the International Society of Rehabilitation Medicine will take place May 18 -22, 2003 in Prague, Czech Republic. The venue is the Prague Hilton Hotel and Convention Center, centrally located and offering state-of-the-art conference facilities. Prague is a beautiful city with a rich history of culture and the arts. Communication with Prague is very good and the services excellent.
  The Congress has as its motto “Reflection on Advances in Rehabilitation-Future Challenges” indicating our commitment to the benefit and enrichment of every individual participant.
  As Chairperson of the Congress, and together with a joint committee of Israeli and Czech colleagues, working in close collaboration, we are all making every effort to ensure a memorable Congress with a full and stimulating scientific program and a variety of social events. A commercial exhibition will display the latest in rehabilitation technology.
  The Scientific Program Committee, under the leadership of Dr. Nachum Soroker, has compiled an impressive list of Keynote Lecturers in dedicated sessions, shortly to be available on the Congress website (www.kenes.com/physical) and additional Special Educational Activities such as workshops, mini-courses and satellite symposia, will take place. Again, the website will be constantly updated with details of these programs. See, among others, details on the Young Scientist contest aimed at giving the opportunity to young colleagues to present their work.
  We hope to welcome you at what promises to be an outstanding Congress, and an unrivalled opportunity to hear leading speakers sharing with us their clinical and research experience and views and to present and hear about advances in the field to/from colleagues around the world. This will be a truly multilateral transfer of knowledge, in all senses.
  The deadline for submission of abstracts was Tuesday, December 3, 2002 and full details of abstract submission, registration, accommodation and Congress activities are available at the website. For any further information please do not hesitate to contact the ISPRM Congress secretariat at physical@kenes.com!
  Looking forward to seeing you in Prague in May 2003!

事務局からのお知らせ:認定臨床医資格更新について

 2003年3年31日までが認定期間の方は右の通り更新手続きをしてください.
* 留学・疾病などで単位取得が困難な場合には,更新期間猶予制度があります.
* 更新手続きが完了次第,新たな認定証をお送りします.

更新対象者
40単位を取得し,更新資格を得た方 4月初旬に事務局から更新手続き書類が届くので所定の手続きをする.
40単位未満の方 学会誌2月号が届き次第「取得単位自己申請書」によって自己申請の必要のあるものを届け出する.その後,更新資格を得た方には同様書類到着
事務局側
2月中旬~ 2002年度分「取得単位自己申請」受付.データ入力
4月初旬 40単位取得し,資格を得た方に更新手続き書類発送(第1段)
5月中旬 40単位取得し,資格を得た方に更新手続き書類発送(第2段)

第40回日本リハビリテーション医学会学術集会●6.18 -20

―リハ医学の挑戦的な研究とリハ医療の積極的な展開―

 新年おめでとうございます
 北海道は真っ白な雪景色となり,来るべき春への活動の準備と希望で胸を膨らましております.
 日本リハ医学会にとって節目となる第40回学術集会は,北海道大学リハ科医局が事務局として,日々の診療に追われながら,日夜学会の準備を進めています.また,会場となる札幌コンベンションセンターも今年6月のオープンに向けて順調に建設が進められております.会場のHP(http://www.plaza-sapporo.or.jp/scc/)でもリアルタイムで建築状況の写真が提示されていますのでどうぞご覧ください.本会場は,1985年に市民・学識者代表と市が「札幌市コンベンション推進委員会」で構想をすすめ18年の歳月をかけてようやく日の目を見ることになります.センター本体は2,500人収容の大ホール,700人収容の特別会議室をメインとして中小規模ホール,会議室など19室を備え,PC画面をマルチスクリーン(横11.4m×縦2.8m)に投影できる最新の設備が備えられます.完成に先立ち,一部ホールを日本リハ医学会北海道地方会(3月8日,http://www.med.hokudai.ac.jp/~reha-w/rehati.htm),第3回摂食・嚥下リハビリテーション北海道地区研修会(4月13日,http://www.med.hokudai.ac.jp/ ~reha-w/enge.htm)で試験的に利用します.多数の参加の上ご意見を賜れれば幸いです.

 関係する諸先生においては,講演のご依頼をいくつか申し上げておりますが,ご多忙の中,ご受諾いただき大変感謝いたしております.おかげさまで,準備が滞りなく進められております.また,連絡の不備などでご迷惑をおかけした先生方には謹んでお詫び申し上げます.今後も慎重に準備を進めますので,何卒よろしくお願いいたします.
 学術集会HP(http://www2.conven tion.co.jp/jrma2003/)に,確定した部分から,講演,シンポジウムを適宜掲示する予定ですのでぜひご覧ください.

 12月末より,一般演題受付登録が開始されています.昨年に従い,インターネット登録のみで受け付けております.PCプロジェクターを用いた一般演題は,ビデオセッションに分類して受け付けますのでPCプレゼンテーションの利点・効果を生かしたご発表をご準備ください.締切りは1月30日正午ですが,ぎりぎりの登録では,混雑し,つながらない,フリーズするなどの心配がありますのでどうぞ余裕を持ってご登録願います.たくさんの演題応募をお待ち申し上げます.

 6月の札幌は気候もよく,観光地も多く,美味しい物もたくさんあります.多数の皆様が学術的にもそれ以外でも十分満足できるように,全力を挙げて準備を進めてまいります.皆様多数の演題登録と参加,ご協力よろしくお願いします.

(渡部一郎)

質問箱

「総合リハビリテーション実施計画書」に使用されている用語について.例えば,心理に項目にある『依存欲求』『独立欲求』の意味がわかりません.「必要以上に依存的な傾向」とか「自立への過剰な期待」ということなのでしょうか? また,『機能障害改善への固執』についても,学会としても使用すべき用語なのでしょうか? 「機能回復のみにとらわれ続けていてリハにむしろ支障をきたしている度合い」ということなのでしょうか? 患者さんや家族にそのまま見ていただいてよい用語かどうかも判断に迷っています.その他,用語としてリハ医学会で一般的な用語なのかどうか疑問を感じることが多いです.学会の見解をご教示ください.(埼玉・医師 AS)

A このご質問は,単なる用語の問題だけでなく,「総合リハ実施計画書」についてリハ医学会がどのような考え方持っているのか,それをお尋ねと理解しました.「総合リハ実施計画書」については,昨年6月に学会員に対する緊急アンケートを実施しています.その結果は,「リハニュース」No. 15に,「社会保険等委員会」が解説をしています.この記事によりますと,アンケートに意見を寄せた学会員からは,用語が不明確,心理面の項目が不適切と,今回のご質問と同趣旨のご意見が多かったとのことです.このアンケート結果を受けて,社会保険等委員会では,小委員会(高橋紳一先生:小委員長)を設けて,「総合リハ実施計画書」の内容の検討作業に入っています.
 以上の経緯から,今回は用語についての意見は控えさせていただきます.

(評価・用語委員会 大橋正洋)

仙腸関節において,仙骨のうなずき運動,起き上がり運動に伴って骨盤の開きが変化するといわれています.つまり,左右のASIS間の距離に増大したり,減少するという変化が生じます.カイロプラクティックの世界ではこの現象をインフレアー,アウトフレアーと呼び,骨盤が前開きになっているかそれとも前で閉じているかを表現しています.リハ医学や理学療法学もしくは整形外科学の用語として,この「骨盤の開き」を的確にあらわす用語が存在するかどうかを審議していただきたいと存じます.なお,来る2003年3月の神奈川県理学療法士学会ではやむを得ず,いわゆる「骨盤の開き」という表現を用いて研究発表の抄録を提出いたしました.(横浜・理学療法士 GO)

A 仙腸関節は周囲に強力な靭帯群を有し,動きは少ないものの可動関節で,脊椎や股関節の動きに伴って相動的に動くと考えられます1).体幹の運動に伴って,仙骨が両腸骨間を前屈する動きを意味する“nutation”に関しては,うなずき運動や前屈運動と表現する論文・書籍が多く,後屈する動きを意味する“counter-nutation”に関しては,起き上がり運動や後屈運動と表現する論文・書籍が多いようです.山元ら2)の死体標本を用いた三次元動態解析(荷重変位特性)によると,仙腸関節の動態は屈曲1.3°,伸展1.7°,一方向への側屈が0.5°,一方向への回旋が0.6°であったと報告しており,また,この結果はMillerら3)の報告と近似した結果であったと述べています.Grieve's Modern Manual Therapy4)という書籍の中で,clinical manifestation of pelvic girdle dysfunctionの章にclassification of the hypomobile dysfunctionについての記述があります.その中にflexed/laterally rotated innominate bone(posterior rotated/outflared)およびextended/medially rotated innominate bone(anterior rotated/inflared)との表現があります.ご質問の中にあるアウトフレアーやインフレアーに関しては,このoutflared とinflaredを意味するのではないかと思われますが如何でしょうか.今回文献検索等で調べ得た限りでは,これらを表現する的確なリハ医学用語は現時点では見つかりませんでした.

【参考文献】
1)  村上栄一,国分正一,田中靖久,石塚正人:仙腸関節性腰臀部痛の基礎.脊椎脊髄 2000;13(6):439 -444
2)  山元 功,Panjabi MM:仙腸関節の三次元動態解析.関節外科 1999;18(5):14 -18
3)  Miller JAA, et al.: Load-displacement behavior of sacroiliac joints. J Orthop Res 1987; 5: 92 -101
4)  Lee DG: Clinical manifestation of pelvic girdle dysfunction. in Grieve's Modern Manual Therapy, 2nd Ed, Churchill Livingstone, 1994; pp 453 -462  

(評価・用語委員会 小竹伴照)

医局だより

富山県高志リハビリテーション病院

 当院は1984(昭和59)年10月に開院後,富山県のリハ医療のみならず北陸のリハ医療の中核的役割を果たし現在に至っている.2000(平成12)年8月には北陸で初めて回復期リハ病棟を設立し,主に回復期,維持期を中心としたリハを施行しつつ,同じ敷地内に存在する療護ホーム,更生ホーム,授産施設,職業訓練センター,高志学園,養護学校,母子通園センターを合わせた富山県総合リハセンターの中心的役割を果たしている.

 現在,リハ専門医3名,他科常勤医師7名,PT 9名,OT 5名,ST 4名,SW 2名に加え義肢装具士1名,臨床心理士1名,リハ工学士2名も常勤しており,各部門の特徴を生かしつつ,全人的,総合的,専門的リハが行われている.回復期病棟のほかにも障害者施設等病棟,手術適応患者を受け入れられる一般病棟をそれぞれ50床有し,重度身体障害者,重度意識障害患者,脳性麻痺患者など,リハ医として経験すべき症例をすべて網羅しているのが特徴である.

 外来診療に関しては,外来リハ訓練に加えて装具外来を週3回行い,各種装具のほか義肢にも対応できる体制を整えている.また運転シミュレーションによる自動車運転評価,改造アドバイス,歩行解析による適切な装具,治療の選択,臨床心理士によるグループ療法などを行い,維持期に入った患者のQOL向上にも積極的に取り組んでいる.さらに当院の特徴として,「まんさく会」と呼ばれる,主に退院した患者同士で組織される会があり,年1回の研修旅行が行われている.病院職員の同伴のもと,本年度は九州地方へ2泊3日の旅行が行われた.参加者の中には重度の障害を持つ方も多かったが,事故なく終了しリハ医療の究極の目的を達成していると評価を受け,今後のますますの発展が期待されている.

 以上のように,当院では回復期,維持期を中心に機能向上,ADLの向上を目指すのは当然のこと,障害を持った方々が社会に復帰し,真に高いQOLを獲得するまでを包括的にアプローチしている.また各病棟の食堂からは雄大な立山連峰を望むことができ,入院された患者さんは当院でリハに励みながら大自然に囲まれ,ゆっくりと人生について考えることもできる.

 このような優れた活動にもかかわらず,北陸全体においてリハ医が極端に少ないこと,北陸の各大学においてはほとんどリハ医の養成がなされていないことから,常に人材不足に悩まされているのが現状である.この美しい大自然に囲まれ,真に患者さんのQOL向上とはなにかを一緒に考えていきたい方を歓迎します.
雄大な立山連峰を背にして:病院屋上で リハ科担当医師(右から藤木,野村,池永)

(池永康規)

富山県高志リハビリテーション病院
〒931 -8443 富山県富山市下飯野36
TEL076 -438 -2233,FAX076 -437 -5390
URL: http://www.koshi-rehabili.or.jp/

防衛医科大学校病院リハビリテーション部

 当リハ部は1979(昭和54)年に開設されたが,実際の診療活動は翌1980年に石神重信が着任して開始された.医師ポストは一人だけであったが,石神の熱意と精力的な努力によって,入局希望者が増え,医局の形態ができてきた.組織的には病院中央診療部に属するが,外来診察を行い,リハの専有病床(5床,うち個室が3床)をもち,リハ医が主治医として治療に当たり,実質的には診療科の活動を行っている.スタッフは助教授1名,助手2名,研修医1名,PT 3名,OT 1名,ST 1名(耳鼻科所属),臨床心理士1名である.医局員は現在20名(うち専門医17名,認定臨床医18名)である.

 リハの年間新患患者数は約650例である.脳卒中患者,外傷患者(頭部外傷,多発骨折,熱傷,切断,脊髄損傷)など急性期患者だが,リウマチ,神経筋疾患,循環器・呼吸器疾患,小児疾患など,あらゆる疾患の密度の濃い研修が可能である.

 ベッドサイドから行う「早期集中リハ」が特徴であり,脳卒中などでは発症後2~3日後からリハを開始する(最近は入院即日の依頼が多い).初回評価時に,入院期間・ゴールを決定し,他科主治医と連携してリスク管理を行いながら,クリティカルパスに沿って訓練を進める.急性期脳卒中患者では,初診時の座位能力から3週コースと6週コースの2種類のパスを用いており,ほぼ全例が自宅退院している.急性期の病状や障害の変化に対応するため処方は毎週行う.訓練室にリハ医が常駐し,緊急時に対応可能にしている.筋力,バランス能力,ADL,高次脳機能など毎週評価を実施し,データベース化している.

 患者家族を積極的に訓練に参加させて,一日4~5時間に及ぶ訓練を実施している.早期から外泊訓練を実施し,必要な家族には介助指導を行い,家屋評価も実施する.

 フェノールブロック,トリガーポイントブロック,筋電図(年間約140例),シストメトリー検査も実施している.

 毎週月曜に全症例を対象にフォローアップ・カンファレンスを行う.治療効果がでないのはリハ医療の責任と繰り返しいわれる気の抜けない時間帯である.義肢装具クリニック,小児クリニックも実施している.

 毎週月曜に全症例を対象にフォローアップ・カンファレンスを行う.治療効果がでないのはリハ医療の責任と繰り返しいわれる気の抜けない時間帯である.義肢装具クリニック,小児クリニックも実施している.

 同窓生が勤務する青梅市立病院,武蔵野赤十字病院,埼玉県循環器呼吸器病センター,土浦協同病院,美原記念病院など他病院・施設での研修も可能である.当大学への見学・研修をご希望の方はご連絡ください.

(新舎規由)

防衛医科大学校病院リハビリテーション部
〒359 -8513 埼玉県所沢市並木3 -2
TEL042 -995 -1896,FAX042 -996 -5223
E-mail: ndmcreha@mtci.ne.jp

第14回リハ・カレントトピックス&レクチャー印象記

藤田保健衛生大学七栗サナトリウム 園 田  茂

 2002年11月2日,3日と,川崎医療福祉大学講義棟で第14回リハ・カレントトピックス&レクチャーが行われている(現在形なのは,講演会場でこの原稿を打っているからである).椿原彰夫専門医会会長から,専門医から指導医への制度の変革期である旨の開会挨拶で始まった.午前中のパネル(EBMを推進できる専門医育成のための医学教育)の開始時には,徐々に会場も埋まり,熱気を帯びていった.

 中馬孝容先生は「試験を受けているみたいだ」と仰りながら市中病院での体験を踏まえた具体的な医学教育法を述べていた.新舎規由先生は途中に自衛隊勤務の入る「防衛医大の悲劇」のなかでいかに集中的に教育するかを説明した.才藤栄一先生は,医師・療法士のセットで育てて行くべきで,藤田保健衛生大はリハ部門として統合していることを力説された.竹中晋先生は川崎の日常の詳細な説明をされ,発表後の討論ではEBMが必ずしも論文によるだけではない,リハはEBMを作りにくいという点を強調された.

 午後の特別講演は慶應大精神神経医学教室の鹿島晴雄先生で,前頭葉外側部検査のWCSTより難易度の高い検査Vygotsky test, BADSを紹介された.さらには前頭葉眼窩部障害用検査としてギャンブルで痛い目にあっても懲りない検査(ギャンブリング課題)の説明もあった.WAISのIQが高いことが話の前提である分,リハに来る患者とは今ひとつ異なるものの,興味深い内容であった.

 シンポジウムも「はやりの」高次脳であった.座長の大橋正洋先生が現在行われている高次脳モデル事業の報告を前日(1日)の会議も踏まえて行い,なぜ高次脳なのか,のオリエンテーションで始まった.樺澤秀洋先生のPET,生駒一憲先生,先崎章先生の神経心理検査の話を聞いても,やはり所見・症候 -対応法 -予後を明確にはできないな,というのが印象であった.原寛美先生の記憶障害に対する学習法の工夫(expanded retrieval, errorless learning)は応用したくなるものの,やはり,疾病の自然回復との区別がよくわからなかった.渡邉修先生の社会復帰支援の話は神奈リハの多くの経験に裏付けられていてわかりやすかった.都丸哲也先生のデータベースは,成果/労力が小さそうに聞こえてしまった.議論を後でする時間を取ったと言ってはそれが裏切られる,という学会ごとに繰り返される失望は,今回は終了を30分延長するという座長大橋先生の裏技で防がれた.

 2日目のレクチャーは川平和美先生で,種々の可塑性の興味ある話であった.話の範囲をもう少し狭めてつっこんだ話であればもっとよかった.

 一般演題は12分の発表で8分の討議時間がとられており,聴きたい質問をする余裕がありよかった.パーキンソン病,ストレッチと分子生物学,水中運動,歯科治療,骨密度,相反抑制,脊髄末梢神経の電気生理検査,経頭蓋磁気刺激,脳卒中の装具,ソリ付歩行器,歩行支援ロボット,温熱の効果が発表された.今後の臨床・研究のヒントとなるフレーズも散見された.最優秀学術研究賞が審査され7/11の得票を集めた池田聡先生が受賞したのは分子生物学の将来性に関心が高かったことを反映したのだろう.

 午後には論客はほとんどおらず閑散としていた.観光に行きたい気持ちもよくわかるが,リハ科の専門医は競い合う必要がないほど自己レベルが高いのだろうか.自己研鑽する場を求めなくなれば,近い将来,リハ科医師という存在自体が低価値と烙印を押されて消滅すると危惧される.

 パネル,シンポジウム,講演,いずれもそれなりにまとまっており,応用のヒントは散見された.ただこのカレントトピックス&レクチャーを活用して専門医のレベル向上を図ろうという意図は,参加者からは感じられなかった.学会参加につき決してまじめとは言い難い人間が書くには不遜すぎることをお詫びして筆を置く.

REPORT

第18回日本義肢装具学会

産業医科大学リハビリテーション医学講座 牧野健一郎

 2002年11月23~24日,アクロス福岡にて蜂須賀研二大会長(産業医科大学リハ医学講座)のもと,第18回日本義肢装具学会が開催されました.穏やかな天気に恵まれ,2日間通じての参加者は1,100名超(有料入場者約1,050名)と多くの方々にご参加いただきました.今大会は「義肢装具学の科学性」をテーマとしておりましたが,それに相応しい内容が多くみられ,本学会の科学性が高まりつつあることを感じる大会でした.

 より活発なディスカッションが行えるようにと,今回は一般演題の発表形式を,口演については7つのテーマごとに数演題ずつのミニシンポジウムという形で行い(30演題),一般演題におけるポスター発表の比率を高くいたしました(81演題).ミニシンポジウムの会場では,立ち見もでる盛況ぶりでしたし,ポスター会場もこれまでにない多さで,各演題とも時間を超過してのディスカッションが行われました.ポスター発表は,会期中を通じて参加者の方が見られること,発表時間には演者の先生とのディスカッションが深まりやすいことが優れていると考えております.また,ポスター展示(12演題)では義肢装具の実物を展示して手に取っていただくことで,その特徴がより伝わりやすくなっておりました.どの会場も盛況であったことから,今回のような試みで,学会発表の一つの可能性を示すことができたと考えております.

 一方,商業展示の方も大変盛況で,24日の閉会直前まで人の流れが絶えることがありませんでしたし,マニュファクチャープレゼンテーションでは,商業展示と離れた場所で行わざるを得なかったため,当初は参加者が少ないかもしれないと危惧しておりましたが,予想を超える盛況ぶりで,100席では不足するような状況でした.

 しかし,複数のフロアに会場が分散してしまうため分かりにくい,車椅子での移動が困難(場所によっては不可能)とのご指摘もございました.

 ほかにもこの週末は,大相撲九州場所の千秋楽,有名歌手の福岡ドームコンサート,駅伝などのイベントが重なっており,宿泊場所の確保にご苦労された方が多く,宿泊できないために1日でお帰りになられた方もおられたと伺っております.宿泊施設とともに中州の街も混雑していたようで,期待していた九州の味を口にすることができなかった方もおられるのではないでしょうか.

 最後にこの場をお借りして,特別講演,教育講演,座長などの労をおとりいただきました先生方にお礼申し上げます.

海外リハ専門医:国内リハ研修施設訪問印象記

産業医科大学リハビリテーション医学講座 牧野健一郎

  日本リハ医学会は昨年度,外国人リハ医交流プログラムとして2名のリハ医を日本に招き,それぞれ2カ所のリハ施設を訪問していただきました.今回その印象記を掲載いたします.

氏名:Deog Young Kim, MD, MS (36歳)
所属:Department of Rehabilitation Medicine Yonsei University College of Medicine(韓国・ソウル)
期間:2001年11月25日~12月1日
訪問先:北海道大学リハビリテーション医学講座,神奈川リハビリテーション病院 

 日本を訪問しすばらしい経験をすることができたこと,多くの日本のリハ医に会う機会を得たことは私の喜びとするところであります.
 私は北海道大学と神奈川リハ病院を訪問しました.ボツリヌストキシンの注射,脳の可塑性,歩行分析などの研究テーマについて熱い議論を行うことができました.北海道大学では筋性斜頚の患者の選択した筋肉に対する動作筋電図や脳の可塑性を評価するTMS(経頭蓋骨的磁気刺激)が印象的でした.神奈川リハセンターでは動作解析研究室や頭部外傷プロジェクトが印象的でした.
 短い滞在期間でしたが,韓国と日本の違いがわかり驚きました.臨床的な経験や研究は韓国のほうが進んでいると思いますが,基礎的な研究は日本のほうが進んでいると感じました.日本の素晴らしい研究インフラや研究者が多いことを羨ましく思います.またリハの目標も日本と韓国で少し違うと思いました.韓国でのリハの目標は移動能力の改善や機能回復に置かれていますが,日本ではADLの向上に置かれていると思います.
 私はこの研修生交換プログラムは若いリハ医にとってすばらしい制度だと思います.特に研究テーマを共有し議論することは考えをリフレッシュさせます.私は平澤泰介先生,岡島康友先生,眞野行生先生,大橋正洋先生,そして多くの日本のリハ医のホスピタリティーと日本を訪れることができたことを本当に感謝します.眞野先生,大橋先生その他の先生方と夕食をともにできたことは忘れられない思い出です.
 滞在期間は少し短く感じました.経済的なサポートは十分でした.滞在期間が10日~14日に延ばせれば,若いリハ医はもっと多くの素晴らしい経験を積み日本の状況を知ることができると思います.
 この研修生交流プログラムは相互のリハ医学の発展と理解に役立つと信じています.日本リハ医学会のホスピタリティーと日本を訪れることができたことを深く感謝します.近い将来日本を再度訪れることを楽しみにしています.

(Deog Young Kim, MD)

氏名:Paul H Lento, MD(35歳)
所属:Center for Spine, Sports, and Occupational Rehab. Rehabilitation Institute of Chicago(米国・シカゴ)
期間:2001年12月9日~15日
訪問先:昭和大学リハビリテーション科,岡山大学リハビリテーション部 

 まず最初に私に日本に行くチャンスを与えてくれたこと,昭和大学と岡山大学で医師や療法士と交流できたことを深くお礼申し上げます.私のリハ医学における興味はスポーツ外傷と脊椎の疾患であり,この分野で素晴らしい評判がある両大学を訪問できたことは喜ばしい限りです.「下肢の疲労骨折」と「腰椎硬膜外ステロイドの効果」を発表する機会を与えてくれましたが,日本の医師や治療士からリハ医学の広い分野にわたる非常に多くの情報を得ることができました.
 昭和大学では水間正澄先生とスタッフが膝蓋大腿部膝痛や腸脛靭帯症候群,前十字靭帯損傷に対する多くのリハテクニックを教えてくださいました.私はこれらの障害ではリハを成功させるために足部のアライメントと下肢の筋力が重要なことを講義しました.また前十字靭帯損傷術後の新しい訓練として大腿四頭筋とハムストリングスを同時に収縮させる方法を学びました.私はこの方法をアメリカに帰ったら患者に使うつもりです.また水間先生はアメリカでは知られていない骨粗鬆症による圧迫骨折に対する新しいリハプログラムを紹介してくれました.この他にも医学的神経学的に難しい状態に対して試みられている様々な方策が紹介されました.
 最後の2日は岡山大学を訪問しました.ここでも千田先生とその素晴らしいリハスタッフに啓発されました.ここではリハの専門家と整形外科医が様々な骨筋疾患に共同して対処していることに感銘を受けました.この関係はリハの成功,そして障害をもった患者の幸福を達成するために重要です.さらに岡山大学では何人かの医学生と交流する機会を得ました.千田益生先生は病院の外で学生に車椅子をこがさせることで患者の気持ちになることの重要さを強調していました.学生は,障害者が屋外で移動することがいかに難しいかをすぐに実感しました.また千田先生は非常に困った胸郭出口症候群の診断に用いる電気生理的,放射線学的なテクニックを紹介してくれました.また私はArthrokinetic approach(AKA)を見学しました.この方法はアメリカでは一般的ではありませんが,多くの障害に有効な徒手療法のように思います.
 これらの経験は多くの新しいリハ戦略に私の眼を開かせてくれましたが,多くの部分で日本のリハはアメリカのそれと非常に似ていると思います.似てはいますが,この1週間で経験した新しい素晴らしいテクニックはアメリカに帰って広めたいと思います.活気に満ちた文化と美しい人々でいっぱいの日本に近い将来また来ることを楽しみにしています.また日本のリハ専門家にアメリカを訪問していただきたいと思います.そうすれば私やその同僚が私に施してくださった寛容と歓待をお返しすることができると思います.最後にもう一度言います.「ありがとうございます」「さよなら」.

(Paul H Lento, MD)

国際委員会 越智文雄 翻訳

広報委員会より

 明けましておめでとうございます.
 リハ医学会も今年で40年,障害を抱える人達のために更なる発展を目指して,一層努力しなければと決意を新たにしております.
 しかし,リハ医療を取りまく状況は,昨年の診療報酬改定に続き,今年も特定機能病院診療報酬包括化の動向や障害者福祉サービスの変更,介護保険の一部見直しの件,専門医制度の基準化の動きなど,めまぐるしく動いております.この医療界に吹き荒れる変革の嵐が,リハ医療にとって向かい風になるのか,追い風になるのか,舵取りの難しい年になりそうです.一寸先も読めない状況ですが,少しでも役に立つ情報を皆様にご提供できればと,広報委員一同頑張っていきたいと思います.皆様からのご意見やご希望をどんどんお寄せください.

(川手信行)

事務局コーナー

 このニュースレターを手にされる頃にはお正月気分もすっかりさめていらっしゃることでしょう.昨年の学会誌10月号に2,298名の認定臨床医資格更新者名を掲載しましたが,ここに至るまでには実に多くのデータを入力・検索しました.事務局としても初めての作業であり,四苦八苦しながらのシステム改良の積み重ねの結果は,何ともシンプルなものでした.私たち事務局の仕事の大半はコンピュータに依ると言っても過言ではありません.正確なデータ入力と同時にエンドユーザーとしてどこまでシステム化が可能か,を常に考えています.シンプルな結果を生み出すためには,長年にわたって事務局に集積されたデータを正しく管理し,有益な利用方法を模索するということでしょう.また,大量の一括処理は,少しのミスが大量のミスを生み出す怖さもあり,念には念をいれたつもりの検索条件が違っていたばかりに思いがけないデータが出てしまい,本来笑えない場面で笑ってしまったこともありました.去年一年,誰が一番働いたか? って,それは言うまでもなくコンピュータ君でしょう.今年も機嫌良く働いてもらうために,私たち少々機械音痴ながらもがんばりましょう.

(宇野知左子)