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平成14年度リハビリテーション医療関連診療報酬改定結果について

日本リハビリテーション医学会 社会保険等委員会  委員長:本田 哲三
担当理事:石田  暉
常任理事:安藤 德彦

 平成14年度診療報酬改定に向けて,日本リハビリテーション医学会は内保連,外保連を通じて数々の要望を提出してきた.今回の診療報酬改定全体の特徴は,1)マイナス2.7%の診療報酬の合理化と重点的な評価,2)リハビリテーション(以下,リハ)の体系的な見直し―早期リハの評価の充実や回復期リハの質の向上―とともに,患者の状態に応じた評価の体系化を図っている点である.一方,本学会が内保連を通じて要望してきたリハカンファレンス実施料,運動点ブロック,退院前訪問指導料の新設,外保連を通じてのクリティカルパス加算,筋力評価新設,運動療法指導管理料,理学療法・作業療法の改正要望はいずれも見送られた.しかし,長年の懸案であった早期作業療法の新設は早期加算として折り込まれ,言語療法は言語聴覚療法として理学療法・作業療法並みとなった(後述).以下に主な改定の内容を記す.

 1. 区分の変更と算定回数による制限:従来の複雑・単純といった理学療法・作業療法・言語聴覚療法の分類が個別療法・集団療法に変更され,各20分を1単位として一日合計4単位まで(ただし,回復期リハ病棟入院料・早期リハ加算・外来移行加算を算定している患者―すなわち,脳血管障害・脊髄損傷・大腿骨頚部骨折・骨盤骨折・上腕骨折・開胸/開腹術後患者など―は6単位),個別療法は理学療法・作業療法・言語聴覚療法それぞれ一日3単位までで,前述の(回復期リハ病棟入院料・早期リハ加算・外来移行加算を算定している)患者を除いて月に11単位以上は逓減された.さらに同一日に個別療法と集団療法を併せて実施した場合は,個別療法のみ算定することになった.

 2. 診療報酬の改定:(従来の)理学療法・作業療法(Ⅰ)の複雑と改定後の個別療法2単位を比較して試算すると24%減,(Ⅱ)~(Ⅳ)でも13~32%の減となる.本学会は外保連による算定方式で増額を求めてきたが残念ながら逆の結果となった.また回復期リハの「まるめ」も1,700点から1,680点へ微減した.

 3. 適切な計画と定期的な評価の導入:あらたにリハ総合計画評価料(老人に加え一般でも認められる),言語療法の施設基準(Ⅰ)(Ⅱ),および早期リハ加算が新設され,早期理学療法・早期老人理学療法が廃止された.

 4. 総合リハ施設基準の変更:施設基準が従来型のA施設(PTが300m2以上で,OTが100m2以上)と新設されたB施設(PT+OTの合計スペースが240m2以上)の2系統となり,後者は狭いスペースでも多くのスタッフ(専従のPTまたはOTが6人以上かつ合計15人以上)を擁するいわば「都市型」の施設基準となった.

 まとめ
 今回の改定内容は急性発症の疾患に偏重しており,その他のあらゆる疾患に対するリハが後退するのではないかと危惧される.一方で,言語療法の大幅引き上げや早期・集中的なリハ重視の傾向が明確になってきた.本委員会では改定の影響を見極めるために調査を実施し引き続き厚生労働省に要望していくと共に,次回の改定へ向けて適正な報酬体系を求めて検討していく予定である.

(リハ医学39巻5号掲載)