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リハニュース No.33

2007年4月15日

  1. 特集:障害者自立支援法

  2. 第44回学術集会:近況報告2

  3. INFORMATION

    認定委員会

    社会保険等委員会

    教育委員会

    関連専門職委員会

    評価・用語委員会

    九州地方会

    北陸地方会

    中国・四国地方会

  4. 専門医、認定臨床医の方へお知らせ

  5. 専門医会のコラム:専門医会幹事会より

  6. 医局だより:島根大学リハビリテーション部

  7. REPORT:第32回日本脳卒中学会総会

  8. 故 石田 暉教授を偲んで

  9. 広報委員会より

  10. 事務局だより

  11. 事務局からのお願い:会員の皆様へ

障害者自立支援法の施行から1年を経て

日本リハビリテーション医学会障害保健福祉委員会

はじめに

 平成17年10月に公布された障害者自立支援法は、平成18年4月に一部施行、10月に全面施行されました。この法律は、国がノーマライゼーションの理念の下に推し進めてきた障害保健福祉施策の一環として、平成12年の「社会福祉基礎構造改革」、平成15年の「支援費制度」に続き、平成16年10月に打ち出された「今後の障害保健福祉施策について(改革のグランドデザイン案)」を法制化したものと言えます。 現在進められている社会保障制度の改革は、弱者の「保護」という立場でスタートした戦後の社会保障制度を「自立」を支援する制度へと転換するもので、社会保障制度自体の基盤の変革を伴うものです。改革の背景には、国民の生活水準が向上し良質なサービスが希求される一方、少子高齢化が進み社会保障費の増大を招くなどの社会的動向があります。 本特集では、これまでリハニュースに掲載された障害者自立支援法関連の記事をまとめて解説するとともに、本法施行後1年が経過した現在、指摘されている問題点と今後の課題について言及します。

1.障害者自立支援法の基本理念と概要

1)法の基本理念
 この法律は障害者基本法の理念にのっとり、障害児・者がその能力や適性に応じ、自立した生活を営むことができるよう、必要な障害福祉サービスの給付および支援を行い、障害児・者の福祉の増進を図るとともに、障害の有無にかかわらず国民が相互に人格と個性を尊重し安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与することを目的として制定されました。 その基盤となる考え方は、年齢や障害種別に関わりなくできるだけ身近なところで必要なサービスを受けながら暮らせる地域福祉の実現(障害保健福祉の総合化)、障害者が就労を含めてその人らしく自立して地域で暮らし、地域社会にも貢献できる仕組みづくり(自立支援型システムへの転換)、障害者を支える制度が国民の信頼を得て安定的に運営できるよう制度の持続可能性の確保となっています。

2)法の概要

  1. 障害者施策を3障害一元化
    身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、精神保健福祉法、児童福祉法の制度格差が是正され、障害種別にかかわらず障害者が必要とする共通のサービスは利用の仕組みが一元化されました。サービスの実施主体も市町村に一元化され、都道府県がバックアップする体制となっています。なお、各障害に固有の制度は引き続き各法に規定されています。
  2. 利用者本位のサービス体系に再編
    施設・事業体系が機能に着目して再編され、障害者一人ひとりのニーズや適性にあった支援目標と支援プログラムの提供により重点が置かれるようになります。
  3. 就労支援の抜本的強化
    働く意欲ある障害者が必ずしも働けていない現状に鑑み、新たな就労移行支援事業が創設されました。また、障害者がその適性に応じて働けるよう福祉と雇用の連携が強化されます。
  4. 支給決定の透明化、明確化
    支援の必要度に関する客観的な尺度として障害程度区分が導入されました。市町村が認定審査会の意見を聴取するなど支給決定プロセスが透明化されました。また、支給決定に不服がある場合は都道府県に不服審査申立ができるようになりました。
  5. 安定的な財源の確保
    国の費用負担の責任を強化(費用の1/2を負担)した上で利用者も応分の費用を負担し、皆で制度を支える仕組みとなりました。

(小池純子)

2.サービス体系

 本法における障害者の自立支援システムの全体像は「自立支援給付」(介護給付、訓練等給付、自立支援医療、補装具)と「地域生活支援事業」で構成されています。従来の障害者福祉サービス体系が図1のようになりました。

図1 障害者の自立支援法におけるサービス体系
図をクリックすると、鮮明なPDFファイルがごらんになれます

1)自立支援医療
これまでの障害者公費負担医療制度の利用者負担の公平化を目的に育成医療、更生医療(応能負担)、精神通院公費(5%負担)が見直され、自立支援医療としてまとめられました。支給認定の手続き、利用者負担の仕組みが共通化されましたが、対象者の範囲、医療の内容や支給認定の実施主体(精神、育成は都道府県、更生は市町村)はこれまでと同様です。

2)障害者施設
障害種別ごとに33種類もあった障害者施設・事業体系が平成23年度までに段階的に新体系に移行します。既存施設の機能を「日中活動の場」と「住まいの場」に分け、「日中活動の場」は療養介護(医療型)、生活介護(福祉型)、自立訓練(機能訓練、生活訓練)、 就労移行支援、就労継続支援、地域活動支援センターの6事業に再編されます。また、事業の実施主体は社会福祉法人の他、NPO法人など広く運営が可能となりました。

3)地域生活支援事業
身近な地域でその地域の実情にあった生活支援を行うため本事業の実施主体は市町村となっています。一方、専門性や広域的な対応が求められる事業は都道府県が実施主体となります。 専門性の高い事業として発達障害者支援センター、就業・生活支援センターの設置、高次脳機能障害支援普及事特集◎障害者自立支援法業などが開始されており、国立身体障害者リハビリテーションセンターを通じて地方支援拠点機関等全国連絡協議会や研修会等も行われています。しかし、このような事業には未着手の都道府県もあり、地域格差問題の一つとなっています。

3.利用の手続きと支給決定までの流れ

 障害者自立支援法のサービス利用申請の窓口は従来通り市町村です。希望するサービスによって支給決定に医師意見書が必要となる場合と不要の場合があります(図2)。

図2 支給決定までの流れ
図をクリックすると、鮮明なPDFファイルがごらんになれます

1)医師意見書が必要な場合
障害のある方が「介護給付」すなわち居宅介護(ホームヘルプ)、重度訪問介護、ショートステイなどの居宅サービス、入所施設での生活介護(旧法身体障害者療護施設入所者等が該当)などを希望する場合、申請には医師意見書が必要となります。リハビリテーション医(以下、リハ医)として認定調査の内容、医師意見書作成のポイントを理解しておくことが重要です。障害程度区分の一次判定は、認定調査員による調査結果を基にコンピューターで行われます。二次判定は、医師、福祉関係者、学識経験者等で構成される「市町村審査会」において医師意見書などを基に行われます。平成18年4月から9月までに全国の市町村審査会で審査された約16万件のうち、障害程度区分変更率は全体で35.1%、障害種別では身体19.8%、知的43.8%、精神55.0%でした。実際、半数以上の精神障害者は区分が上位変更されており(図3)、審査会で医師意見書の特記事項が上位変更の根拠として特に重要な位置を占めていることが分かります。

図3 市町村審査会における障害程度区分上位変更率
(平成19年1月16日全国厚生労働関係部局長会議資料から)
図をクリックすると、鮮明なPDFファイルがごらんになれます

2)医師意見書が不要な場合
施設で機能訓練、生活訓練のみを行う場合(旧法身体障害者更生施設通所者などが該当)は「訓練等給付」を受けることになりますので医師の意見書は不要です。暫定支給決定が行われ、個別支援計画、訓練効果などをみて審査会の意見を聞きながら本支給決定がなされます。

4.利用者負担

 障害福祉サービスが定率負担(1割)となり、自立支援医療における入院にかかる食費や施設利用における食費や光熱水費、医療費、日用品費が実費負担となりました。その結果、障害者世帯の負担が大きくなり、施設退所、サービス利用の控え・利用率低下などの問題が全国で起こっています。各自治体は独自の助成制度などで障害者の負担軽減を図っていますが、地域格差が生じているのが問題です。国は「障害者自立支援法の円滑な運営のための改善策」として3年後の見直しまでの経過措置として、1.利用者負担の更なる軽減、2.事業者に対する激変緩和措置、3.新法への移行等のための緊急的経過措置を3本柱とした1200億円規模の改善策を打ち出しています。

(樫本 修)

5.障害児施設

 障害児に療育の場を提供する通園施設などの障害児施設は、施設体系は現行のまま、措置から利用・契約方式に移行しました。施設利用を希望する障害児の保護者は、都道府県に支給申請を行い支給決定を受けた後、利用する施設と契約を結ぶことになります。なお、施設体系の再編等については、本法施行後3年を目途に必要な検討を行うとされており、今回は契約方式への移行と利用者負担が主な変更点です。利用者負担には定率負担と食費等が含まれますが、若年保護者の負担増をはじめ障害者の場合と同様の問題が指摘されています。 障害児のデイサービス、ホームヘルプ、ショートステイについては、「介護給付(図1)」に一括されています。

(小池純子)

6.補装具費支給制度

 装具の支給は、治療に必要な装具は治療用装具として医療保険からその支払いが行われ、生活に必要な更生用装具は身体障害者福祉法、または児童福祉法によってその支給が行われてきました。今回、更生用装具は障害者自立支援法に基づいてその購入、または修理に要する費用の一部が給付されることとなりました。

1) 障害者自立支援法における「補装具」の定義
本法では障害者の生活に資する用具を日常生活用具と補装具とに分類しています。それぞれの定義は表1の通りです。肢体不自由に関わる「補装具」には、義肢装具の他、車いす、座位保持装置、重度障害者用意思伝達装置、歩行器、一本杖を除く歩行補助杖が含まれ、頭部保護帽、一本杖は日常生活用具に分類されています。

表1 補装具と日常生活用具の定義 図をクリックすると、鮮明なPDFファイルがごらんになれます

2)補装具に関する費用の支給手続き

  1. 申請
    障害者が補装具を必要としたときには、医師の補装具費支給意見書を添えて福祉事務所に申請します。

  2. 判定
    福祉事務所は、その補装具の要否の判定を更生相談所に依頼します。しかし、その判定法は、申請者と補装具によって異なります。更生相談所はその補装具を必要と認めた場合には、申請者の希望する補装具業者を確認し、その業者から見積もりを得ます。

  3. 支給の決定
    福祉事務所は、更生相談所の判定と見積もりから、補装具費の支給を決定します。

  4. 補装具の購入
    申請者は、補装具費の支給を受け、1割を自己負担して、補装具業者に制作を依頼し、補装具を受け取ります。

  5. 適合判定
    更生相談所は、製作された補装具が適合しているかどうかを判定します。

3)補装具費支給の実際

  1. 補装具費支給意見書を書く医師の要件
    申請のための意見書を書く医師の要件は市町村によって若干異なっています。リハニュース31号では要件を身体障害者福祉法15条指定医、または所属学会専門医、義肢装具適合判定医師研修会受講者が望ましいとしていますが、例えば、広島市の場合には、「リハビリテーション科、整形外科、脳神経外科などの肢体不自由に関わる医師が望ましい」という緩やかな表現になっています。

  2. 判定
    判定は基本的に更生相談所で行われます。来所が困難な場合には訪問判定を行います。種目によって、更生相談所の直接判定から、文書判定、医師意見書による市町村の判断、市町村のみでの判断と段階があります(リハニュース31号参照)。

  3. 補装具費の支給
    申請者が、市町村から補装具費を受給し、補装具業者に1割を補って支払う方法は申請者の負担が大きいという考えから、申請者が補装具業者に自己負担分のみ支払い、業者が、残りを市町村に申請するという代理受領方式が一般的です。これは、これまでの交付券の給付および自己負担の支払いと手続き的には同様です。また、申請者が全額業者に支払い、後から市町村から還付を受けるという方法もあります。

  4. 適合判定
    更生相談所が支給の判定をした場合には、更生相談所が、医師意見書に基づいて市町村が判定を行った場合には、その診断書を書いた医師が適合を判定します。

  5. 適合判定
    更生相談所は、製作された補装具が適合しているかどうかを判定します。

4)障害児に対する給付
障害児の保護者による新規の申請の場合には、指定自立支援医療機関の医師が書く補装具意見書に基づいて支給決定が判断されます。

5)利用者負担
請者の負担金は原則として1割ですが、納税額により月額の上限設定があります。逆に世帯の中に市町村民税所得割額が50万円以上の方がいる場合は、公費負担の対象外となります。

(飛松好子)

7.リハ医対応のポイント

1)サービス利用につなげるために
障害のある方から福祉サービスの利用に関する相談があった場合、先生方はどう対応しているのでしょうか? 障害者支援には多職種の連携のもとにチームアプローチが必要であることは介護保険の場合と同様です。障害者支援のチームリーダーであるべきリハ医にとって障害者自立支援法でどのようなサービスが受けられるのか、そのシステムを知っておくことが重要です(図4)。

図4 障害者福祉サービスへのつなぎ方
図をクリックすると、鮮明なPDFファイルがごらんになれます

2)障害程度区分認定医師意見書の書き方
リハ医として障害程度区分認定調査の内容(介護保険と同じ79項目および精神障害者や知的障害者の特性を捉えるために加わった行動関連、精神関連、手段的日常生活活動などの認定調査27項目)、医師意見書作成のポイントを理解しておくことが重要です(表2)。医師が特記事項に書いた具体的な障害状況は市町村審査会において障害程度区分の上位変更の重要な根拠となります。(樫本 修)

表2 障害程度区分医師意見書書き方のポイント
図をクリックすると、鮮明なPDFファイルがごらんになれます

3)補装具費支給における医師の対応
先生方のところに補装具の相談があった場合、まず、自分が補装具費支給意見書を書く要件を満たしているかどうかを確認します。次に申請する補装具が意見書により判定されるものかどうか、補装具による判定方法の違いを確かめます(自治体により医師の意見書により判定が可能な補装具の範囲が異なる)。意見書には補装具の必要性、処方内容を過不足なく記載し、その後、適合判定(仮合、完成チェック)を責任を持って実施します。

(飛松好子)

8.現状と課題

現在進められている社会保障制度改革は、制度の基盤自体の転換を迫るもので、戦後半世紀ぶりの大改革と言われています。改革の中核をなす障害者自立支援法は施行後1年を経過し、高邁な法の理念と現実とのギャップの大きさが指摘されています。先にも述べたように、それらは利用者負担の増大やサービス給付率の低さ、サービスの地域格差などであり、多くの当事者団体から疑問の声が上がった結果、緊急的な経過措置として国費の投入が決定しました。一方、介護保険制度と障害者制度との関係では介護給付など共通するサービスの一元化、保険給付優先適用範囲の拡大などの課題が検討されています。
このような時期にあたり、われわれリハ医は障害者問題にも積極的に取り組み、障害者の自立を支援するシステムのあり方、相談支援を担う人材の育成、サービス技術の開発などに対し提言、関与していくことが必要と思われます。

(委員長:小池純子)

第44回学術集会:近況報告2

第44回学術集会◎6月6日~8日

-実学としてのリハビリテーションの継承と発展-

 第44回日本リハビリテーション医学会学術集会の一般演題申込は2007年1月31日に締め切られ、2月18日に関西労災病院大会議室において組織委員会委員による査読、プログラム編成が行われました。当日は日曜日にもかかわらず多数の組織委員が集まり、19のグループに分かれて検討し、熱い論議がかわされた後、最終的に793演題を採択しました。お休みのところ集まっていただいた組織委員の先生方、お疲れさまでした。ご協力に心より感謝いたします。 いよいよ学会開催期間が近づき、学会準備も抄録集の製作など開催に向けてのラストスパートに入っております。今回の学術集会には7つのシンポジウムと8つのパネルディスカッション、21の教育講演を組みました。それから実際に機器を使用してのハンズオン(実学セミナー)を8コース設定しました。また一般演題はすべてポスターセッションであり、3日間貼ったままにできるスペースを用意しました。ポスター発表は1~3日目にそれぞれ約1時間ずつ行われ、その間は他の会場でのイベントはストップし全員がポスターセッションに集まっていただき、かつ一斉に50セッション以上が同時進行するという非常に壮大な、本医学会初めての試みが行われます。当日は若干の混乱が予想されますが、学会員の皆様のご協力をいただき、成功させたいと考えております。どうぞご参加よろしくお願い申し上げます。

 本年の学会は6月6日(水)~8日(金)の3日間、神戸市にある神戸国際会議場・神戸国際展示場にて開催いたします。会場は新幹線(JR新神戸駅)、飛行機(神戸空港)とアクセスが容易で、神戸市街へもポートライナーでつながっており、交通至便な場所にあります。

 神戸国際会議場(写真上)ではシンポジウム、ワークショップ、教育講演などの口演発表を行い、一般演題は隣接する神戸国際展示場(写真下)で全てポスター形式として発表していただきます。ポスターは広い展示場のなかに全会期を通じて展示し、また、機器展示のスペースとあわせて十分な休憩、討議場所も確保しておりますので、発表時だけではなく、いつでもポスター演題をじっくりと読むことができ、実のある討議、討論をしていただけるものと考えております。

2月18日組織委員会(関西労災病院にて)

INFORMATION

認定委員会

1. 専門医および認定臨床医生涯教育基準改正における学術集会参加の運用開始時期

 前回報告しましたように平成19年4月から専門医・認定臨床医生涯教育基準および細則が改正・施行されます。その中で専門医生涯教育基準においては年次学術集会および専門医学術集会への参加が必須になること、認定臨床医生涯教育基準においては年次学術集会あるいは地方会学術集会への参加が必須になることという項目がありますが、これに関する運用開始時期については平成24年4月以降の更新から適用することとなりました。詳細については学会誌44巻3号129頁またはホームページをご覧ください。

2. 認定臨床医認定基準改正について

 研修施設での研修は困難であるが、リハ医療に関して適切な臨床経験・技術・知識をもつ医師を認定できるように今回認定臨床医認定に関する基準の改正が行われました。従来の基準に加えて、年次学術集会・専門医会学術集会・地方会学術集会での教育研修受講、リハ医学会指定教育研修会受講での計100単位の受講と指導責任者の推薦書により、認定臨床医の受験資格が得られることとなりました。詳細については学会誌44巻3号125~128頁またはホームページをご覧ください。

(委員長 菊地尚久)

社会保険等委員会

 現在、平成20年診療報酬改定に向けての、内保連や外保連を介した活動が活発に行われています。平成18年11月27日に内保連呼吸器関連委員会が開催され、リハ医学会も参加し4項目の要望項目を提出いたしました。内保連リハ関連委員会に関しては、今回より従来の9学会に6学会を加えて15学会とし、12月に各学会に事前のアンケートを実施し意見集約を行ったうえで、平成19年1月24日に委員会を開催し問題点を整理するとともに、リハ診療報酬体系に関する委員会としての試案を提示しました。委員会後のアンケート調査で意見を再集約し、内保連へ提出するリハ関連の医療技術評価提案書の作成に向けた作業を行っています。2月7日には内保連例会が開催され、里宇社保担当理事が内保連副代表に選出され、内保連への提案書の締め切りを4月10日、厚生労働省への提出を6月25日に行うことが決められました。

 外保連では、11月24日および1月29日に総会が開催され、外保連試案におけるリハ関連の内容を充実することが承認されました。外保連に提出する医療技術評価提案項目のアンケートが3月30日に締め切られ、5月中旬までに各学会の提案書を外保連に提出し、内保連と同様に6月下旬に厚生労働省に提出されることが決められました。

 リハ関連5団体との連携も引き続き行い、「リハの効果的な実施に関する検討」および「リハ医療のグランドデザインの作成」などの会議に参加し、積極的な提言を行っています。

(委員長 田中宏太佳)

教育委員会

専門医・認定臨床医「生涯教育基準」改正に伴う単位申請方法の変更について

 本年4月より新しい「生涯教育基準」で実務運用が開始されました。資格更新に必要な単位は10倍化(20単位/5年-->200単位/5年)され、過去の取得単位も10倍にして換算致します。「生涯教育基準細則(改正)」により、単位対象の教育研修も大幅に拡大され、従来より単位取得の機会が増えます。一方、研修講演に関する単位申請方法については、混乱を避けるため従来の方法をできるだけ踏襲しようと考えておりますが、項目の細分化、新規項目の追加に伴い、申請方法が若干異なっていますのでご注意ください。特に、従来「細則9号」として承認されていた研修会が、今回より「(2)-f項目:地方で行われる研究会や学術集会での教育研修講演(10単位)-->教育委員会審査」、「(2)-g項目:地方会が認める講演(5単位)-->該当地方会審査」に区分されます。前者は、定期的に開催されている○○県リハ研究会など、後者は(2)-f項目に該当しない小規模な研修会(同門会や病院主催でも可)やこれまで非該当であった全国規模の会が相当します。申請は両者とも学会HPの申請フォーマット画面より可能です。最初に基準にそってf,g項目何れに該当するか確認した上で、必要事項を入力してください。なお、申請締切は開催4カ月前までですのでご注意ください(締切を過ぎると入力できません)。それ以外の項目の申請方法を含めて、詳しくは学会HP(諸手続)をご参照ください。

(生涯教育担当佐伯 覚)

関連専門職委員会

調査結果報告

 関連専門職委員会では、臨床心理業務担当者のリハ・チームにおける必要性から昨年度、臨床心理業務担当者に関連する調査をリハ医学会認定研修施設指導責任者394名を対象に調査してまいりました。一部はリハ医学の雑誌にも発表しましたが、第44回学術集会でもその詳細を報告いたします。また、リハ関連専門職養成の教育にもリハ専門医の関与が必要と考え、リハ専門医1,256名を対象に調査しましたので、この結果の詳細も合わせて報告いたします。

 発表は5題から構成され、先の2題が臨床心理業務担当者の調査で、実際に業務を行っているか否かで施設を2つに分け、(1)業務を行っている施設の現状と診療報酬への要望、(2)業務を行っていない施設の現状と国家資格に対する意見、の内容で発表。さらに、リハ専門医の教育に関する調査では、(1)リハ専門医の療法士養成校教育と実習生受け入れ教育の現状と課題、(2)療法士卒前教育に関与するリハ専門医の専門性と教育内容、(3)リハ専門医の所属期間と療法士卒前教育への関与の現状、の3つに分け発表します。両方あわせて5題のポスターで1つのセッションとして関連専門職委員が報告しますので、ご覧になっていただきたいと思います。

(委員長 前田真治)

評価・用語委員会

2007年度版リハビリテーション医学用語集改訂

 用語集は5年毎に改訂されており、2007年度用語集改訂に向けて2005年から検討・作業を始めました。用語特別委員会、用語小委員会、評価・用語委員会の意見を踏まえて、改訂方針は時代の変化や会員の要望に応えるべくリハ医学に関連する用語を大幅に増やし、出版社の持つノウハウを取り入れリハ医学会会員に配布すると同時に書籍として販売する、用語のホームページ掲載は継続することになりました。

 用語源として2002年版リハ医学用語集、リハ医学会関連機器用語、リハ医学会誌key word、JIS福祉関連機器用語、整形外科学用語集、神経学用語集、脳波・筋電図学会用語集、Physical medicine & Rehabilitationの索引語、その他商業誌から約50,000語を収集し、関連学会、関連職種協会、リハ医学会ホームページでの用語アンケートの結果を踏まえて、検討委員会や宿泊検討会を頻回に開催し、評価・用語委員会と用語小委員会委員でDelphi法に基づいた用語選定を行いました。その結果、邦語・欧語それぞれ約7,000語、略語約100語が収載されることになりました。分類体系は関連する領域を示しつつ、リハ医学の専門性を明らかにすべく改訂し、大項目を基本、基礎、対象、診断、介入、環境・制度として、それぞれを細項目に分類しました。

 現在、2007年6月に開催される学術集会までの完成を目標に作業が続いています。

 本用語集がリハ医学に関連した広い分野の方々に臨床や研究の場で活用されることを願っています。

(委員長 朝貝芳美)

九州地方会

 第21回地方会学術集会が、山口和正幹事(宮崎県立こども療育センター)の担当で本年2月18日、宮崎市で開催され盛会裏に終了致しました。会場はほぼ満席で、一般演題では予定時間を超過する非常に活発な討議が行われました(特別講演に来場された澤村誠志先生も飛び入りで討議にご参加くださいました)。東国原新知事、鳥インフルエンザ、プロ野球キャンプと、話題に事欠かない熱気あふれる宮崎でした。-->本年2月の地方会幹事会・総会にて地方会役員(幹事・監事等)の改選が行われました:穐山富太郎監事・佐竹孝之幹事・森本典夫幹事・大勝洋祐幹事が顧問へ、浅山滉幹事が監事へ、新たに武井光雄幹事(大分県・諏訪ノ杜病院院長)と下堂薗 恵幹事(鹿児島県・鹿児島大学准教授)が就任されました。また、平成19年度の地方会事業計画案・予算案が承認されました。-->第22回地方会学術集会は坂本公宣幹事(熊本県こども総合療育センター)の担当で、2007年9月2日(日)、熊本市産業文化会館で開催されます。また、第23回地方会学術集会は、10年ぶりの沖縄県での開催で、2008年2月10日(日)、金谷文則幹事(琉球大学整形外科)の担当で開催の予定です(ちなみに、九州地方会の前身である九州リハビリテーション医学懇話会として開催されて以降、通算70回目の節目にあたります)。熊本、沖縄の地方会ともふるってご参加のほどお願いいたします。

(事務局担当幹事 佐伯 覚)

北陸地方会

 2006年に北陸地方会のホームページを立ち上げ、日本リハ医学会のページからもリンクするようになっています。http://plaza.umin.ac.jp/~Reha_hok/に直接アクセスしていただいてもかまいません。会員の皆様に郵送によるお知らせの前に(地方会開催の3~4カ月前)概要等を掲示いたしますので、どうぞご利用ください。-->ところで、ここ数年地方会で利用しておりました会場の石川厚生年金会館を、駐車場等の交通の利便性を考え変更することを検討しています。これまで、駐車料金500円をご負担いただいており北陸地方会の参加負担が割高となっていましたが、3月の総会で会員の皆様におはかりしましたように、より参加しやすい会場が利用できるよう計画中です。研修会も「旧1単位」が1,500円となっていましたが、見直しをしたいと思っています。5月には、次回の開催予定をホームページに掲載いたします。また、ご意見がございましたら、事務局までお知らせください。その他、日常診療で取り上げてほしい話題がありましたら、研修会のテーマとして考慮したいと思います。連絡先はメールで結構ですのでfujiko@mhs.mp.kanazawa-u.ac.jpまでお願いします。

(事務局担当幹事 染矢富士子)

中国・四国地方会

 中国・四国地方会では、次回の第19回学術集会を2007年5月20日(日) 9時30分~16時30分に予定しています。会場はビッグハート出雲(島根県出雲市駅南町1丁目5番地)で、大会長は出雲市民リハビリテーション病院副院長の木佐俊郎先生です。特別講演(専門医・認定臨床医生涯教育研修会)は、藤田保健衛生大学リハビリテーション医学講座教授の才藤栄一先生に「経験的リハビリテーション研究論」を、伊予病院副院長の藤田正明先生に「神経疾患の維持的リハビリテーション」をお話しいただくこととなっています(1講演10単位)。-->一般演題の発表も予定されており、年々その数は増加しています(参加10単位)。第24回中国・四国リハビリテーション医学研究会との同時開催を予定しておりますので、コメディカルの皆様のご出席も可能です。日本リハ医学会会員の先生方には、リハに関係する多くの方々にご出席を呼び掛けていただければ幸いに存じます。学会ならびに専門医・認定臨床医生涯教育研修会への参加についての申し込みは不要です。詳細はホームページをご覧ください(http://www.med.shimane-u.ac.jp/hospital/rehabili/chushi/index.html)。

(代表幹事 椿原彰夫)

専門医、認定臨床医の方へお知らせ

 学会誌等で既にお知らせしたとおり、2007年4月から生涯教育基準が改正されました。3月までに取得された単位は全て10倍化されます。ご自身の取得状況および単位数は、5月下旬(単位取得自己申請の受付締切後)にお送りする取得単位通知表で各自ご確認ください。また、2007年3月31日付で更新される方についても、5月下旬に対象者に書類一式をお送りいたします。当該の方については、旧生涯教育基準により資格更新の審査を行うため、3月までの取得単位は10倍化されません。ご了承ください。

(日本リハビリテーション医学会事務局)

専門医会のコラム:専門医会幹事会より

専門医会幹事会 正門由久、朝貝芳美、安保雅博
池田 聡、生駒一憲、出江紳一、菊地尚久
佐伯 覚、園田 茂、染矢富士子

 新生専門医会は2006年11月19日に第1回専門医会総会、学術大会を開いて活動を開始しました。この総会のときに一部お示ししました専門医会の向かうべき方向と、そのためのプロセスをここで改めてまとめ、皆さんからのご意見を戴きたいと思っています。確定ではなく素案であることをご了解ください。出来そうなことから始めていきたいです。また、必要時にワーキンググループを組織し、そのメンバーとなっていただける専門医の方を募り実行していくことも視野に入れています。

【コミュニケーション】
何をするにも情報伝達、意見交換が出来なくては話が進みません。従来の郵送ベースではなく、インターネットを用いたコミュニケーション(電子会議室やメーリングリスト、ホームページを使って)を図りたく、理事会へもお願いをしています。その結果、リハ医学会システム委員会が立ち上がることとなり、2月に初回の会議が開かれます。リハ医学会全体のシステム化の一環として専門医会としての電子コミュニケーションが位置づけられるわけです。

【集会】
年1回の学術集会と、さらにリハ医学会のときに専門医会枠を戴いてイベントを行うつもりです。

【研修】
臨床技能、研究手法、および組織形成能力を高めるための専門医向けの研修会を企画します。教育委員会と連携し、若手専門医が指導にあたる機会を増やし、指導者の勉強にもなるようにしたいと思います。研修を行うことの出来る施設での実地研修開催、指導責任者を目指す研修、専門医同士の勉強会・研修会などを考えています。また、専門医の講演テーマの把握、地方会講演者リストの作成などにより各専門医の得意分野を明確にして、専門医が講演する機会を増やしたり、結果的に専門医の講演を聴くチャンスを増やしたりしたいと思います。

【交流】
専門医間の連帯を深めるため,専門医会学術集会懇親会で新専門医の自己紹介の場を作ることを考えています。

【研究】
1)リハ科専門医による質の高い臨床研究を実施・支援すること、2)本医学会のシンクタンクとして独自の研究活動を実施することを基本方針としています。診療報酬改定、専門医の質・量に関する議論において、明確なビジョンを示すデータや資料が不足しています。
それらを補うため、2007年度の活動計画として、1)本医学会ガイドライン策定委員会が進めている「脳卒中リハデータベース(DB)の構築」に、専門医会として協力し、データ提供を含めDBを利用した臨床研究実施をサポートすること、2)専門医会内に「リハ科専門医需給予測に関するワーキンググループ」を設置し、5~10年後のわが国のリハ医療・専門医の需給バランスを予測し、医療政策への提言となる基礎資料を作成することを考えています。

【市民啓発】
専門医へのアンケートにより専門領域や病院の特色を把握し,掲載許可を得た情報をホームページへ掲載することを考えています。実現すれば、市民が専門医の存在価値を理解し、安心してリハ受診できるようになるのではないでしょうか。

【リハ医学会学術集会中の専門医会枠】
2007年6月に行われる第44回日本リハ医学会学術集会の2日目(6月7日夕方)に専門医会枠を戴きました。前半をデモンストレーション、後半を専門医会総会として企画しています。少し遅い時間帯ですが、学会にいらしている方は是非ともご参集ください。専門医以外の先生の参加も大歓迎です。デモの中身は以下の予定です。

 実際の機器を使って体験する研修は、会場に機器を運び込む形式より研修者が実践施設に行く方がスムーズと考えました。そのような研修スタイルを皆さんに体験してみていただきたく、経頭蓋磁気刺激を例としてデモを行ってみます。

 情報提供や会員同士の意見交換がインフラとして必須との観点から実現したいメーリングリストや電子会議室ですが、どのような環境の実現を目指しているのか、実際のイメージのプレゼンを予定します。 さらに専門医として研究に関わる手始めとしてリハ医学会ガイドライン委員会と共催で「脳卒中に関する臨床研究・調査のためのガイドライン」に関するディスカッションセッションも企画します。

 これからの専門医会をよりよい形に創っていくために、皆さんの活力とアイディアをお貸しください。

医局だより:島根大学リハビリテーション部

島根大学リハビリテーション部

 島根大学医学部(旧島根医科大学)附属病院は1979年(昭和54年)に島根県東部の出雲市に開設されました。島根大学リハ部の歴史は、1980年(昭和55年)の理学療法部開設に始まり、2002年(平成14年)のリハ部への改組と共に、作業療法および言語聴覚療法が加わり、少しずつではありますが発展して参りました。現在のスタッフは、医師3名(助教授、助手、医員)、看護師1名、理学療法士(PT)4名、作業療法士(OT)3名、言語聴覚士(ST)1名であり、中央診療部門の一つとして外来診療を中心に活動しています。

 現在積極的に取り組んでいる主なテーマは、摂食・嚥下障害の評価と治療、膝スポーツ外傷のリハ、および地域の病院間連携の確立であります。出雲市の人口は約15万人ですが、200床以上の急性期病院が3つあるのにもかかわらず、回復期病院はこれまで皆無に近い状況でした。保健所等と連携して、地域の回復期病院を目指す施設との協調を図っています。都会では簡単にできる連携も、地方では至難の業であることを痛感しております。コメディカルの卒前教育として、中国・四国地区の養成校から年間10名程度を受け入れていますが、実習生の中から本院に就職する方もいて、研修施設としての喜びを感じています。また、中国からの留学生も受け入れ、国際親善にも取り組んでいます。

 欧米では医学のシンボルとして、蛇のからまったアスクレピオスの杖が用いられていますが、島根大学医学部のそれには兎と蒲の穂のデザインが使われています。これは出雲神話の中の「大国主命」「因幡の白兎」に題材をとったもので、新設医大として、地域の医療を創造し開拓していこうという自負から生まれたものと推察します。しかし、最新の島根県医療対策課の勤務医実態調査では医師不足が深刻で、その充足率は79.9%であり、診療科別の充足率では、皮膚科(50.0%)、眼科(57.8%)についでリハ科は低い方から3位(63.6%)となっています。この傾向は、県西部(石見地区)、隠岐地区で強く、地域格差解消のために努力していかなければなりません。島根は古い歴史と豊かな自然に恵まれ、人情味溢れる土地であります。地域医療に興味を持たれ、四季折々の自然、アウトドアにも関心のある方は是非お問い合わせください

(馬庭壯吉)

島根大学リハビリテーション部
〒693-8501 島根県出雲市塩冶町89-1
Tel 0853-20-2242、Fax 0853-20-2236

REPORT:第32回日本脳卒中学会総会

杏林大学医学部リハビリテーション医学教室
杏林大学医学部付属病院脳卒中センター 山田 深

 本年度日本脳卒中学会総会は2007年3月22日から24日まで、福岡市Sea Hawkホテルで開催され、脳卒中センターのスタッフ13人とともに参加して参りました。 初日は同僚の脳外科医とMRI(磁気共鳴映像法)のセッションで演題を発表しました。t-PA(組織プラスミノーゲンアクチベーター)の認可を受け、いかに迅速かつ正確に虚血領域を描出しうるかが話題の中心で、続いて発表した医療システムのセッションでも、やはりt-PA投与を迅速に行うための組織運営上の工夫が討論されていました。 午後はシンポジウム「脳卒中のリハビリテーションと社会復帰」に参加しましたが、豊田章宏先生は多施設共同研究の結果から、リハ介入の有無で急性期の死亡率に差があったことを示され、「Stroke Unitの運用に最も重要なものはリハも含めた多職種で構成される診療体制である」と結ばれました。 大会全体を通じては急性期管理に対する関心の高まりを強く感じ、その中で早期リハ介入とチームアプローチの重要性が改めてクローズアップされてきた印象です。このような流れを背景としてか、今大会の一般演題はコメディカルからの発表も多く目立ちました。私共のセンターもPT(理学療法士)、OT(作業療法士)、MSW(医療ソーシャルワーカー)がそれぞれ1題、看護師が2題の演題を発表いたしましたが、他病院の同じような立場の方々と議論を深めることができ、スタッフのモチベーションにもつながる大きな収穫となりました。 最後に余談ではございますが、穏やかな春の日差しと潮風の中、空いた時間に波止場でボーっと博多湾を眺めることができ、何よりの息抜きとなりました。のんびりとした時間の流れを束の間ですが味わうことができ、先進の知識とともに、改めて急性期リハに取り組むエネルギーを蓄えることができた総会でした。

故 石田 暉教授を偲んで

東海大学名誉教授
 村上恵一

 東海大学医学部教授、石田暉先生が2007年1月5日に亡くなりました。衷心より哀悼の意を捧げます。

 日本リハ医学会の理事として、その他多くの分野で御活躍中であり、将来はさらに嘱望されているさなかでした。ことに来年には第45回日本リハ医学会学術集会会長の予定がありました。私自身としても教室の直接的後継者である先生に先立たれた寂寥の感はたとえようもありません。

 先生には慶應義塾大学、ミネソタ大学などの経歴の後、1982年に東海大学医学部リハ学の助教授としておいでいただきました。1997年からは教室を主宰され、以後、教授として臨床、研究、教育総ての面を指導され、また対外的にも広くリハ医学界全般の向上に尽くして来られました。

 東海大学医学部付属病院には3カ所の分院があり、それぞれ異なるリハがあります。伊勢原の本院では各種疾患、外傷等の超急性期に始まるリハに対応して来たのが特徴です。先生が着任直後から手がけた無菌室内からの小児骨髄移植リハは、従来免疫不全関連と思われていた範疇に対しても実はリハが有用である事実を示す異色のものでした。私が開かせていただいた第33回学術集会でインテンシブリハのテーマを掲げたよすがの一つでもあります。心・肺機能、摂食、嚥下、尿路管理、高次脳機能など、運動系以外をも広く包括するリハの発展に寄与されました。

 一昨年体調を崩された頃は社会保険あるいは国際委員会などの担当理事をしておいででした。折りしも昨年の診療改変に向けて関係省庁との折衝に御苦労の時期で、心身の過負荷の非日常的存在が、一面では体調自身の変化として気付くタイミングを遅らせた可能性は否めず、振り返ると大変残念です。

 その後も治療を受けつつ日常業務に積極的に取り組まれ、昨年晩秋、継続的入院となられた後もクリスマス後まで学術集会の計画、あるいは海外からの演者の招聘にかかわっておいででした。その強い想いと実践とは教室員等近在の人々の心に深く刻まれたところです。

 先生が残されたものは内外を問わず先々にまで大きなステップの礎となることを確信し、御冥福をお祈り申し上げます。

広報委員会より

 ご存じのように障害者自立支援法は平成17年10月衆院本会議を通過し平成18年10月1日より本格的に運用(平成18年4月1日に一部施行)が開始されました。本法施行後1年が経過しましたが、我々リハ医にとってもまだまだなじみが浅く本法の全容を理解できている人はそう多くないのが現状ではないでしょうか。そこで本号の特集では、会員の皆様に本法の主旨を含め我々リハ医にとって必要な情報をリハ医学会障害保健福祉委員会委員長 小池 純子先生におとりまとめいただき理解しやすく解説いただくことといたしました。以前リハニュース28号の特集で「介護保険・障害者自立支援法/こう変わった・こう変わる」を、またその後コラムにて障害者自立支援法についての情報も掲載し好評をいただきましたが、このたびは支援法施行開始から1年の節目にあたるため、改めて本法について解説をお願いすることといたしました。複雑な本法をコンパクトにわかりやすくおまとめいただきましたのでぜひご一読いただき、皆様の日常診療の一助としていただければ幸いかと存じます。

 広報委員会ではご意見・ご質問などを含め広く会員の声を募集いたしております。皆様からお寄せいただいたご意見等は今後の広報活動に活かして参ります。今後とも皆様のお役に立つ情報をお伝えして参る所存でございますので、リハニュースともども広報委員会にもご支援賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。

(平岡 崇)

事務局だより

例えば身近な病院にリハ科があるか捜してしまう時、例えば医療に関する話題を取り上げたテレビや新聞にチェックを入れてしまう時--無意識に行っている自分に気付いて、漸く医学会業務に携わっている自覚が出てきたのかなと思うようになりました。当初は全くの未知の世界に右往左往しながら、事務局の諸先輩方に感嘆し(敏腕揃いなのです)、先生方の多忙さに驚嘆し(いつお休みになっているのでしょう?)、自分の至らなさに嘆息する毎日でした。私の担当はスタートしたばかりの業務をサポートすることが主なので、現在は未熟ながらも、学会内の新しい動きと共に前進するべく尽力しております。-->中でも、去年設立されたリハビリテーション科専門医会は活発な活動を行っており、今年は6月7日の本医学会学術集会期間中に専門医会総会が、12月8日~9日に北海道大学で専門医会学術集会が開催されます。4月以降、リハビリテーション科専門医と認定臨床医の生涯教育基準及び細則が改定され、専門医の方は認定期間中に本医学会学術集会と専門医会学術集会の両集会とも各1回以上の参加が必須要件となりました。是非ご参加下さいますよう、お願い申し上げます。

(岡本佳奈子)

事務局からのお願い:会員の皆様へ

 例年4月・5月は勤務先異動等のため、多くの郵便物が事務局へ返送されてきます。新しい住所が判らないまま連絡の取れなくなる先生方もいらっしゃいます。勤務先・ご自宅共に住所変更がございましたら、なるべくお早めに変更届を事務局へご提出願います。◎平成19年度の年会費のお手続きはお済みでしょうか?郵便局でお支払いいただく方は4月30日までにお願いいたします。